IHと鉄のフライパンでパラパラチャーハンを作る

パラパラに出来た卵チャーハンの例 パラパラに作れないのは火力が弱いからだという説があるが本当だろうか。タマゴの使い方に何か重要なポイントがあるようだ。この謎の解明に取り組んで成果を得たのでご紹介したい。

 

 

チャーハンの品質に関係するもの

 チャーハンの品質には次のものが関係している。

タマゴの比率
油の比率
調理温度
ご飯の比率
ご飯の水分率

 いろいろあるが、タマゴに含まれるレシチンがキーであることが解っている。そこで、レシチンが最も効果的に働く条件を実験で探ってみた。

 

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準備

ご飯

 水分の少ないご飯が適している。標準の水加減に対し、20%~30%少なくして炊いたものを用意する。

 実験では新品の「キャノーラ油」を使用。
 実際の調理では、炒め油もしくは、天ぷらを揚げた使い古しの油を使う方が焦げ付きにくい(界面活性剤を含むため)。

タマゴ

 ボウルにあけて黄身と白身を軽く混ぜておく。

調理器具

 ビルトインのIHクッキングヒーターを使用。もちろんガスコンロでもかまわない。プライパンは以前ご紹介した窒化処理した鉄のフライパン(リバーライト極28cm)[1]を用いた。

 

卵の働きを調べる実験

実験1.低温でうまく作れるか

卵と油を低温で混ぜている様子 低温で卵を混ぜた油でご飯を炒めた様子

 油とレシチンは混ざり合う。レシチンが溶けたあとタマゴは用済みのはず。油が低温のときにタマゴをいれて攪拌し、タマゴが固まりだしたらタマゴだけ取り出し、残った油でご飯を炒める。タマゴと油の量は、入れるご飯に対して十分多い量とした。
 結果はご覧の通り、ご飯がくっついてしまいパラパラに程遠い結果に。たんぱく質が固まる程度の低温ではレシチンが油と作用しないようだ。

 

実験2.高温ならうまくいくか

卵と油を高温で混ぜている様子  高温で卵を混ぜた油でご飯を炒めた様子

 実験1と同じように低温のときタマゴを入れ、タマゴに薄く焼き色が付くまで中火で加熱したあとでタマゴを取り出し、残った油でご飯を炒める。油の多くがタマゴに取り込まれ、タマゴを取り出すと油があまり残らない。

 それと、油が泡立っている。残った油は少ないが、これでご飯を炒めてみた。結果は成功。パラパラだ。火力は終始中火。フライパンも焦げ付かなかった。

 

 タマゴと油が混ざるのは、明らかにレシチンがよく働いた結果だ。泡立つことや、フライパンが焦げ付かないこともレシチンの界面活性作用によるものに間違いない。

 レシチンがタマゴと反応するためには、混合した状態である程度加熱する必要があることがわかった。 タマゴと油が反応しやすい温度がおそらく決まっているが、一般家庭では薄く焦げ目が付くまでを目安にするのがわかりやすい。

 実験ではタマゴを取り出してしまったが、レシチンはタマゴの方に多く含まれるとみられるので取り出さずに調理するのが良さそうだ。

 

実験3.少量のタマゴでうまく作れるか

ごく少量の卵と油を混ぜている様子 ごく少量の卵と合わせた油でご飯を炒めた様子

 タマゴの量を少なくして、タマゴに焼き色が付いてから取り出さずご飯を入れて炒めてみた。結果は実験1と同じで、ご飯がくっついてしまった。どうやら油に対してタマゴの比率が少なすぎるとダメのようだ。

 

実験4.タマゴが多すぎた場合どうなるか

沢山の卵を油を混ぜている様子1 沢山の卵を油を混ぜている様子2

 実験3とは反対に、油に対してタマゴの量を極端に多くしてみた。タマゴがほとんどの油を取り込んでスクランブルエッグのようになった。この段階で焦げ付くようなら、後述のリンクを参考にしてほしい。タマゴに焼き色が付いたら、ご飯を追加して炒める。

沢山の卵と合わせた油でご飯を炒めた様子 沢山の卵と合わせた油でご飯を炒めた後のフライパンの様子

 結果、パラパラの黄金チャーハン!?が出来上がった。成功だ。

 タマゴの比率はかなり多くても問題ないようだ。黄金といっても今回のものはタマゴがご飯を包まず分離している。油を十分加熱してからタマゴを入れ、半熟が残るタイミングでご飯を入れればタマゴがご飯を包んで黄金にできそうだが、難度が高そうだ。

 ちなみに、タマゴが油で飽和する混合比は、タマゴMサイズ(50cc)に対し大さじ1(15cc)くらいだった。これ以上油を入れると油が液状で残り油っぽい仕上がりになる。

 何度もやった結果、あらかじめ油をよく加熱してからタマゴを入れないと、焦げ付く場合があることもわかった。

 

実験5.フッ素コートのフライパンで作る

 以上の結果から、パラパラに作るためのポイントは、タマゴと油を混ぜ、焦げ目が出来るまで加熱してからご飯を投入する所にあることがわかった。とすると、IHヒーターと強火が使えないフッ素コートフライパンでもパラパラチャーハンが作れるはず。早速やってみる。

フッ素コートのフライパンを使って卵を油を混ぜている様子 フッ素コートのフライパンでご飯を炒めている様子

 大さじ1(15cc)の油にタマゴMサイズ1個(50g)入れ、かるく混ぜつつ中火で焼き色が付くまで炒める(鉄のフライパンと違って低温から混ぜても焦げ付かない)。

 タマゴに焼き色が付くころには、油とタマゴが混じってスクランブルエッグのようになり、泡立ちが見られる。この状態になったらご飯1合分を投入し、オタマでつぶすようにしながら広げていく。

 

完成したチャーハンの例 IHとフッ素コートのフライパンで作ったチャーハン。薬味と調味料はご飯投入時に続けて入れてしまう。調味料は創味シャンタンと醤油がお勧め。醤油は最後に入れて少し焦がすといい香りが付く。火力は終始中火で調整不要。実に簡単。

 分量は、ご飯1合に対し、タマゴ1、植物油大さじ2が目安。

 

 


 

まとめ~これで美味しいパラパラチャーハンが作れる!

 用意するもの(ご飯1合に対して)。★は重要なポイント。

20%水加減を少なくして炊いたアツアツのご飯★
タマゴ:1個(黄身白身をよく混ぜておく)
植物油:大さじ2(半分くらいをラードにしてもいいです)
創味シャンタン(フォークでほぐしたもの大さじ1 約5g)
酒:大さじ1
醤油(小さじ1~中さじ1)、黒胡椒、ネギ、厚切りベーコン

「冷や飯」や「冷凍ご飯」を使う場合はレンジなどで事前に炊き立てと同じ温度に加熱しておく。これをサボると鍋が冷えてレシチンの働きが弱まり、焦げ付きの原因になる。

 普通に炊いた余りご飯(冷や飯)は、最初から水を少なくして炊いたご飯並みにパラパラにならない。必ず、チャーハン専用に水加減を少なくして炊いたものを使う。

 油は新品よりも天ぷらや唐揚げなどで使った古いものの方が風味が良い。

 

1.フライパンに油をいれて中火で加熱する。
 フライパンが鉄の場合は、煙が出始めるまで温度をあげる。以後、火加減はずっと「中火」のままとする。
 (参考:サラダ油の蒸発が始まる温度は、当方の実験では約200℃。これを超えると煙が出始めて温度上昇が抑えられる)

2.タマゴを油に浮かべるようなイメージでそっと回し入れる

3.タマゴに火が通り薄く焦げ目がついたら★、バラバラにしてフライパン全体になじませる
 このときフライパンが焦げ付く場合は、油が足りないか、油の加熱が足りない。

 

十分加熱した油の中に卵を入れて混ぜた様子

 タマゴに少し焦げ目が付いて、泡立っている。界面活性剤が有効に働いている証拠。これが、ご飯が焦げ付かず、くっつかなくなる秘密。

 鉄鍋ではごまかしが効かない。あらかじめご飯に卵を混ぜておいて炒める・・鉄鍋でそんな奇妙な技は成立しない。ちなみに写真の鍋はリバーライト極28cm

 

 

 

4.醤油とネギ以外の材料を全部放り込んでよく攪拌する。

卵に火が通った所でご飯と調味料を投入したところ フライパンの中でご飯を混ぜている様子

 

 写真のご飯は1.5合。ベーコンは事前に炒めておくと香りがよい。

 

5.大体混ざったら、ネギと醤油を加えて混ぜ合わせ、少し炒める。

ネギと醤油を加えた様子

 

 

 

6.完成

完成したチャーハンを盛り付けている様子 完成したチャーハンの拡大

 

 

焼き豚チャーハン(2018/9/23)

豚の小間肉で焼き豚を作っている様子 ベーコンの代わりに焼き豚を入れる。

 フライパンに豚小間肉か薄切り肉を広げて中火で焼く。片面に焦げ目がついてきたら、しょうゆ、酒、砂糖(3つとも等量でよい)を入れ、水分がなくなるまで混ぜながら煮詰める。

 肉だけ取り出して、細かく切る。これとフライパンに残った油を、上記4の工程(ご飯を入れるタイミング)で入れる。

 

完成した焼き豚チャーハン

 完成品。今回はキャベツも入てみた。

 ベーコン+ラードより本物の豚の方がずっとおいしく出来上がる。これはもう、お店の味とほとんど同じ。

 だが、肉の食感が違う。肉を焼き豚同様柔らかくするにはミオラが役に立つ。

 

 

最後に

 調味料の比率は多少変えても問題ないが、調味料の合計重量を、ご飯(野菜炒めも同じ)の重量の10%程度にすること。ここから大きく外さなければ、味付けで失敗することはない。

 

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