CPUに付いている古いグリスの落とし方~エタノールは間違いだった!

CPUに付いたグリスの拭き取りにアルコールが使われる。ところが、アルコールにはいろんな種類がある。その中の無水エタノールはグリスの拭き取りに向かないが、ネットには間違ったアドバイスが広まっているようだ。

 

アルコールの違い

 写真は無水エタノールとIPA(イソプロピルアルコール)。同じアルコールでも性質は大きく異なる。

無水エタノールとイソプロピルアルコール

 

 

無水エタノールに油は溶けない!

無水エタノールとイソプロピルアルコールにCPUグリスを混ぜた結果 左はCPUグリスの溶解実験。灯油(左)、右(無水エタノール)。

 CPUグリスの基油はシリコンオイル。灯油とIPAには溶けるが、エタノールには全く溶けない。

 

CPUに付いたグリスを無水エタノールで拭いた結果 無水エタノールでグリスを拭くのは、水で油を拭くイメージに近い。ただ、多少の洗浄効果はあるので、まったく使えないわけではない。

 

 

 

古いグリスの除去は灯油がベスト

  固まったグリスに対しては揮発の遅い灯油が適している。塗布して時間をおけば、綺麗に除去できる。同じ方法でシールはがしにも使える。

  私は長い事、CPUグリスの除去に灯油(≒ペイント薄め液)を使ってきた。理由は身近にあって安いこと。
  IPAは少し高価。レンズの清掃以外の用途があまりない。灯油がコストパフォーマンスに優れる。

 

 CPUグリス拭き取りに無水エタノールを使うのは間違い。当記事を読んで、それまで無水エタノールを薦めていた自分の記事をあわてて書き換えた人もいるようだ。こういうことが起こるのは結局、他人の記事をコピーして書くから。

 

拭き取りに使う布(ワイピングクロス)は不織布がベスト

ワイピングクロスの候補を集めたところ 拭き取りに使う布は、レンズ清掃用品の記事で紹介したポリエステル、レーヨンなどどで出来た「不織布」や「シルボン紙」がべスト。これらは使い捨て雑巾(カー用品や台所用品)として入手できる。

 CPUのヒートスプレッダは柔らかい銅にメッキしたものなので、ティシュペーパーのようなパルプ繊維で出来た紙で擦ると細かい傷をつける(性能に影響しないが)。

 

 

 灯油やIPAなどの「溶剤」を使うのは最後の仕上げ。灯油と不織布の組み合わせでCPUを拭くと完璧に綺麗になる。

 

<参考購入先>
IPA(イソプロピルアルコール
不織布ワイパー 消耗品なので安いものを使ってください

<関連記事>
放熱だけでグリスを選ぶのは間違い!~CPUとクーラーの隙間も検証
レンズ清掃用品の選び方とセンサークリーニングの方法

ご注意:本記事を参考にした場合は、必ず出典を明記してください。ルールはこちらをご参照ください。