体をこわして正月休みが台無し!?~年末大掃除のコツ

 頑張りすぎて疲れたり体をこわして正月休みが台無しになった経験はないだろうか。疲れを翌年に持ち越したり、風邪をひいて正月を布団の中で過ごすことほど損なことはない。掃除の疲れを翌年に持ち越さず、正月を快適に過ごすための秘訣をご紹介する。

 

なぜ大掃除すると疲れるのか

 年末に頑張ったけど、全部やり切れなかった。残りを翌日にやろうと思ったが、疲れが残っていて体が思うように動かない・・

 それは無理な姿勢で作業をしたり、普段使わない筋肉を使っため。疲れを押して翌日も働くと、体力を消耗して体をこわすきっかけを作ってしまう。

 仕事が残ったら翌日は休んだほうがよい。しかし「年明けまでに掃除を終わらせたい」という思いから、つい頑張ってしまう。

 年末の掃除で体をこわした人は「もっと前から掃除を進めればよかった」と反省するだろう。そんな辛い思いをしても人は1年も経つとスカッと忘れて同じことを繰り返してしまう。

 

 

補修が計画を狂わせる

 掃除中に補修が必要な場所が見つかることがある。サッシの敷居の破損、コンクリートの割れ、塗装のシミ、壁面の割れ、普段見ない場所のカビ、屋外水栓の破損、レールやパイプの錆など様々。

 掃除を始めてからこれに気づいて「年内に何とかしよう」とすると仕事が倍増する。最初は簡単に終わると思っていても、いざ始めると手間がかかることが多い。

 補修には道具や資材がいる。ホームセンターに何度も往復しながら掃除を並行してやると疲れてしまう。時間に余裕があれば、アマゾンなどの通販が使えるが、年末ギリギリに始めると体を動かすことになり、それが余計な負担になる。

 

補修の例

屋外プラスチックの亜鉛めっき塗装[1]

 

ジンクスプレーで保護した屋外水栓まわり ジンクスプレーで保護した散水ホースリール

 屋外にあるプラスチックのアイテムは亜鉛入り塗料(ジンクスプレー)で長期間保護できる[1]。塗料は数年で消耗してくるので、上塗りが必要。

 

紙クロス

エアブラシでクロスのシミを補修塗装している様子 クロス補修用の塗料を調色している様子

 クロスの変色やシミをエアーブラシ(タミヤ製)で補修しているところ。我が家は紙クロスなのでこのような補修ができる[6]。白っぽいクロスは、白+黄+茶の組み合わせ。この3色があればまったく同じ色を作ることが可能。

 2枚目の写真はクロスの色にあう塗料を調色しているところ。ツヤ消しの白をベースに、黄色と茶色をほんの僅か足していく。換気の悪いところでスプレー作業することが多いため、塗料は水性ホビーカラーかタミヤのアクリルミニがよい。

 

システムキッチンの引出しレール

システムキッチンのレールに出来た錆び

 システムキッチンの引き出しに入れた調味料をこぼして放置すると酷いことになる。写真はこぼした引き出しの下の引き出しの裏側。レールがサビサビ。

 キッチンには冷蔵庫やカップボードなど引き出しが多い。壊れると部品を取り寄せることになって厄介。3年に一度くらい、注油しておくと動きがスムースになり長持ちする。

 錆に関しては、ロックタイトの錆転換剤が便利に使える。中身はサビチェンジャーと称するカー用品と同等でお買い得。ぜひ用意しておきたい。潤滑油はプラスチックに安心なRational 003がお勧め。

 

ポットのパッキン

 高温の容器に触れる蓋のパッキンが最も痛みやすく、白くなっている場合は寿命。このパッキンは消耗部品として入手できる。大抵取説に記載があるので、チェックしておきたい。

ポットの蓋を開いてパッキンを点検している様子

 ちなみにパッキンは保温温度を低めに設定しておくと長持ちすると同時に省エネになる。熱いお湯が必要なときは電子レンジで加熱すればよい。

 

室内造作物(床、棚、家具類)

 アクリル絵の具かくれん棒自然塗料などを場所に応じて使い分ける。

アクリル絵の具で補修した食器棚

 アクリル絵の具で補修した食器棚。ツマミ周辺にツメが当たって塗料が剥がれしまったところを塗ったが、わかるだろうか。家具などの室内造作物は、黒、黄、赤(茶)の組み合わせで全く同じ色を作ることが可能。

 アクリル絵の具には、ツヤのある通常品と艶消しになる「ガッシュ」の2種類あるので注意。ガッシュは完全艶消しになってしまうため補修に向かない。

 木材の目に見える凹み(隙間、傷、穴など)は、かくれん棒が威力を発揮する。こちらはドライヤーで温めると塗りやすい。

 藤や竹、机など下地を生かした製品には自然塗料(タヤエクステリア、50cc瓶)のから同じ色のものを購入して染み込ませる。

 

マグネットコードの接点

 繋ぐたびにパチパチいう場合は接点がカーボンで汚れていることが多い。悪くなる一方であり、カーボンを取らない限り改善しない。ここはルーターゴム砥石で削り取るしかない。

家電のマグネット接点

 この問題は電気ポットに多い。水を補充するたびにここを脱着しない運用をお勧めする[8]

 

 

あけてみてびっくり!年に一度見ておきたい点検箇所

 見落としがちな点検箇所についてご紹介する。長年放っておいた場所は酷いことになっている。該当する部分がある場合はぜひチェックしてほしい。

 

カーポートの排水ドレンキャップを外してみたところ カーポートの雨どいに溜まったゴミ

 カーポートの排水ドレンキャップと雨どい。ゴミが詰まっている場合は取り除く。

 

システムバスのエプロンを外したところ システムバスのエプロンの継ぎ目を不乾性パテで埋めた様子

 システムバスのエプロンを外してみる。カビだらけになっている場合はハイターで掃除。ここがカビるのは継ぎ目から水が入り、中に湿気がこもるため。エプロンを元通り嵌めたら、継ぎ目を不乾性パテ(ネオシールB-3)で埋めておく。

 

排水栓にパイプブラシを入れて清掃している様子 シンク下の排水トラップ

 排水栓はもれなくパイプブラシを入れ、髪の毛を絡めて取り出す。2枚目の写真はシンク下の排水トラップ。樹脂製トラップは手でバラして掃除できる。

 

ブロアーでパイプダクトを掃除している様子 洗いあがったパイプファンの部品

 換気扇は強力なブロアーで中に詰まった埃を吹き飛ばす。コードレスは弱い。コンセントに挿して使うものを選ぶ。手でやる場合は、パネルを外してG-510などの洗剤をスプレーし、割りばしに不織布を巻き付けたものでパイプに詰まった埃をとる。

 

家の周りにある雨水マス 雨水マスの中にあるバケツを取り出したところ

 雨水マスの目皿の開けて中のバケツを取り出し、溜まっている泥を捨てる。我が家にはこのような目皿が5か所ある。

 点検が終わったら、バケツを浮きあがり防止のツメ(写真のタイプでは、黄色のツメが3か所ある)の下になるよう設置し、目皿に金網をかぶせてボウフラの発生を防ぐ[2]。我が家ではさらにその上から砂利をかぶせてある。

 

システムバスの床下を点検している様子 天井裏を点検している様子

 床下と天井裏。水漏れや雨漏りをチェックする。狭い床下を効率よく移動するために、車輪の付いた寝板(クリーパー)を使う。サイズが大きいとカーブを曲がれないことがある。我が家では板に車輪を付けて自作した(660×300×55)。

 2枚目の写真は天井裏。奥まで容易に移動できるよう、平らな木をビス止めして足場を組んだ。奥に見えるのはFMアンテナ。

耐火バックをアルミでくるんで床下収納に入れたところ

 ちなみに大事な書類は耐火金庫を買って入れるのではなく、耐火バッグに入れて床下に放り込んでおくのも一手段。

 

液漏れしたアルカリ電池 電池と電極に間に紙を挟んだ扇風機のリモコン

 2年以上、電池を入れっぱなしにしている機器はないだろうか。電池を入れたまま放置すると液漏れして想定外の出費になることがある。これも年末に一斉チェックすることをお勧めする[7]

 2枚目の写真は扇風機のリモコン。リチウム電池の液漏れはないが、シーズンが過ぎたら電池と電極の間に絶縁紙(ポストイット)を挟むか、電池を取り出すことで消耗を防げる。

 

電位炊飯器の裏にある吸入口に埃が詰まった様子 IHクッキングヒーターの吸入口

 調理家電の吸気口。1枚目の写真は炊飯器。2枚目はIHクッキングヒーター。いずれも普段見えないところ。埃が詰まっているのを知らずに放置していると機器の故障に繋がる。

 

冷蔵庫のパッキンの溝を掃除している様子 冷蔵庫の蒸発皿を点検している様子

 冷蔵庫の掃除で一番重要な部分が「パッキン」。パッキンの当たり面(引き出し側と、本体側)とパッキンの溝(写真1枚目)の掃除を忘れずに。ここは省エネに直結する重要な部分。蒸発皿(写真2枚目)も取り出して年に1度は綺麗にしておきたい。

 パッキンは冷凍庫の周囲を入念に。長年メンテンしてないと、カビだらけになっているかもしれない。

 

クッキングヒーターの庫内にあるセンサー

 10年使ってきたクッキングヒーターの庫内。汚れは炭化固着しており今更どうにもならないが、センサー部分(丸印)だけは忘れずに綺麗な状態にしておく。

食洗器の内側

 10年使った食洗器の引き出しの裏側。洗ってる最中に一時停止して引き出しをあけると、上蓋についた水滴が中に落ちてこのように錆びてしまう。
 引き出しを止めてるレールのビスを外せば、引き出しを外して掃除できるがちょっと難しい。ここは点検してゴキブリなどの巣が無ければOK。

 

 このほか、ポットやコーヒーメーカー、上述したシステムキッチンの引き出しの点検を忘れずに。ポットは年に一度クエン酸洗浄を。洗濯槽は過炭酸ナトリウムでカビ取り洗浄する。

 


 

掃除を短時間で効率的にやるコツ

 以下にいくつかの方法をご紹介する。

 

ガラス拭きのコツ

洗剤でかえって汚くなってしまったガラス 

 洗剤でガラスを拭いたら、かえって汚くなってしまった。同じところを何回も拭くハメに。そんな経験はないだろうか。

 ガラスの拭き上げは、雑巾ではなくシワくちゃに丸めた紙でこするのがよい。ただし、これをやると力が必要で腕が付疲れる。ここは、泡のガラスクリーナーがお勧め。

 ジョンソン スクラビングバブル ガラスクリーナー

 これを使うと、市販品の威力を実感する。これはガラスに限らず、光沢のある樹脂パネル(システムキッチン)などの拭き上げにも使える。

 反対側が暗い方が表面の汚れを見やすいので、日中明るい時間帯はガラスの外側を掃除し、室内側は夜間に拭くのがよい。

 

水切りワイパーで高所のガラス窓を掃除している様子

 高所の窓は水切りワイパーが便利。洗剤を使わず水だけで拭くのがコツ。洗剤を使うと白い跡が残ってしまう。

 

 

テレビやPCの液晶モニターを綺麗に拭きあげるコツ

汚れた液晶モニターの画面

 こちらは新聞紙で擦るわけにはいかないので基本的に柔らかいレーヨン不織布(シルボン紙、SOFT99 CARラグラグなど)でそっと乾拭きして埃を取る。こちらもガラス同様、できるだけ洗剤を使わず水拭き→乾拭きとするのが綺麗に拭きあげるコツ。

 

高圧洗浄機で浴室を一気に仕上げる

 高圧洗浄機は屋外だけのアイテムではない。浴室のカビ、ぬめり、水垢などを根こそぎ落とせる。洗剤を付けてゴシゴシ・・なんてやるより断然効率よいので、ぜひ活用したい。クルマに対する活用については関連記事4を参照。

 

スチームクリーナーでレンジ周りを清掃する

 キッチンの換気扇やレンジフード、コンロの周りの油汚れはガンコ。時間がかかり腕が疲れてしまう。ここはスチームクリーナーを使うとはかどる。G-510 の原液を先に塗って、スチームの熱で溶かす形にすると効率良い[5]。灯油(ペイント薄め液)に無事な材料のところはこれで溶かすのが最も早い。

 

トイレの環ジミや尿石を取る

 陶器を傷つけず汚れだけ取り除く研磨剤が必要。例えばアズマジックがある。TOTOセイオンテクトに対して傷が付かないことを確認済み。週に一度、酸性の洗剤を使って清掃していれば、このような輪ジミはほとんど付かない。

アズマジック 陶器製便器の尿石取り アズマジックでトイレの尿石を削り取っている様子

 


 

お勧めの洗剤

 台所用、お風呂用、トイレ用、ガラス窓用・・・アレコレ場所別に洗剤を買い求める必要はない。フォーミュラ G-510 1つですべて賄える。詳細は関連記事3を参照。

 


 

掃除は2か月前から計画的にやる

 以上ご紹介したことを、年末の休みに入ってから全部こなすのはとても無理、ということがわかると思う。

 ネットには計画的に掃除をするためのアドバイスがいろいろあるが、私の考えでは2か月前(11月)から作業を始めるのがよい。

 11月に入ったら上記の点検補修を始める。
 外回りの清掃・補修は日中まだ暖かいこの時期に済ませる。

 12月に入ったら、台所、浴室、洗面所など作業量の多い場所の掃除を始める。
 冷蔵庫やキッチンの引き出しを外して洗い始めるとまる1日かかる。無理せず、休みを利用して少しずつやっていく。
 溶剤やスチームクリーナーを使わないと取れないガンコな油汚れもこの時期になんとかする。

 そして、年末の休みに入った時点でガラスや棚などの「拭き掃除」だけが残る形にする。拭き掃除は家族総出でやる。チェックリストを作って担当を決め、1日で全部終わらせる。

 これで「きれいになったね!」そんな実感を、家族と共有して新年を迎えることができる。

 以上が、疲れを翌年に持ち越さないで、年末年始を快適に過ごすための秘訣だ。

 

<参考購入先>
安全帯 吹き抜けなど高所作業の必需品。正月前に落ちてケガをするほど損なことはありません

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