1980年台、私はまだ学生だった。お小遣いをビデオテープにつぎ込んでテレビ放送をせっせと録画していた。当時レンタルビデオはあまり普及しておらず、タダで手に入る映像コンテンツがとても貴重に見えた。そうして撮り貯めしたビデオテープは数百本に達した。
本当の貴重映像は意外なものだった
現代にはネット配信やレンタルビデオがあるので、ほとんどの映像コンテンツを好きな時に見ることができる。
結局、数百本のビデオテープは、自分で残したいと思うものだけを選び出してDVDレコーダーにダビングし、すべて破棄した。この作業をしていて気がついたことがある。
記録時間節約のため必死でカットしていたCMが「貴重映像」になっていることだ。
CMはその時代を映す。見ると当時の思い出が蘇る[2]。CMはレンタルビデオ店に置いてない。見れるのはYouTubeくらいだが、あまり多くは残ってない[2]。
撮った動画は編集しない
ハンディカムで動画を撮ったこともあった。これは結局「撮った」ことで満足し、それを編集したり、あとから見ることはほとんど無かった。
DVDレコーダーには編集機能が付いている。当初これを利用して録画したタイトルの編集をしていたが、
編集したものを見る時間よりも、編集にかかった時間の方がはるかに長い
ことに気付いてやらなくなった。要するに、編集かかる時間と手間が結果に見合わない。あとから活用しない、価値も生まない映像コンテンツを編集するのは無駄である。
結局動画は、デジカメの動画機能を使って撮った数十秒のカットを、写真と一緒に保存するだけに落ち着いた。
見たら消すで十分
ビデオデッキを学生時代から使い続け、DVDレコーダを6年使ってきて思ったことがある。
ほとんどの映像コンテンツが「見たら消す」で十分なことだ。
最近のレコーダーはブルーレイで記録できる。これを使って記録を始めれば、後から見ない大量のディスクライブラリができるだけ。コピーガードのせいで利用もままならない。使い勝手はアナログ時代よりずっと不便になっている[1]。
見たら捨てるだけの活用では、大容量のHDDと複数のチューナが欲しい。そんなニーズをとらえてか、全録できるレコーダーも登場している。
補足:古いビデオテープを綺麗にデジタル化する方法
2003年、テープメディアを無くすために15年前に録画したビデオテープをDVDレコーダ(RD-X3)にダビングする作業を始めた。
昔のテープを再生してみると、多くのテープで再生に問題が生じることに気づいた。原因はテープの劣化らしい。主な問題は、上端のスキュー歪、修正不能なトラッキングずれ。
テープの劣化はメーカーにより差があることもわかった。スコッチのEG、EXGで録画したものは、15年経った今も問題なく再生できた。マクセルはほとんど全滅だった。
映像の安定化
再生に問題のあるテープを綺麗にダビングするためには、TBC(タイムベースコレクタ)が欠かせない。しかしRD-X3内蔵のTBCはあまり性能が良くなくて、元のソースの劣化が激しいと誤動作して映像が破綻することがあった。TBCをオフに出来るといいのだが、そのような機能が用意されていない。
そんなTBCでも事前にNR(ノイズリダクション)を通すと良い結果を得ることがあった。しかしRD-X3の入力はY/C分離とNRが排他動作になっていて、コンポジット入力の場合はY/C分離が必要になるためNRをかけられない。これは、コンポジット出力しか持たないβのビデオデッキで問題になった。
そこでY/C分離だけを別のビデオデッキに通してやる形にした。すなわち、
β(コンポジット)→ビデオデッキ(Y/C分離)→RD-X3(S端子→NR→TBC→記録)
の流れになる。昔のビデオデッキの中には優秀なY/C分離機能を内蔵する機種があり、その機能だけの為に手放さない人もいるという。
安定化装置の導入
RD-X3で満足いかないTBCやY/C分離を改善するため、外付けのTBC(PROSPEC DVE773V2)を導入した。表向きは画質安定化装置だが、別の用途でよく売れている商品だ。
この種の安定化装置は、階調が失わてトーンジャンプしたり、暗部が薄くなることがある。これはA/D変換が8ビットの為だが、PROSPECの本機はA/D変換が10ビットのため階調を損なわず元ソースに忠実な出力が得られる。
本機は電源OFFで元ソースを直接出力する仕様のため、処理結果の比較ができる。瞬時切り替えで比較しても、ほとんど劣化が見られなかった。
使いこなしのコツは、シャープネスの強さとNRレベルの調整。NRの効果が強すぎると、残像が出たり解像度が損なわれる。つまり逆に劣化してしまうので注意したい。AGCは必ずOFFにしておく。これはおせっかいな機能だ。
ダビングサービスへ外注する際の注意
ダビングが面倒な人は、そのサービスを外注に丸投げすること考えるかもしれない。このような外注サービスでは、どのような状態のテープが持ち込まれるかわからないので、NRなどは強くかけていると思われる。色補正や輪郭強調なども強めにかかってしまうかもしれない。
ダビングでは、できるだけ素材の情報を損なわないよう、ソースごとに品質を確認して補正効果を微調整するのが理想だが、ダビングサービスでは、そういう面倒なことはやらない(期待できない)のが普通だ。
結局、できるだけ良い品質で記録を残そうと思ったら、画質補正を自分でやるしかない。
<参考購入先>
PROSPECのビデオ編集機
USBビデオキャプチャー 安定化装置を中間に挟んで使うのが無難
ビデオレコーダー ブ時代の流れは放送からネットに変わりつつあります
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