オイルフィニッシュで食洗機に耐える皮膜を作る

 木部の仕上げに自然塗料を塗ることを「オイルフィニッシュ」と呼ぶ。染み込ませて拭き取るだけなので塗料さえ入手すれば誰でも簡単に施工できる。自然塗料の主原料はアマニオイルなどの「乾性油」で、古くから油絵具のベースオイルとして使われてきた。

 DSC00589写真はアマニオイルにシッカチーフ(硬化促進剤)を混ぜて作った硬化物。このような破片を作るといろんな実験ができ物性の理解に役立つ。

 酸素と反応して硬化することから、溶剤を混ぜても先に揮発して無溶剤塗料のような緻密な皮膜ができる。表面から硬化が進むため塗膜が厚いと硬化に時間がかかる。

 

 硬化物は表面張力で水をはじき、溶剤に溶けない。柔らかく弾性があるため、傷がつきやすく摩耗しやすいが、自分で簡単に補修できる利点がある。

 

オイルフィニッシュは水に弱い

 オイルフィニッシュの表面は水をはじくので、ある程度の耐水、耐汚染性がある。しかし普段水のかかる水回りのカウンターやダイニングテーブルには使えない。

 オイルフィニッシュは表面に被膜を作る塗装ではなく、表面から内部に染み込ませる。そのため木肌は基本的に裸のまま。これが「木肌を生かす」「呼吸を妨げない」利点になっている反面、水も内部に浸透してシミが出来たりふやけてしまう。

 この問題は、何度も重ね塗りすることである程度改善する。しかしナラやタモなど導管が発達した木材の場合は何度塗り重ねても防水できるくらいの皮膜が作れない。

 

との粉を併用して水に弱い欠点を克服する

 一般の木部塗装では木肌にフラットな塗膜を作る為「との粉」を使って目止めすることが多い。しかしオイルフィニッシュでとの粉を使った例はあまりない。というより、オイルフィニッシュは「染み込ませる」仕上げだから、との粉でその染み込みを防ぐという考えは通常出てこない。

 との粉でオイルフィニッシュは、おそらく誰もやったことがない施工法だと思う。

 との粉を使ったオイルフィニッシュは、できないのか。うまくいけばナラやタモでも完全な防水皮膜ができるのではないか。

 物は試し、やってみることにした。

 

との粉でオイルフィニッシュの施工例

 

1.水回りのカウンター

 

DSC00546 写真はタモのカウンターをとの粉処理している様子。過去オイルフィニッシュした表面に一度ペーパーをかけ、との粉を塗布。

 乾いたら軽くペーパーをかけ、上からカルデット(オーク色)を塗りこむ。スリ込むように塗って着色し、15分程度養生してからふき取る。下塗りが乾燥したらエシャクラフトオイルで仕上げ塗りし耐水皮膜を作る。

 

 写真右はその結果。ツヤのある仕上がりはウレタン塗装に近い。木工塗装では余分なとの粉をペーパーで削り取るが、との粉を残したまま(左の写真の状態で)塗りこむと、との粉を塗らない仕上に近い「ツヤ消し」になる。

 防水性について、予測通り十分満足いく結果が得られた。

 

DSC00591 これまでどうしても改善できなかった太い導管が集まる部分(写真中央部)に水が浸透しなくなった。

 一度との粉で目止めしておくと塗り重ねでどんどん皮膜を厚く出来る。

 それと、との粉が塗料の浸透を防ぐため、高価な塗料の消費も大幅に少なくなった。

 

 

 

2.竹製のしゃもじ

 

DSC00555

 写真は無塗装のしゃもじ(竹製)をとの粉で処理している様子。ペースト状にしたとの粉をべたべた塗る。

 との粉が乾いたら拭き取らずにそのままオイルを塗りこむ。

 

DSC00560 との粉はオイルを含むと見えなくなり、導管を埋めた部分は色濃く染まり、しかもつや消しに仕上がるので、見た目は従来のオイルフィニッシュとあまり変わらない。しかも塗装に必要な塗料は大幅に減っている。

 耐水性もよく、毎日食洗機に放り込んで洗っている。

 

 

 

3.ナラの床板(2016/12追記)

 

 

水で溶いたとの粉を塗り乾かしたのち、との粉を拭き取らずにカルデッド オーク色で上塗り。つや消しになっていい感じ。塗料が無駄に染み込まないので経済的。耐水性、耐汚染性は以前と比較にならないほど良い。

 下地調整のため事前にペーパーがけを実施してある。広い面のペーパーがけは電動工具が無いと大変。写真のマキタの防塵ミニサンダが使いやすかった。

 

 

<参考購入先>
との粉 白が万能に使えてお勧めです
カルデット オーク 下塗りに使える万能塗料です
エシャクラフトオイル 水周りの耐水仕上げ欠かせない塗料です
アマニオイル(リンシードオイル) 食用はオメガ3系の健康食品です
シッカチーフ 硬化促進剤。ブラウンタイプが最も硬化が早いです

 

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