ライカは戦前から世界最高の誉れ高いブランドだった。現在ではもはや骨董的な価値しかない。現在のライカはほとんど日本のOEM。ライカ純正のデジカメの登場を期待するのはもう無理かもしれない。
そんなライカに未だに人気があるのは、過去の名声と憧れのほかにも、「舶来物」に対して無条件に憧れを抱く日本人の特異性があるように思う。ライカが好きな人を「ライカファン」「ライカ信者」と呼んでいる。
ライカでないと撮れない写真がある?
ライカを単なる骨董趣味とするならよいが、中には「ライカでないと撮れない写真がある」「現代の技術を持ってしても、到達できない特別な描写性能がある」思い込んでいる人がいるようだ。
写真の写りに関しては、レンズのコントラストや収差といった目に見える「光学特性」が主体のため、オーディオの「音」の世界にくらべると明快である。しかし、評論家やライターの記事を読みすぎると、間違った考えを持ってしまう危険性については、オーディオと共通している。
「ライカでしか得られない味がある、撮れない写真がある」というのは、レンズの光学的問題点によって発生した写りの悪い部分を、理屈を知らない素人がプラス方向に解釈したものが多いようだ。私はライカで写したという二線ボケ出まくりの汚い写真を「すばらしいボケ味」などと評した雑誌記事を見たことがある。
究極のマニアックカメラ エプソン R-D1
究極のライカ風カメラがある。エプソンのR-D1 (2004年発売)。これはまさにディープなライカファンをターゲットに作られた商品で、その作りには「ライカマニア」のこだわりを感じる。
大量生産、大量販売の世界にあって、こういうマニアックなカメラが世に出たことに驚く。この手の企画は通常「ライカマニアのたわごと」としてボツになるものだ。
R-D1は古いライカ用レンズを取り付けて、その描写を楽しむためのカメラ。古いライカ用レンズの写真をデジタルで撮れると言うことは、より客観的に、正確な評価が可能になったことを意味する。
これによって、これまで評判だったライカ製レンズの真の実力が明らかになるだろう。そこで「やっぱりライカは評判通りであった」ではなく、「古い割にはよく撮れるね」程度だったことが明らかになるはずだ。
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