UFOキャッチャーの力学

 UFOキャッチャーというとアームで商品をリフトする動作をイメージする人が多いが、それ以外の捕り方もある。ネットを検索すると、そのテクニックのいくつかを見ることができる。重心、回転モーメント、慣性の性質を巧みに利用している。

 今回はフィギュアの景品に多い「箱モノ」をターゲットにしたUFOキャッチャーのテクニックについてご紹介する。

 

 現場では「観察」が重要になる。商品がおかれた状態をじっくり見て、1回毎の操作とその結果をイメージしながら、できるだけ効率よくとれる作戦を練る。

 「発想の転換」も必要。大型商品はキャッチャー「本体」の質量を利用する場合もある。「アームで持ち上げて捕る」観念に捕らわれていると、新しい発想は生まれない。

 新しいアイデアを発見すると、試してみたくなる。UFOキャッチャーの魅力は、そんなところにもあるのかもしれない。

 

128061558157516325764_ufo 2010年、ラウンドワンでゲットした景品もろもろ。

 

 

 2010年当時、取得難度が高かったワンピースのフィギュア。

 このころ私は、ゲームセンターからこれらフィギュアを取ってきてリペイント販売するリペイントビジネス[1]を展開していた。

 以下にご紹介するUFOキャッチャーの理論と実践は、このときの経験をまとめたもの。

 

 


 

UFOキャッチャーで箱モノプライズを取得するための理論と実践

 

理論編

「くるりんぱ」とその原理
なぜくるりんぱを利用するのか
くるりんぱの狙い位置
キャッチャーが回転して下がる場合
台が傾斜している場合
軽い箱物の場合
アームの開きが足らない場合
箱に角度がつく場合
くるりんぱが失敗するケース
箱がはみ出している場合の詰め方
1角だけ箱がはみ出ている場合
すべり止めがある場合

実践編

横移動の仕方
縦移動の仕方
取得までの手順(例)
橋渡しの例(バッタン、階段落とし)
すべり止め付き橋渡しの例

心得

 

(2018/9/22追記)
 近年「ペラ輪」や「橋渡し」がほとんどになり、アームの下降制限もついて、これらの方法が通用しなくなっています。

 


 

理論編

 

「くるりんぱ」とその原理

 くるりんぱとは、フィギュアなどの箱モノを獲得するテクニックのひとつ。平らな台上の「くるりんぱ」の原理は、下の図のように箱の角を押したとき、箱が浮き上がり、上下の支点を回転軸にして箱の重心が下方向に向かう力が働いて箱が回転することである。

図1 くるりんぱの原理

 箱が台からはみ出した状態の「くるりんぱ」の原理は、箱を傾かせて台のエッジとツメの先端を結ぶ線を回転の下支点にして箱が回転することでになる。

 これらのテクニックを利用すると、少ない手数でプライズを獲得できる。

 

なぜくるりんぱを利用するのか

 箱物プライズには「横穴」「ペラ輪」「プラリング」などが付いていて、それらを顧客に狙わせるものが多い。しかし、これらを素直に狙うとかなりのコストがかかる。

 くるりんぱが成功すると、「横穴」「ペラ輪」「プラリング」を狙うよりはるかに効率よく、少ない手数でGetできる。アーム強さ設定の影響もほとんど受けない。

 

くるりんぱの狙い位置

 次の図はくるりんぱの狙い位置を説明したもの。以後の図は特に断りが無い限り上から見たところ。従い図に向かって下が自分の「手前側」、上が「奥側」。アームの開きは「左右方向」。図の見方は以後共通。

 

図2 くるりんぱの狙い位置

キャッチャーが回転して下がる場合

 アーム下がるときキャッチャーが少し回転する場合がある。キャッチャーに角度がつくと、ツメが開いたとき箱にかかる力も斜めになる。この場合、2つのツメを結んだ線と、箱の対角を結んだ線が平行に近くなる方向が有利になる。

 キャッチャーに角度がついた例。図のように確度が付く場合は、B点またはC点が狙い位置になる。逆方向のA点とD点は動きにくいので注意。

 

 

台が傾斜している場合

 傾斜を下る方向の回転が動きやすいので「高い側」の角が有利。よく観察することが大切。

 

軽い箱物の場合

 あまり角を狙うと箱が倒れてしまうことがあるので注意したい。

 

アームの開きが足らない場合

 アームの開きが狭くて箱に両方のツメが当たってしまうとくるりんぱできない。この場合、なんらかの方法で箱に角度をつける必要がある。

 

箱に角度がつく場合

 箱に角度がつくとくるりんぱの狙い位置は次のように変化する。移動させたい方向と狙い位置の関係をよく考える必要がある。例えば左方向に移動させたい場合、図2aではE点、図2bではF点が狙い位置になる。

 

図2a 箱に角度がついた場合の狙い位置

図2b 箱に角度がついた場合の狙い位置(逆方向)

 

くるりんぱが失敗するケース

 「下支点」が曖昧な場合、以下の問題が起こることがある。これはアームの開く力によって生じる回転モーメントが働いた結果。

 (1)傾くだけで回らない(くるりんぱの回転モーメントに対し、アームの回転モーメントが逆向きに働いて釣り合った)
 (2)理屈と逆方向に回ってしまう(くるりんぱの回転モーメントに対し、アームの回転モーメントが上回った)

 

箱がはみ出している場合の落とし方

 箱の2つの角が出口にはみ出して、出口側のツメで押せる状態になったらGetまであと一歩。この状態に持っていくのが目標。

 まっすぐはみ出している場合の狙い位置は次のようになる。

図3a 2つの角がまっすぐはみ出している場合

 この例の場合、キャッチャーの回転角ゼロ、台の傾斜ゼロの場合くるりんぱできない。台をよく観察してA,Bのどちらが有利か、よく見極めることが大切。

また、アームの開きが少ないと右のツメが箱に当たって押せないので、もっとはみ出すよう移動させる必要がある。

 

 箱に確度がつくとくるりんぱが大幅に容易になる。この場合、箱の回転方向と、くるりんぱの回る方向が一致する点がベストな狙い位置。例えば次の例ではA点がこれに相当する。葉の回転方向がこれと逆(上側が大きくはみ出す場合)は、B点が狙い位置になる。

図3b 箱の2つの角が出口にはみ出している場合

 アーム移動の制約で右のツメで押せないときは本体押しを検討してほしい。

図3c 本体押しの例

 

1角だけ箱がはみ出ている場合

 エッジの交点を狙う。エッジを境に回転方向が逆になる。理論上はB点のほうがまわりやすい。右のツメが箱に当たるとダメなので、この場合がんばってもう少し出す必要がある。

 

図4a 一角だけはみ出している場合

 箱がひし形に近い形で台からはみ出た場合もエッジ交点を狙う。

図4b ひし形にはみ出した例

 

すべり止めがある場合

 滑り止めがある場合くるりんぱできない。パッタン(反動移動)か本体押しで角を滑り止めから出してからくるりんぱする。下図は箱の底面にすべて滑り止めがある場合のバッタン狙い位置。

図5 滑り止めがある場合

エッジぎりぎりを狙うと下降途中でツメが外れ、その反動でアームが揺れて箱を押し出せることがある。

 


 

実践編

 

横移動の仕方

 先頭の角を交互に押して回転移動で進めるパターン。台の傾斜とキャッチャーの角度をよく観察して回りやすい方向を選択する(図6b)。逆方向は動きにくい。

図6a 横移動の手順

 傾斜がつている場合。斜め移動になりやすい。

図6b 台に傾斜があり、キャッチャーに角度が付いている場合のパターン

 

縦移動の仕方

 1箇所の角を押し、90度近く回しながら手前移動する例。

図6c 手前移動の例

 最初だけ手前のエッジ、2回目以降は左右の角を交互に押して手前移動する例。

図6d 手前移動の例

 

取得までの手順(例)

 出口が箱の右側にある場合。箱が出口の端部に置いてあれば、最短2手で取れる。

図7a 出口の端にある例

 出口が箱の手前にある場合。左右どちらかの手前エッジを狙う。最短1手で取れる。1手で落ちなかった場合はB点を押してダメ押し。

図7b 出口の端にあり、手前が出口の例

 台が傾斜している場合。最初の一手で高い方の角が前に出るように回す。逆にA点を手前に出すと最後のくるりんぱが回りにくい。

図7c 出口の端にあり、台が傾斜している例

 

橋渡しの例(バッタン、階段落とし)

 持ち上げて落としたときの反動を利用して動かしていくバッタンの例。最初の1手は戻ってしまう心配がないので、アームを右に寄せてできるだけ大きく動かす。

 二回目以降は箱の左端を少しひっかける感じで箱が出口に向かって進んでいく「ひっかけ深さ」を探索する。このときアームを必要以上右に寄せると初期位置の方向に戻ってしまうので注意。

 少しでも進んでいく深さを見つけたら、慎重に同じ操作を繰り返す。終盤、ツメが届けばBのポイントも狙える。

 

図8 バッタンの例

注:始めるとき初期位置からずれている場合は店員さんを呼んで初期位置リセットしてからプレイする(誰かがやったあとは大抵手詰まりであきらめた後です)。また次の場合プレイしないのが賢明。

(1)アーム初期位置が箱に寄り過ぎている台。箱が進んでくると引っ掛け深さを浅くできず、進んだり戻ったりを繰り返すだけになる。
(2)アーム移動範囲が実質きわめて狭い範囲に限られている。
(3)初期位置リセットを3回やってもダメな場合。

 

すべり止め付き橋渡しの例

 アームでプライズが持ち上がらない橋渡しの例。箱が出口の隙間を通る場合は落ちるまでひたすら回転ずらしをやる。空間に浮く角を押すと90度回転した状態で隙間にはまり、そこで終わってしまうので注意。

 

図9a 橋渡しの手順1

図9b 橋渡しの手順2

 

 両側に落とす橋渡しは横移動させる。

図9c 両側に出口のある橋渡しの例

 


 

心得

 最後に心得をご紹介する。

 

・手を出す前によく観察するべし

 台の微妙な傾斜、本体の回転やアームの開き幅など。

・思い付きで試行錯誤しない

 1手ごとに実行後の状態をイメージしながら計画的に操作すること。

・店員さんを上手に利用するべし

 手詰まりしたら遠慮なく店員さんを読んでヘルプすること。

・無理な設定は早々に見限るべし

 熱くなってお金を突っ込まないこと。

 

 

<参考購入先>
フィギュア

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1,創造の館ArtDesign