スピーカーケーブルの本質を探る

 下の図はパワーアンプの出力回路を示したもの。R1,R2,C1,L1 で構成される回路が入っている。SP端子にはスピーカーケーブルが接続されており、R,L,C のラダーはスピーカケーブルの等価回路を示している。
 このような回路は、ほとんどのアンプで見られる。

 

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 R1,C1は、スピーカのL負荷に対する高域のインピーダンス上昇を防ぐ回路。L1,R2 はスピーカケーブルの容量性負荷(C)に対する高域のインピーダンス低下を防ぐ回路である。

 市販のパワーアンプでは、ユーザーがどんなスピーカ、ケーブルをつなぐかわからないので、何をつながれても発振などのトラブルが起きないよう、これらの定数は、かなり安全サイドに設定されていると考えられる。

 また、これらの素子は音質(特性)に影響する。ローコストな機種では質のよい部品が使われていない可能性がある。

 

銅線の純度はどう影響するか

 スピーカーケーブルの R は抵抗成分であり、これがダンピングファクター(DF)を劣化させる。従い、R を小さくすることが重要になる。R を小さくするため銅線の純度を高めた商品があるが、ケーブルを少し短くするだけで、簡単に同じ効果が得られる。
 それと、「銅線の純度」と「音の純度」は無関係だから混同しないよう注意したい。

 

スターカッド、ツイストは効果あるか

 L はインダクタンス成分であり、高周波の減衰に関係する。市販ケーブルでは、これを低減するためスターカッドにしたり、ツイストにした商品をみかける。そういうことをしなくても、ケーブルの長さが常識的な範囲であれば無視できる。
 そもそもボイスコイルやネットワークのところに大きな L があるのに、ケーブルのわずかな L を気にしても意味がない。

 

スピーカーケーブルのノイズ対策は意味あるか

 ケーブルの C は静電容量で、誘導ノイズや高周波の減衰に関係する。市販のケーブルでは絶縁をポリエチレンにしたり、プラスマイナスの線間を遠ざけたりして対策しているが、通常アンプの出力インピーダンスが非常に小さいので、まったく影響しない。
 そもそもアンプの出力回路に大きな C1 があるのに、ケーブルのわずかな C を気にしても意味がない。

 

ケーブルの防振対策は意味あるか

 ケーブルを防振対策した商品をみかける。一般的なオーディオ機器の出力インピーダンスでは、ケーブルが振動して雑音が発生したり、振動がケーブルに影響して音を濁すことはまずない。

 どうしても関係あると思う人は、スピーカーケーブルで縄跳びしてみるといい。もしなにか変化したら、端子の接触を疑ってほしい。

 

結論

 結局、スピーカーケーブルで気にすべきはDFを劣化させる R(抵抗)だけになる。

 スピーカーケーブルを選ぶ際は、R(抵抗値)、具体的には「導体の断面積」だけに注目すればよい。

 高価なケーブル1本買うよりは、安くて太いケーブルをたくさん買って、パラ(並列)に繋いだ方がRを小さくできる(後述のリンクに具体例があります)。

 バイワイヤリング用に複数の端子が用意されている場合は、付属の金具を使ってスピーカ側の端子をショートし、複数のケーブルをパラに配線する。これはちょうど、道路の車線を増やすことに似ている。

bywire 写真は、S3100のバイワイヤリング端子を使ってスピーカケーブルをパラに接続したところ。マルチアンプにしないならショートさせて沢山のケーブルをパラに繋ぐのが正解。

 2本繋げば電線の抵抗一挙に半分になる。

 

 

 「ウーファの逆起電力が他のユニットに干渉するのを防ぐこと」を目的にバイワイヤリングする意味はない。十分抵抗を小さくした電線で同じアンプ端子に接続すれば、繋がっているのと同じことだ。

 

究極はアンプ内蔵スピーカー

 スピーカの中にアンプを内蔵して組み合わせを特定してしまえば、最初の図で示した補正回路は最小限でよくなり、ケーブルも最短になる。すなわち、最適設計が可能になる。
 しかも、アンプは振動の影響を受けないから、音質的に悪いことは何もない。スタジオモニターにアンプが内蔵されている製品があるのは、このようなメリットがある為だ。

 

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