ハイエンドオーディオとは何か~ガラクタだらけのハイエンド市場

 ハイエンドオーディオが息を吹き返してきた。元々ハイエンドは見た目だけの商品。貴金属や高級木材が贅沢に使われ、ゴージャスなインテリアの中に置ける外観が与えられている。これらは「音も一応出せる調度品」であって、音や性能を期待できる商品でないことに注意したい。

 

ハイエンドの実態

 ハイエンドと呼ばれる市場は、お金持ちの向けの調度品と、ボッタクリな値付けをしたガラクタで形成されている。少しお金を持っている弁護士、医者や、一部のマニアらはこのことに気づかず、見た目に惑わされて散財することがあるようだ。この市場の問題を詳しく説明する。

 

値段相応の価値はあるの?

 ハイエンドオーディオのカタログを見ると、情緒的な文句ばかりでデータが見当たらない。本当に価値ある商品なら、それを説明できる客観的なデータが必要だが、それが見当たらない。

 スピーカーに関しては少なくとも、周波数特性、歪率、インピーダンス特性が必要であり、アンプに関しては基本特性の保証と、歪率、ノイズ、ダンピングファクター(出力インピーダンスの周波数特性)などの詳しい「データ」が必要だ。

 性能を高めるためにコストをかけているなら、これらのスペックが商品の「価値」になるが、データが無い商品は、「モノの作り」「見た目」がメインの調度品であり、音に関しては1万円しない中華製と大差ない、と考えておきたい。

 

売りっぱなしで壊れたらおしまい?

 高額商品には、それなりのサービス体制が付随すべきもの。無響室、計測器などの測定環境が整ったサービスセンターを持ち、オーバーホールに出せばいつでも初期性能に復帰できる。部品は何年過ぎても修理できるよう長期保有する。それがハイエンドにふさわしいサービスの姿だ。

 現在のサービスの実態は、一般の修理業者に投げるだけ。サービス拠点の住所で検索すると、複数のメーカーが同じ場所を指定していることがわかる。高価なブランド品も、一般品と同じ扱い。

 例えばB&Wを修理に出す会社では、デノンやマランツも修理する。修理の内容は、壊れた部品を交換するだけで、測定などしない。

 つまり、ハイエンドの商品は「正規販売店」で売るが、修理に出すとその辺の「なんでも」修理業者に投げてオシマイ。性能不詳な修理品になっしまうのが実態である。

 しかも、製造終了後7年過ぎると修理不能。重くて粗大ごみに出すにも苦労する代物になる。つまりハイエンドのほとんどは、冷蔵庫や洗濯機などと同じ、耐久消費財と変わらない。

 

アクセサリはガラクタばかり

 ケーブルやコンセントなど、信号や電源周りのハイエンドアクセサリは素人が思い込みだけで作ったガラクタが目立つ。サイキョーを連呼する某サイトの主人が言う通りボロい。

 ケーブルにしろコンセントにしろ、ホームセンターで数百円で売られているJIS規格品の方が、ずっと優れていることを知っておきたい。

 

値段と中身が比例する商品を選べ!

アキュフェーズで揃えたオーディオセットの例

アキュフェーズで揃えたオーディオセットの例

 一般消費者が手を出してよい上限、性能や信頼性を伴った実質ハイエンドと呼べるメーカは私が知る限りアキュフェーズしかない。

 同社は身の丈に合った堅実な商売をしていてバブル以降の長期不況も乗り越え健在。自社サービスを持ち、古いアンプでも修理に出すと初期性能を復元してくれる。このサービスが同社の商品に普遍的価値を与えている。長期の修理対応が商品価値を高めることは、時計と同じ[1]

 

最後に

 どこを見てもデータがなく、サービス体制が家電レベル。美しい雑誌の写真と評論家の感想だけで売る商品は、調度品としての価値しか無い。ハイエンドのほとんどは「モノの作り」「見た目」がメインの調度品であり、「音」を期待するものではないことを知っておきたい。

 

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