無垢フローリングの良さと仕上げ塗料の選び方、メンテナンスの仕方

 家を新築するとき、フローリングを選べる。我が家では無垢の無塗装品を貼り、自然塗料で仕上げた。その塗料の選び方と、10年過ぎた結果をご紹介したい。

 

なぜ無垢なのか

 ハウスメーカーが採用する床材のほとんどが合板にペラペラの突板を貼ったもの。最初は綺麗だが、傷ついたり擦り減るなどして寿命を迎える。

 恒久的に持つ床材はないものか・・・そう考えると無垢板が候補になる。無垢の床材は中まで同じ材質なので、摩耗は問題にならず、傷ついても削ってしまえば元通りになる。

 しかし、無垢でもウレタンやエポキシなどで塗装されていると、素材に関係なく塗料で寿命が決まってしまう。塗装された床材は無垢であっても突板合板と変わらない。つまり無垢のメリットが生かされない。

 

無塗装の無垢材を自然塗料で仕上げる

 自然塗料で塗装した木材の補修はとても簡単だ。スポンジやティシュで適当に塗って染み込まなかった分をふき取るだけ。床材が深く傷ついた場合でも、ペーパーで傷の周りを滑らかにして、自然塗料を塗ればほぼ元通りになる。

「無垢材と自然塗料を組み合わせれば、恒久的な床材になる」

 私はそう考えて新築で採用した。

 しかし無垢の床材には欠点がある。それは「曲がる」「反る」といった天然素材特有の性質だ。 施工直後はきれいな平面でも、次第に凹凸が生じる。所によって隙間が大きく開いたり、踏むとキシミ音が出る場合もある。施工後数年はこのようにやや不安定だが、次第に環境になじんで変化が少なくなる。

 

無垢より高い合板フロア

 無垢の床材は無塗装品を選ぶことで合板と同等以下になる。自然塗料はやや高価だが、塗装に技量は必要ないので自分で塗装してもよい。

 合板の床材に耐摩耗などの機能を求めると値段が上昇し、どんどん高額になる場合が多いようだ。

 

自然塗料とは何か

 自然塗料とは要するに塗った後で固まる油。アマニ油が使われる。木材によく浸透し、酸素と反応して硬化する。その硬化物は比較的柔らかく、摩耗しやすい。

 硬化物は溶剤などに侵されず、水分を遠さないが、木材の導管を塞がないため木に塗ったものは木材の導管を通って内部に水が浸透してしまう。そのため、水濡れに弱い欠点があるが、後日改善策を見つけた(後述)。

  当館ではこの自然塗料を木部塗装に限らず、金属の錆止めや自動車用コーティング[1]などにも利用している。

 

自然塗料の種類と選び方

 自然塗料を作る主なメーカーに、オスモ、リボス、エシャがある。

 同じメーカの中でも似たような商品が数多くあり、選定に迷う人も多いと思う。リボスは50ccのサンプルが手軽に手に入るため、いくつか入手して評価してみた。

無塗装床材の仕上げに使う自然塗料の候補一覧

注:サンプルは各塗料をコピー用紙に表面に艶が生じるまで重ねぬりしたものを製作。耐汚染の水性マジックは水洗いしたときの落ち具合から評価。油性マジックはペイント薄め液を使った落ち具合から評価。カルデットは水性マジックを表面ではじく。耐摩耗はツメ先による引っ掻きで評価。浸透性はコピー用紙に滴下したときの染み具合で5段階の相対評価。カルデットのクリアは他の色付きカルデットとは別物で、希釈用とみられる。’-‘は未評価の項目。

 傾向として、油の粘度が高いものほど(浸透しにくいものほど)塗膜の耐久性、保護能力が高い。メルドスはサラサラのためか、あまりよい結果が得られなかった。

 この結果からいくと、屋内のクリア塗装は何も考えずにアルドボス1本でいいようだ。

 色づけしたい場合はカルデットがいい。好みの濃さになるまで重ね塗りし、アルドボスもしくはクノスで仕上げる。我が家はカルデッド(オーク)下塗り、アルドボス仕上げとした。

 タヤエクステリアは濃い色がつく。これはその名の通り屋外用とみるべきで、色ムラもできやすくフローリングには不適当とみられる。

 

施工10年後の様子(2016/12/11)

自然塗料で仕上げたナラの床 10年後の様子 写真は施工10年目を迎えるナラ無垢+自然塗料(アルドボス)仕上げの床。 夏は継ぎ目の部分が閉じて盛り上がり、冬は隙間になる。

 無垢フローリングはワックスの代わりにアルドボスかエシャ クラフトオイルを塗るといいが、塗る前に汚れ落としが必要。面倒なこともあって結局何もしなかった。

 

 

無垢の床材に付いた深い傷を補修した後の様子 1mm以上の深い傷がガシガシついた部分。補修箇所がわかるだろうか。

 通常の床材だと下地に達する傷はどうしようもないが、無垢の場合、ペーパーで均して自然塗料を塗るだけでほぼ元通り。

 補修が簡単なのも無垢のメリットだ。

 

 
 

水がかかる場所のメンテナンス(2016/12/11)

 自然塗料の仕上げは水に弱い。普段から水がかかる水回りの床は変色してしまう。これが課題だったが、解決策を見つけた。それは、との粉下塗り+自然塗料仕上げ[2]。これで耐水性の高い被膜ができ、見た目もほとんど変わらない(最初からこれを指示してやってもらえばよかった)。

 下の写真はその施工をしているところと、施工後。との粉をある程度残して塗ることで艶消しの高級感ある仕上がりになる。水に強く、汚れも染みない。以後のメンテナンスはすべてこの方法に統一した。

との粉を塗って自然塗料の下地を作っている様子 との粉の上から自然塗料を塗って完成した様子

 

汚れのメンテナンス(2024/07/09)

 台所の床は油のハネなどで黒く汚れやすい。普通の洗剤でこれを落とすことは困難。

 これに有効なのがオレンジクリーナー(リモネン)。いままでどうにもならないと思われていた黒ずみの汚れが、みるみる溶けて綺麗に落ちる。皮脂汚れや油汚れに有効。自然塗料で仕上げた木部全般に使える。

オレンジオイルで掃除したフローリング

手前がオレンジオイルで拭いた部分

<参考購入先>
リボス自然塗料

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