BOSEの音はなぜガサツなのか!?~11.5cmフルレンジの秘密に迫る

 写真はBOSE101MM。グリルを取ると11.5cmのフルレンジユニットが見える。

 101シリーズは現在生産されていないが、このユニットはSR用SPのメインユニットに使われている。

 

 BOSEはこのユニット1つでプロ機器から民生機器まで支えてきたといっていい。振動板にバリエーションがあるが、基本設計は同じ。今回はこの11.5cmフルレンジの秘密に迫る。

 

周波数特性

 BOSE101の音圧周波数特性。音が出るのはだいたい80Hz~16kHz。11.5cmにしては低域がよく出ている。ダラ下がりに50Hzまで伸びているため壁や天井に近づけることで低音の増強が可能。

 全体にややうねりがあり、これが本機固有の音色を形成しているものとみられる。

 

 

 

インピーダンス特性

 インピーダンス特性からバスレフポートやシステムの共振周波数が読み取れる。下はその実測値。

(参考)101MMインピーダンス特性

 バスレフポートの共鳴周波数は45Hz、システムのf0cは160Hz。公称インピーダンスは6Ωだが実際は4Ω。
 45Hzの音は出ていないのでポートの役目は空気抜き(おそらく放熱)が主とみられる。

 

 11.5cmユニット裸のf0は約100Hz、インピーダンスは1.5Ω。このユニットは沢山直列に繋いだり、イコライザー回路と併用して使うことを前提で設計されている模様。

 ネットを見るとユニットだけ取り出して鳴らしてる人がいるが、インピーダンスが低すぎる。このユニットはイコライザー回路無し(単体)では使えない。

 

 

イコライザー回路

 BOSEのフルレンジはアンプ直結ではなくイコライザー回路を介している。これがBOSEの特徴の一つ。現在は多くの人に解析され展開図がネット上に公開されている。基本的にはローパス、ハイパス、アッテネーター(全域通過)の並列回路。

 イコライザー回路の伝達特性(電圧)。抵抗負荷の結果からイコライザーのカーブが読み取れる。

 

 

 

 10cmフルレンジの裸特性は中域だけ張り出したカマボコ型が一般的に。上のグラフ(抵抗負荷)の結果から、中域を落として高域を高めることで聴感上のバランスをとっていることが伺える。
 多くのBOSE商品が小型フルレンジなのに、結構マトモな音が出ているように聞こえるのは、このイコライザーのおかげ。

 

 イコライザー回路でユニークなのが電球の存在。ローパス回路の中に挿入されていて、入力レベルに比例して低音を抑制する仕組みになっている。同時に入力保護も兼ねる。

 

 

 昔から「BOSEの音はガサツ」と評されるのは、イコライザー補正によってあまり質の良くない音域を強調した結果とみている。

 フルレンジの性能には限界があり[1]、イコライジングして低音高音のバランスを整えても本質は変わらない。Hi-Fi的には不満な音だが、BGMの用途なら問題ない。

 

 

BOSEの価値は堅牢性にある

 天井から落下しても、24時間365日鳴らしても平気。

「そこそこの音が出て、壊れない」

 BOSEが業務用で評価されている理由がこれだ。

 

 

11.5cmフルレンジは200℃に耐えるトンデモ性能

 101についてくる11.5cmフルレンジはおそらくプロ機器と同じもの。詳しく調べてみたところ、とんでもない作りのユニットだった。

グラフは1996年頃、加熱炉を借りて調べた温度とf0の変化。プロ用、カー用のユニットの耐熱性を評価したもの。

大抵のユニットは140℃でどこかが破損する。

 11.5cmフルレンジは200℃まで外観に異常が見られないことから、H種(180℃)で作られている模様。

 一見ただの紙に見えるコーンも耐水性があり、水滴が付いてもすぐ染みていかない。

 

 

 ユニットのフレームは樹脂だが200℃に耐えるスペシャル品。この温度に耐える有機材料はそうない(おそらくPPS)。ボビンやコイル巻線も特別仕様。

 

 この11.5cmフルレンジは、BOSEが心血注いで作り上げたユニット。音はともかく、耐久性と信頼性は抜群に高い。今後もBOSEを支えていく重要なアイテムに違いない。

 

 

<参考購入先>
BOSEのスピーカー 音質はともかく、耐久性に評判のある商品です

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