完全無欠コーヒーが体にいいってホント?~グラスフェッドバターの真実

グラスフェッド+MCTコーヒー

写真はグラスフェッドのギーにMCTオイルを加えた完全無欠コーヒー。ネットで話題になっていたので作ってみた。コーヒーとバターは相性が良い。これが体にいいとか、ダイエットにいいとか言われているが、本当だろうか。

 

グラスフェッドバター、ギーとは何か

グラスフェッドは牧草のみで育てる畜産の方法をいう。グラスフェッドバターはそうした牛のバター、ギーはバターから脂質以外の成分を取り除いたもの。ギーを奇跡のオイルという人もいる[1]

グラスフェッドのバターやギーは、オメガ3が豊富で飽和脂肪酸が少ないから体にいい、ダイエットに効果があるという。牛の食い物が少々違うだけで、そんなものが都合よくできるのか。疑問に思ってネットを調べるが、成分を比べたデータが見当たらない。

 

バターとギー(グラスフェッド)の成分の違い

表1.バター100g中の成分(は体に悪い、は体に良いとされるもの)[1]

  バター ギー(グラスフェッド) 倍率
飽和脂肪酸(長鎖) 55% 48% 0.87倍
オイレン酸(ω9) 30 32 1.1
飽和脂肪酸(中鎖) 7.9 9.0 1.1
α-リレイン酸(ω3) 0.5 3.2 6.4
リノール酸(ω6) 2.1 1.4 0.67

グラスフェッドバターの成分はわからないが、グラスフェッドギーのデーターならある。それが上の表。ギーはバターから脂肪だけ取り出したものなので、成分は基本的に同じ。

見てわかるように、成分のほぼ5割が肥満の元になる長鎖脂肪酸ありグラスフェッドになっても大差ない。問題のオメガ3は普通の6倍もあるが、量は全体の3%にすぎない。

ω3が通常の6倍!でも3%なら関係ないね。

というのが実態。ネットにはオメガ3とオメガ6の割合が理想的な2:1だ!という記事もある。概ねそれに近いが、両方足しても全体の5%に満たない。半分が肥満の元になる長鎖脂肪酸だから、オメガ目当てにバクバク食えるものではない。少なくともダイエット目的で摂る油ではない。

 

結論~普通のバターと大差ない

通常品とグラスフェッド品の違いは「見た目」「風味」だけと考えたい。つまりこれは、

「普通のバターに比べてオメガが、ほんのちょっぴり多いです」

といって売るのが適当。健康やダイエットを目的に積極的に選ぶ商品ではない。僅かな成分を取り上げて大げさに宣伝したら、あるある(番組)と変わらない。

グラスフェッドバターを勧める記事に成分の比較表がないのは都合が悪いからだろう。ネットは商売に都合よく書かれた記事で溢れているので注意したい。

 

オメガを摂りたかったら

オメガ3だの6だのゴチャゴチャあってわからん、何回聞いても忘れる、という人は、とりあえずアマニ油オリーブオイルを口にすればよい。

アマニ油のオメガ3は全体の50%以上[Wiki]、ω6も14%含まれておりまさに最強。えごま油も同等[2]、値段も同じくらいなので、好きな方を選べばよい。ただしオメガ9が少ないので、ここをオリーブオイルで補う。これでオメガをコンプリートできる。ちなみに「えごま油」と「ごま油」は別物なので注意。

最近はドレッシングやサラダ油にこれらを添加した商品がある。個別に買うのは面倒という人は、これらを使うといい。ちなみに、オリーブオイルが高いという人は米油で代替できる。揚げ物におすすめできる。

 

バターコーヒーを作るなら

普通のバターにアマニオイルを数滴足すだけで、グラスフェッドの完全無欠を超える飲み物が簡単にできる。健康やダイエットには効果ないのでほどほどに。

ダイエット目的なら脂肪が付きにくい中鎖脂肪酸(MCTオイル)をメインにしてバターは香りづけにとどめるのが正解。MCTを飲んだから痩せるわけではない。今まで食っていたものをMCTに置き換えるから、痩せるという話なので注意。

完全無欠コーヒーは、デーブ・アスプレー氏が考えたものとされ、シリコンバレー式 自分を変える最強の食事で紹介されているという。このダイエットの主役はMCT。それだけだと味気ないので、バターを加えてみた、というのが本当のところではないか。

えごま油とMCTオイル

えごま油はちょっと色がつく。写真のMCTオイルは精製度が高く透明。どちらもほぼ無味無臭でいろんな料理に使える。加熱には向かないので注意。

 

<参考購入先>
グラスフェッドバター
グラスフェッドギー
アマニ油
えごま油

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<参考文献>
1.ギーとバターって何がどう違うの?奇跡のオイルと呼ばれるギーを徹底検証!
2.えごま油の成分