スピーカースタンド(スピーカー台)の選び方

 スピーカースタンド(スピーカー台)はスピーカーのセッティングに欠かせないアイテムだ。この選び方や使いこなしについて、理屈を元に針を示した記事が見当たらないのでご紹介したい。

 

スピーカー台を選ぶ際は次のポイントを押さえる必要がある。以下順番にご説明する。

  1. スピーカーの高さ
  2. スピーカー台の構造
  3. スピーカー台の材質
  4. スピーカの支持
  5. インシュレーターの使い方
  6. 土台の剛性

 

1.スピーカー台の高さ

 最初に考えなければならないのは台の高さ。これはツイータが耳の高さに来るようにすればいい。高さで低音のレベルが変わるが、高さは耳の高さと合わせる事を優先し、低音のレベルは背後の壁との距離で調整する。

 座布団に座って聴くような使い方ではウーファが低くなりすぎる場合がある。このようなケースでは、椅子やソファーなどを用意して試聴位置の方を高くすることを検討して欲しい。

(2018/6追記) 小型スピーカーを机やAVラックの上に乗せる場合は、設置面からスピーカーの底面までを18cm以上、設置面からウーファーのセンターまでを28cm以上離す必要がある[3]

 

 

2.スピーカー台の構造

 スピーカー台の構造は、定在波、気柱共鳴、バッフル板延長効果の3つについて考えればいい。気柱共鳴は空洞で発生し、定在波はお互いに平行な二面間で発生する。スピーカー台は、このような構造がないものが適している。

 ブロック形の台を積んだときに出来る平行面の問題は、ハの字にすることで解消できる。

  コンクリートブロックには穴が空いており、ここの共鳴を気にしてタオルを詰める例を見かけるが、ブロック表面の凹凸が減衰に作用するため実際に問題になるケースは少ない。

 ブロック形の台の平坦な面を前面に向けると、バッフル板を延長する効果がある。すなわち、後ろに回り込む低音を前面に反射させることで、低音のレベルを若干向上させることができる。

 

3.スピーカー台の材質

 スピーカー台の材質は、 ヤング率によって石系、金属系、ウッド系に大別される。ヤング率の順に並べると次のようになる。

yungsozai これら材質の違いは、エンクロージュアの構造減衰に影響し、エンクロージュアからの放射音を変化させる。

 例えば、硬くて密度が高い台は、響きが豊かで、音が明るくなる。逆に、ウッドなど柔らかくて減衰の大きい台では、ほとんど変わらないか、振動が押さえられて響きの少ない音になる。

 この材料と響きの関係は、ワイングラスの実験結果[1]が参考になる。

 

 スピーカー台はエンクロージュアの振動を受けて音を出すが、表面積が小さいので無視できる。

 

4.スピーカの支持

 どのような支持をするにせよ、ガタがあると音が濁る。第一に、ガタの出ないセッティングをしなければならない。

 スピーカーとスピーカー台が接触する面積はエンクロージュアの減衰に影響するのでエンクロージュアからの放射音を変化させる。スピーカーの底面と台との接触面積が多いほど、摩擦が働いて減衰が増えるため、響きの少ない音になる。

 十分剛性の高い平らな台(石のブロックなど)の上にベタ置きした場合にこの響きが最小になる。

 逆に、スペーサなどを挟んで接触面積を小さくした場合はエンクロージュアの構造減衰が減り、響きが豊かで、音が明るくなる。この場合のスペーサーの役割は接触面積を減らしているだけで、その材質や形状はあまり関係ない。

 

5.インシュレーターの使い方

 インシュレーターとはオーディオ機器とその台との間に挟んで使うスペーサーのようなものを指す。

 インシュレーターの設置位置は、エンクロージュアの底面の振動モードの腹の位置になる。振動モードの腹は、スピーカを傾けた状態で鳴らし、底板を手で触れてよく響く位置を探ることで確認できる。

 インシュレーターをこの腹の部分に設置するとで、エンクロージュアのモードを最も大きく変化させることができ、エンクロージュアから出る音を若干コントロール(サウンドチューン)出来る。

 

 インシュレーター効果の度合いは、インシュレーターの硬さ(ヤング率)で多少調整できるから、ステンレス、アルミ、ウッドなど、ヤング率が離れた材料を段階的に用意しておくと便利。

 インシュレーターはオーディオ専用品を使う必要はなく、ホームセンターや東急ハンズのDIYコーナーにある金属円柱もしくは半球で十分である。

 金属製のインシュレーターににゴムやフェルト、コルクが付く場合の硬さは、柔らかい方で決まる。この手の商品はサウンドチューンしたいのか、防振したいのかがはっきりしない。おそらく外観チューンが主体。

 

 真鍮と木のインシュレーター。ヤング率が一桁違うので調整に便利。

 ポイントは底面に余計な貼物がない(素材無垢)であること。左のように両面が平らなものより、右のように半球になっているものが安定しやすい。

 

 

 柔らかいゴム系のインシュレーター(防振ゴム)は防振を目的として使うアイテム。これを使うと、スピーカー台から下の影響をスピーカーと切り離すことができる。つまり、ゴムから下の構造や材質の影響が無関係になる。下の階への迷惑回避にも有効。

 ゴムを敷くとフラフラするのは、防振がよく効いている証拠。音には影響ないので、必要に応じて使って欲しい。

 

6.インシュレーターによるサウンドチューンの限界

 以上にご紹介したインシュレーターを使った音のチューニングは、ハーベスなどエンクロージュアの響きを積極的に利用したスピーカで有効だが、エンクロージュアの剛性が高く、響きを押さえる方向で設計されたスピーカでは効果が出にくい。

 例えば高密度MDFを使ってガチガチに組まれたスピーカー(国産の中級以上のスピーカーに多い)では、台やインシュレータを使ったチューニングはほとんど無効。この場合外観チューンがメインであり、ガタを無くす目的がメインになる。

 

7.土台の剛性

 スピーカー台やインシュレータで音をチューニングする場合、それらを設置する土台の剛性(ヤング率)が、置くものより高いことが必要になる。この条件を満たさない場合は、チューニングの効果がほとんど表れない。

 土台で問題になりやすいのが床で、ここが弱いとその上に何を置いても大して変わり無い結果に終わる。理想的には建物の基礎に直接メカニカルアースするのが理想だが、一般家庭では叶わない。大抵はフローリングの床や畳の上に乗せて使うことになる。
 この場合、ピーカー台の質量と剛性を十分大きくして、それを動かない基準とする方法がある。何百キロもある石のブロックがその例

 この他、ある程度の面積を持った頑丈なベース板を敷いて、みかけの剛性を高める方法がある。これは畳のような柔らかい床の場合でも有効だ。このような商品は以前から市販されており、オーディオボードが該当する。

 

8.音に透明なスピーカー台の例

 スピーカー台は音に対し透明なのが理想。ルミナスのようなスチールラックで組むと、上でご紹介した定在波、気柱共鳴、バッフル板延長効果のすべてを無関係にできる。

 

DSC03349-1 スピーカー台による音の変化がない究極の台はスチールラック。スタジオモニターの台もスチール製が多い。

 

 

 スチールシェルフや金属製の台は共振しやすい問題がある。これは発泡PVC(滑り止めシート)をはさんでガラス板や木板を載せると改善する。音を出しているとき「鳴き」が起こらなければあまり神経質になる必要は無い。

 

 

<参考購入先>
ルミナスのスチールラック(ブラックニッケルシリーズ)
スピーカー台に最適なスチールシェルフ。円形アジャスタを使って床面の面圧を下げるのを忘れずに。
ルミナスは防錆処理が必須です。人気スチールラックの落とし穴~ルミナスは錆びるを参照して処理ください。

オーディオボード 床の改質に必須のアイテム
インシュレーター 値段は音と関係ありません。材質だけに注目してください
スピーカー台

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