今までにない汚れ落ちが期待できるような宣伝から、過剰な期待を抱く人もいるようだ。そこで今回は、スチームクリーナーに適した用途と、選び方をご紹介したい。
スチームクリーナーの価値は何で決まるか
スチームクリーナーの主なスペックには洗浄能力、最大吐出圧、連続噴射時間、タンク容量の4つがある。
洗浄能力は、高温の蒸気を使う。これはどの機種も100°前後であり、洗浄能力は横並びと考えていい。
最大吐出圧は蒸気の出る勢いに関係する。これは安全上もあって3気圧(ボイラー式)という上限で横並び。
連続噴射時間は消費電力が高い商品ほど長い傾向がある。これが長いほど、快適に使用できる。
結局、連続噴射時間だけが商品の主な違いになる。持続時間の長い商品は、必然的に大容量のタンクとセットになっている。
スチームクリーナーの市場
スチームクリーナーで有名なメーカーにスチームファースト(米)がある。「No.1」を連呼する正規代理店のサイトは怪しい通販サイトに似ている。ネットにレビューがあるがサクラが目立つ。購入者のレビューは楽天やアマゾンのカスタマーレビューで見ることが出来る。
スチームファースト(SF-275)の直販価格は2万円を切っており、1ドル122円とすると米アマゾンの販売価格(送料込$146)と大差ない。値段はかなり頑張っているが、アイリスに5千円を切る商品がありノズルをフルセット揃えても半額以下。
スチームファーストはアイリスの5千円商品に比べ消費電力が1.5倍大きい。よってアイリスより連続噴射の持続時間が1.5倍長いと考えられる。
長いノズルは役に立たない
スチームクリーナーの掃除は、本体に短いノズルを付けてコシコシやる形が基本。掃除機のような長いノズルを付けてしまうと、途中で蒸気が冷えて液化し、お湯の擦り洗いと変わらなくなる。
どんな汚れ落ちが期待できるのか
常温では落ちにくいが、温まると落ちやすくなる汚れの掃除に役立つ。これによって、掃除の効率が少し良くなる程度と考えておきたい。蒸気だけでコシコシやるより、洗剤と併用することで洗浄力があがる。
ハイターなどの薬剤を使わなくても除菌できる性質を利用して、浴室の掃除をメインに使っていきたい。
使って分かった欠点
水を使うため、準備も片付けも面倒でスタンバイに時間がかかる。普通の掃除機のようにはいかない。利用頻度はそう高くない。我が家では年末の大掃除に使う程度になった。
購入の際は金額に見合ったメリットがあるかどうか、よく考える必要がある。
実例
アイリスSTM-304
写真はスチームクリーナーSTM-304(アイリス) 。Max3気圧 1000W。アマゾンで5千円を切る商品。安いのでノズルをフルセット揃えた。作りはとてもしっかりしている。
スタンバイ3分以内で使用可能。出口温度105~110℃、付属ノズル先端で98℃前後のスチームが吐出される。
ランプは通電を示すもので温度低下を示すものではない。連続噴射していると徐々にスチームの勢いが衰え、通電ONになって復活する。勢いは衰えても、温度はほとんど変わらない。
吸水キャップの安全弁は圧力式。水は300cc しか入らないが、無くなったら電源OFFしてレバーONで圧を抜けばすぐにキャップを外して吸水できる。
水は付属のジョウゴを使って入れるが入りが遅いうえ50ccずつしか入らない。安全に配慮したのかもしれないがイライラさせる。
オプションの隙間ブラシ。写真のようにブラシとスチームの出口が離れているのでブラシ部の温度は80℃前後まで落ちてしまう。出口を円形に囲む付属ノズルではほぼ100℃のスチームで洗浄できる。
ブラシは熱で軟化するため力を入れると痛みやすい。力を入れず小刻みに擦り、その回数で落とす。
本機にはエアコン掃除に使えるL型ノズルが付属する。本体の取っ手と前の出っ張りに紐を通して肩に掛けることで、エアコンのような高所の掃除も可能。
熱湯に注意!
プラスチックはPP(ポリプロピレン)以外の「薄物」は熱で変形する恐れがある。
すこし休止してONすると熱湯が出る。これはパイプの中の水蒸気が液化したため。火傷しないよう注意したい。
結論~いったい何に使えるのか?
高温の蒸気が、何の汚れ落とし使えるのか。水に溶けないものは落ちないし、洗剤の力を借りないと落ちにくい汚れが多い。ABS樹脂など、熱に弱いものには使えない。
アルコールやハイターなど薬剤を使わなくても除菌できる性質を利用して浴室の掃除に使うか、乾きが早いメリットを生かしてフローリングの「お湯拭き」に使うくらいではないか。
準備と片付けが面倒なことから、普段使いできるものではない。出番は年に1度の大掃除だけになるか、最初使ってみて、仕舞い込むのがオチと思う。
<参考購入先>
スチームクリーナー あえて必要ないものだと思います
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