新築を機に導入されるシステムキッチン。我が家ではいろいろなメーカーの商品を調査してヤマハ(現在トクラス)。これを10年使ってみて、良かった点や問題に思った点などをご紹介したい。これからシステムキッチンを選ぶ人の参考になれば幸いだ。
キッチン本体
構造・素材
対面キッチンが一般的な現代では、システムキッチンを選ぶ人がほとんどだと思う。高価なシステムキッチンを長持ちさせるためのポイントに耐水性がある。
できるだけ長く使いたいと思ったら、オールステンレス製しかない。厨房で使われる業務用のほとんどがこれ。高価だが、導入すれば一生モノ。とはいえ業務用のデザインは一般家庭の室内に合わない。
ナスラックが業務用と家庭用の中間の商品を展開しているので、一度見ておくことをお勧めする。
サイズ
写真はサイズ255。シンクの両サイドに調理スペースがあるが、実際使ってみると狭い。
もし右サイドのスペースがなかったら、ほとんど何もできないと思っていい。この場合、シンクの上に蓋をしてスペースを拡張できる仕組みが必要。
ベリーのシンク幅は80cm近くあり無駄に大きい。食洗器があるならシンクは小さくていい。シンクより調理スペースの方が重要。
狭い調理スペースを有効に使うために、まな板に小さいものを選ぶ。写真のまな板は340×230(三洋化成 PSH-W)。
まな板を2枚置けると置けないのとでは、調理のしやすさがかなり違う[3]。
ワークトップ(天板)の素材
ステンレスと人工大理石がある。
人工大理石とはプラスチックのこと。デュポンコーリアンは硬いため、作業中音が出やすい。普通の不飽和ポリエステル系がベスト。ステンレスと違って傷がほとんど目立たない。
ビルトインのクッキングヒーターとカウンターの間に隙間があり、汚れが詰まって不衛生になる。ここは不乾性パテ(ネオシールB-3)で埋めておくと掃除が楽になる。
金属たわし厳禁。カウンターや排水口の表面に傷をつけると汚れが傷の中に入って雑菌が繁殖するようになる。
傷を付けないように、傷が付いたら滑らかに補修するよう心がけることが、天板を長持ちさせるコツ。
パネルの色
我が家のシステムキッチン(ヤマハ ベリー06秋モデル)。
パネルの色はいろいろ選べるが、ホワイト、ブラウン、ダークブラウンなどのごく一般的な色にしておく。それ以外の特殊な色や模様を「わあーこれステキ」などと思って選ぶと周辺のキッチンラックや収納、冷蔵庫の扉などと色が合わなくなる。
手前に写ってる食洗器はいずれ交換になるが、このとき問題になるのが「パネル面材」。食洗器を買い替えると同じ面材が流用できない場合が多い。この場合システムキッチンのメーカーから取り寄せることになるが、5年過ぎると廃番になってしまうことが多い。すると、食洗器のところだけ色違いになり、見た目にこだわったことが裏目に出る。
ほとんどの人は、パネルを選ぶときそこまで考えない。パネルは一般的な色、長年作られている色を調べて、その中から選ぶことが重要。
タオル掛けの問題
実用上の問題にタオル掛けがある。シンクの下に引出しがあるタイプでは、タオルが引出し開閉の邪魔になりやすい。仕方なくシンク下の引出し取っ手に付けている。このあたりをどう解決しているか、よく観察することが大事(最近の商品はこの点改良されている)。
引出し
ショールームでは引出しの底や裏側の見えないところをよく見る。
引出しの内側。油や調味料などを入れる引出しの底板は耐水仕様でなければならない。でないと、酒や醤油など塩分の入ったものをこぼすと一発でダメになる。100均のトレイや新聞紙も上手に併用したい。
写真の引出しは耐水仕様で、側板との境界もピッチリ隙間なくできている。
注意のシールが貼られている階段状の段は、上から油や醤油が漏れてきた際、ここで止まって被害の拡大を防ぐ役目がある。
引出しのレール。重量物を何回も出し入れするレールの耐久性はとても重要。
できれば引出しを外して、ローラーの軸受やレール板材などに太く厚手のしっかりしたものが付いていることをチェックしておきたい。
重量物の引き出しと、小物用のキャビネット引出しのレールは違う構造になっている場合が多いので、両方ともチェックしておく。
引出しを閉めると、スーッと静かに引き込むダンパー。見た目はいいが、引き出すときの最初が重く、価格が高い欠点がある。
故障すれば、それなりに費用もかかる。頻繁に出し入れするところには無いほうがいいかもしれない。
引き出し側に設けられたレールの傾斜と、カウンター下端に見えるゴムクッション。ある程度閉めると重力で自然に閉じていき、音も小さい。
このような機構があれば、ダンパーは必要ない。
水栓
アルカリイオンだの浄水器だのついていない、シンプルなものがよい。余計なものが付いていると消耗品にお金がかかるうえ、故障したときの出費もバカにならない。
片手ハンドルのシンプルな水栓。ノズルの分解清掃も容易。10年過ぎて出口のメッシュが劣化し、シャワーが真直ぐ飛ばなくなったためヘッドごと交換。自分で交換して7千円の出費で済んだ。
2人で台所に立つ場合の注意点
システムキッチンは基本的に一人で台所に立つ場合使いやすくできていて、2人以上で立つと使いずらい。原因は、幅の広い引出しにある。
例えば嫁姑の組み合わせで、嫁さんが引出しから何か取り出したいとき、引き出しを開くため姑さんにどいてもらわないといけなくなる。2人でキッチンに立つ場合は、収納が開き戸になっている方が使い勝手が良いことを知っておきたい。
この問題の本質的改善には、調理台の下に調理道具を置かないレイアウトを検討する必要がある。調理台の下にはめったに使わないものを入れ、調理が始まってから使うものは反対側(背中側)に収納がある形がベストである。
レンジフード
対面キッチンでは騒音が問題になりやすいので、音を優先して選ぶ。これはショールームなどで実際に運転してみるしかない。
ヤマハ(トクラス)のサイクロンフード。捕集率の高さ、静音性、手入れのしやすさなど文句なしの性能。
クッキングヒーターと連動し使い勝手も良い(NECフォーマット富士工業コード赤外線信号38KHz)。
照明はLEDに換装して手元が大変明るくなった。周辺に貼られた汚染防止の板はアイカのセラール。
問題は排気ダンパーの円形板の縁に油がついてくること。放っておくと油でダンパーがくっついて開かなくなり、故障の原因になる。
毎日聞いていると音でわかる。写真は7年目にこれに気づいて清掃したときの様子。付着した油を割り箸でそぎ落とし、亜鉛メッキ塗料で塗装。
食器洗い乾燥機
ビルトインの食洗器は是非付けたいアイテム。必ず深型を選ぶ。
食洗器で問題になるのが「音」できるだけ静かなものを選んで欲しい。
写真は松下の除菌ミスト付き。ミストの効果は実感ないが、夜間電力が使える4時間の予約タイマーが便利(6時間があると良いのだが)。
10年使ううち故障したのは一度だけ(スイッチの接点不良)。10年過ぎてパイプの劣化による水漏れがあった。
使い勝手で気になっているのは包丁が説明書通りに置けないこと。いつも使っている包丁を持参してチェックしておきたい。
食洗器の問題に清掃がある。問題は上蓋のパッキン(白い洗剤カス)と、本体ケース内。どちらも手が届かないので、基本的に汚れるに任せることになる。
本体ケース内は暖かいことから、ゴキブリの巣になってしまう例もあるようだ。
本体ケース内は普段全く見えないし、分解しないと清掃もできない。ここは運用で汚れないよう注意する。
基本的には、
無理に詰め込んで洗わないこと(上蓋の隙間から洗浄液が漏れる)。
洗浄中に一時停止して扉を引き出さないこと(蓋に付いた水滴が垂れる)。
収納の課題と解決方法
キッチンで使うものは沢山あり収納が課題になる。キッチンで使うものを全部キッチンに置こうとすると1部屋必要になり、それらを全部、カウンターと合わせてシステム収納にすると大変高額になる(下手をすると高級車1台分!)。
収納庫はメーカーのシステム品を使わず、汎用品のカップボードやスチールラックで賄う。スチール製品は防錆加工しておくと長持ちする[1]。
さらに、普段使うものだけキッチンに置いて、他は別の場所に分散させる。これによりキッチンスペースが広がり収納がコンパクトになる。
我が家では玄関収納に広くスペースをとって大量のスチールラックを設置。普段使わない大物(すし桶、製麺機、梅酒瓶、ホットプレートなど)はそちらに置いている。
食器類も普段使わないものの方が多くある(お客様用の食器やポット、お茶用の器具など)。これらは扉付きの収納が望ましい。カップボードに入らない分は、別の場所に収納しておく。
カップボード
市販のカップボードは大抵、ホワイト、ブラウン、ダークブラウン。システムキッチンのパネルをこれらの色にしておけば、汎用品と色を合わせて使うことが可能。
カップボードの上は炊飯器、フードプロセッサー、ポット、トースターなどを置いて一杯になる。
下のスライド棚は1枚目の写真に見える通りブラウンに塗装した木箱を置き、収納として使用。
このカップボードのオープンスペースは天板含め全周耐水加工されている。
炊飯器は本来下のスライド棚に置くよう作られているが、使いにくいのでオープンスペースに置くようになった。炊飯時の蒸気が天板に当たるが、10年間、蒸気にさらされて問題なかった。
キッチンラック
写真はルミナスプレミアムラインで作ったキッチンラック[2]。 非常に頑丈で見た目も良い。写真の収納バスケットはメルカドの浅型ケース。
右下の背の低いバスケットは奥行30cm(100均)サランラップを取り出すのに便利。
シェルフ正面の平面部にマグネットでメモ用紙を止めることも可能。
米びつ
米びつは必ず必要なものなので、どんな形のものをどこに置くのか、考えておくことが必要。
ヤマハのシステムキッチンでは写真のようなものが付属してきた。容量5kgあり使い勝手はまあまあ。
ゴミのストック
キッチン収納ではゴミの分別ストックが課題。結構スペースをとるのでよく考えておきたい。システムキッチンではこの点ほとんど考慮されていない(あってもロクなものがない)ので、米びつ同様、どんな形のものをどこに置くのか、最初に考えておくことが必要。
我が家ではレンジラックをルミナスのスチールラック(幅60cm)で構成し、一番下の空間にゴミ箱の収納スペースを作ってダストボックスを並べた。
写真はクードスリムペダル。大容量(33L)で使いやすい。壊れたらリピート買いを繰り返してもう10年以上使っている。その上の小型ポリバケツ(6.5L)は空き缶や瓶などを一時保管するためのもの。
このスペースでクードスリムペダル(33L)×2+ポリバケツ(6.5L)×4で合計6分別に対応。
勝手口の外に設置したゴミストッカー(ラシェッド ベランダストッカー)。
キッチンから出るゴミ全部をキッチンの中でストックせず、屋外に分散させてキッチンのゴミスペースを最小限にする。
屋外ストッカーの色は壁と合わせることで目立たなくできる。写真のものは横から蓋を開けやすいようノブを追加してある。
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人気のシステムキッチン ショールームで現物をよく観察することが重要です
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<参考文献>
トクラス
<改訂履歴>
2018/4/30 写真を大幅に追加し内容加筆しました。