いまさら遅いよDLPAリモートアクセス~衰退するメディア機器業界

 DLPAリモートアクセスガイドライン2.0というものがある。デジタルライフ推進協会が2014年に策定した。

 

 知らない人にとっては、これが何なのかイメージできないと思う。似たものにDLNAというものがあり余計混乱する。

 メルコ(バッファロー)やアイ・オ-・デ-タ機器などが、このガイドラインに沿った製品を作っている。これと連携してコンテンツを再生するソフトをデジオンが作っている。

 

ガイドライン策定の背景

 このようなガイドラインが生まれた経緯は想像できる。

 「テレビから撮ったものは、それを撮った機器でしか再生できない」

この不自由な制約が、長年メディア機器の売り上げに影を落としてきた。

 そこで「せめてスマホで見られるようにしよう」と考え、テレビで撮ったものを外で見れるようにするための仕組みを定めた。それが「DLPAリモートアクセスガイドライン」だ。

 ガイドライン策定から4年過ぎた今も、一般消費者のレビューがあまりない。おそらく売れていないのだろう。

 

DLPA機器よりiPhoneを買う

 DLNAの中身をみていくと、ライセンスや動画の持ち出しに制約がある。ニコニコやTouTubeでいろんなコンテンツを快適に楽しめる今、少しでもストレスを感じる場面があってはいけないもの。

「家族のだれもが、どこでも自由に試聴出来て、自由に持ち出せて、PC、スマホ、カーナビで再生できる」

そうでなければ、録画したテレビ放送を外で見るためだけの機器にお金を出してくれるはずがない。「DLPA機器を買うお金があれば、新しいスマホに買い替える」そう考える人も多いのではないか。

 

マーケティングの失敗

 DLPA機器を作るメーカーサイトの商品説明を見ると、DLPAガイドラインの説明とか、全体の機器構成とか、こんなことが出来ますとか、どうでもいい説明ばかり。機器メーカーが作る説明はだいたいこうなる。

 一番肝心な、ユーザーが実際目にする部分の説明が何もないから、自分がそれを使って便利になる姿をイメージできない。購入前に感じる様々な不安を事前に解消できるものになっていない。

 消費者が興味を持っても、結局よくわからないし、買ってみないとわからない物だからUターン。おそらくずっと、そんな状況が続いているに違いない。

 

出典:バッファロー LS411DXシリーズ商品説明

 図はバッファローのホームページにあるDLPA対応HDD(LS411DX)の説明の一部。

 ガイドラインの中身の説明など、消費者に見せる必要があるのだろうか。

 

  メディア機器の主役はソフト、機器は付帯物にすぎない

 ネットワーク・オーディオプレーヤー、ネットワーク・メディアプレーヤー、DLNAメディアサーバー、DLPA NAS・・・いろいろあるが、これらに乗るUIやソフトはオマケ。どこかのソフト会社に投げてのか、出来が良いとはいえないものが多い。

 ユーザーの使い勝手を徹底的に追求したアップルのそれとは、比べるべくもない。

 

メディア機器はPCに統合できる

 多くのメディア機器の中身は機能を特化したPC。すると、これらのメディア機器を個別に買って出来の悪いUIを無理に使わなくても、いまあるPCとオープンソースのフリーソフト(MPC-BEやfoobar2000など)を組み合わせれば、タダで同じことができてしまう。

 地デジや衛星放送は、不便なビデオレコーダーの代わりにTVチューナーとフリーソフト(TVTest,TvRockなど)を使う人も多い[1]。これは先に書いた

「家族のだれもが、どこでも自由に試聴出来て、自由に持ち出せて、PC、スマホ、カーナビで再生できる」

を実現できる。つまりDLPAで実現したことがやりたい人は、とっくの昔にPCに移行してやっている。今頃DLPAを出したところで、もう遅いのである。

 

 「外で見る」はオンデマンドで充分

 外出先で録画した番組を見れる・・それがDLPAのメリットだが、オンデマンドという似たことができる代替サービスがある。いまやほとんどの放送局がこのサービスと提携していて、だいたい1週間以内なら見逃した番組を無料で見ることが出来る。

 リアルタイムで見る必要がない人にとって、これで充分かもしれない。この仕組みは漫画雑誌や週刊誌など、あらゆる分野に拡大しつつある。将来、テレビやレコーダを不要にしてしまうかもしれない。

<オンデマンドの例>
dTV
Amazonプライムビデオ
┃プレミアムTV┃
▼with U-NEXT▼

 

動画サイト作品素材としての需要が高まる

 いまや映像コンテンツは、動画サイトに投稿する作品作りの素材に使われる。素材としての映像コンテンツのニーズは、どんどん増えている。そんな中、コピー、エンコード、編集が自由にできないものは、素材として使えない。

 自分で撮ったものなのに、見るだけでコピーも編集も自由にできない。そんな不便なメディア機器は、今後ますます売れなくなるだろう。

 

結論

 今や、PCとフリーソフトの組み合わせで大抵のことができてしまう。「外で見る」はオンデマンドサービスで十分。

 そんな中、専用のメディア機器を使うメリットは何か。そこを打ち出せなければ、今後もメディア機器の発展はないと考える。

 

<関連商品>
DLNA対応機器
ネットワークオーディオ
ネットワークメディアプレイヤー

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