コイン投げのシミュレーション

エクセルのランダム関数を使って作ったチャートの例1エクセルのランダム関数を使って作ったチャートの例2

  この波形が何かわかるでしょうか。SONY株?日経平均?ドル/円?? テクニカル分析に手馴れた人なら直ちにサポート、レジスタンス、トレンドラインを引くかもしれません。実はこれらの波形、エクセルのランダム関数を使って作ったものなのです。

 rand関数を使って0と1のランダムを発生させ、0なら初期値をプラス1、1ならマイナス1していきます。これは確率1/2のコイン投げと同じです。こんな簡単な計算でチャートそっくりの波形を作り出すことが出来ます。
 計算ワークシートを公開しますので興味のある人はご覧ください。保存ボタンまたはF9を押すたびに、さまざまなパターンの波形が見られます。
chartdemo

エクセルのランダム関数を使って作ったチャートをFFT分析した結果 ところでこのチャート、FFTにかけて周波数分析したら何が見えるでしょうか。分析ツールを使って直ちに計算できます。左はその1つの結果です。
(C列の「値」をFFT計算シートのA列に貼り付けます。FFTを実行するときは、cartdemoワークシートを閉じてください。)

 

 チャートパターンを変えて何度計算しても左とほぼ同じ形になります。これは「1/f ゆらぎ」といわれるランダムパターンの一種で特定周期の波は存在しません。もっと多くのデータを使えば綺麗な直線が得られるでしょう。

 

 相場がランダムというと信じられないという人が大勢います。特定の部分を取り出して「ここはランダムでない」と主張します。「リーマンショックの値動きは必然」だと。
 以前公開した為替相場のFFT分析結果はリーマンショックの期間も含めて1/f ランダムになっています。リーマンショックの期間だけ切り出して分析してもやっぱり1/f ランダムです。
 人間の経済活動や人為的な行動は、結果的にランダムと「見分けが付かない」といえば理解いただけるでしょうか。

 

 世間ではこのようなランダム波形を相手に多くの人が試行錯誤しています。「ひょっとして聖杯が見つかるかも」と。移動平均、MACD、ボリンジャーバンド・・・何を使ってパラメータをどのように調整しても、答えが見つかるはずがありません。

 単独では成績がよくないものを複数組み合わせると改善することがあります。それは特定期間で「カーブフィット」したのです(このことは以前にも述べました)。
 1/f ランダムは長周期ほど波の振幅が大きいので、塩漬けは戻らず、マーチンゲール戦略は間違いなく破綻します。

 

 星の数ほどあるFX商材はどうでしょうか。カリスマトレーダの真似をすれば勝てるでしょうか。そう簡単にはいきません。長期的にはトレーダはほぼ全員負け、FX会社が儲かる。それがこの世界の現実です。

 

続きの記事

FX・為替相場への人工知能の適用と未来予測

前の記事

MT4 FXシステムトレーディングツールGoldenTreeの戦略

 

<関連商品>
GoldenTree

<関連書籍>
ゆらぎの世界 後ろの方に株価の周波数分析結果が掲載されていて私と同じ結論を出されています。

<関連記事>
1.分析ツール