使い捨てワンデーコンタクトを安全に使い回しする

 コンタクトレンズは使い捨てが主流になり大量に出回っている。しかしこの値段は一体なんだ!?これまでハードコンタクトを使ってきた私から見るとかなり割高に感じる。

 例えばワンデーだと両目で年間約3.2万円、2weekで年間約2万円。これに対しハードコンタクト(メニコンZ)は両目で1.6万円、2年使えばその半分(8,000円)で済む。

 そこで、使い捨てコンタクトを長持ちさせ、年間コストをハードコンタクト並み(年間8,000円)にする方法を考えた。それと、洗浄液を自作してメンテナンスコストをタダ同然に出来る方法を見つけたのでご紹介する。

 

レンズの使い回しはできない?
使い捨てコンタクトは弱い素材でできている
水洗いに注意
菌の有無ではなく、菌の数が問題
使い回しは眼の病気に繋がる?
一度外したら使えない?
コンタクトレンズの酸素透過係数(DK値)は高いほど良いのか
使い捨てコンタクトのビジネス

圧倒的に安いハードコンタクト
使い回しによるコストの削減目標
使い回しを可能にする方法
使い回しに適したレンズを選ぶ
使い回しの実証実験
消毒液をオキシドールで代替する
消毒液を過炭酸ナトリウムで作ってコストをタダ同然にする
生理食塩水のつくり方
運用の注意~こうすれば「使い回し」でトラブルは起きない!

 

<参考購入先>
ワンデーファインUV 値段の安さ、丈夫さからいってNo1のレンズです
クリアケア 使い回しに適した消毒液です
メニホルダー ソフトレンズ用のピンセット。必需品です

 


 

レンズの使い回しはできない?

 ワンデーと称する商品を2日使い回しできたら、ランニングコストは一気に半分になる。消費者からしてみれば、恐ろしく魅力的な話だ。しかしネットは次のような情報で溢れている。

 

「使い回しは危険」「失明の恐れも」「絶対にやめてください!」

 

 不思議なことに、業界の関係者でもない人たちまで口を揃えて同じことをいう。ソフトレンズなのに角膜が傷つくとか、酸素不足で角膜内皮細胞が減るとかいう人もいる。

 こういう話を聞くと、私などは疑問をもつ。

 基本的に、きちんと洗浄&消毒したものを眼に入れることと、新品を開封して眼に入れることは、同じはず。角膜の傷つきや、徐々に酸素透過率が下がる問題はハードコンタクトの話なので関係ない。

 私が思うレンズが使えなくなる確かなケースは、物理的に変形、損傷するなどして、装用できなくなった場合だけ。それ以外に使い回しできなくなる理由は見当たらない。

 

使い捨てコンタクトは弱い素材でできている

 使い捨てコンタクトには1Day、2Week、1Monthの3タイプある。これらの違いは「丈夫さ」。長く使えるタイプは丈夫でな素材で作られているようだ。

 1Dayコンタクトはまるでゼリーのようで、こすり洗いに耐えるように見えない。使い回しする上で解決しないといけない課題の一つに、このようなデリケートな素材の扱いがある。

 

水洗いに注意

 新品のレンズと一緒に入っている液体の主成分は、生理食塩水(濃度0.9%)。なめてみるとしょっぱい。レンズに含まれる水分にも当然0.9%の食塩が含まれている。ソフトコンタクトの消毒液や洗浄液にも塩分が含まれている。塩は成分表示にないが、口に入れてみればわかる。

 この0.9%というのは、人間の体液と同じ濃度。もし塩分濃度に差があると、塩分の多い方へ水分が移動する。この現象はナメクジに塩をかけると縮む理屈と同じ[1]

 もし0.9%の塩分を含んだレンズを水に入れると、レンズが水分を吸収して膨らみ、強度が著しく低下する(膨潤劣化という)。

 

 写真は水に入れた直後に撮影したクレオワンデーUV。外周がビロビロになり、直径が2mm以上増えている。ほとんど瞬間的に膨潤・変形する。この結果から、高含水率のレンズはたとえ一瞬でも水洗いできないことがわかる。

 コンタクトを付けたままお風呂に入り、目に水が触れても同じことが起こる。

 

 

 このように変形しても、生理食塩水に入ると形状が回復するので使えなくなくなるわけではない。しかし元の寸法に近くなるまで1分以上かかる。

 ちなみにグループⅠの低含水率レンズ(ファンデーファインUV)は水に入れても目立った変化は起きない。2分後に測ってみると直径が0.5mm増えている程度。短時間であれば水に触れても問題ないが、若干変形するので装着しにくくなる場合がある。

 

 MPSタイプの消毒液(レニューフレッシュ)がレンズを膨潤させないか調べているところ。

 レニューフレッシュの成分に食塩の記載がないが、膨潤などの問題が起こらないようにできているらしい。外出先の洗浄やすすぎに安心して使える。

 

 

菌の有無ではなく、菌の数が問題

 眼の病気の要因は、アカントアメーバーなどの微生物や細菌といわれる。このような微生物や細菌はどこにでもいて、私達はおそらく洗面場やお風呂場でこれらに毎日触れている。

 そもそもレンズは開封した瞬間に汚染される。指で触れば大量の菌がレンズに移る。コンタクトを開封して眼に入れるまでの過程で、レンズはかなり汚染されている。

 そういうものを毎日眼に入れて問題が起こらないのは、体の防御機能のおかげ。しかし菌の数が多いと防御で対処しきれず、問題が起こる可能性が出てくる。そこで私達は、できるだけ菌の数を減らすことを考える。それが「レンズの消毒」「手洗い」になる。

 

使い回しは眼の病気に繋がる?

 「レンズの使い回しで目の病気になり医者に行きました」

 そんな話もあるが、使い回しが直接眼の病気に結び付くわけではない。使い回しを始めてから実際に眼の病気になるまでには、いくつかの条件が重なる必要がある。

 私はコンタクトが原因で一度眼科に行くハメになったことがある。その経験からすると、眼が病気になるには次の条件が揃う必要がある。

(1)微生物や細菌が増える(消毒不十分、長時間装用、不衛生な手で扱うなど)

(2)眼が傷つく(ゴミが入る、目を強くこする、傷ついたレンズを使うなど)

(3)無理な装用を続ける(メガネなどの代替手段がない)

 

 (1)は外出時、洗浄液を持っていないために起こる場合が多かった。アカントアメーバ感染の多くが消毒効果の低いMPSタイプの消毒液を使っていたという報告があるから、(1)はとても重要らしい[4]

 (2)の時点で、目が充血したり、目ヤニが増えるなどの症状が現れる。ここで装用をやめれば問題ないが、私の場合メガネがなかったため(3)をやってしまった。

 逆の見方をすれば、これらの条件が1つでも整わなければ眼が病気になる可能性は低い。この経験はハードコンタクトの話だが、ソフトでも基本的に同じである。

 

一度外したら使えない?

 レンズを外すと指を介して雑菌がレンズにつく。不衛生なレンズを眼に嵌めると、病気に繋がる条件の一つがスイッチされる。

 実際のところ、生理食塩水などですすいですぐに嵌めてしまえば(雑菌が繁殖する前に嵌めるなら)問題ない。

 しかし一般消費者がいつも洗浄液を携帯してくれる保証がない。不適切な扱いをする人が必ず出てくる。一般消費者のレベルを考えると、「外したら使えない」としておくのが安全というわけだろう。

 

コンタクトレンズの酸素透過係数(DK値)は高いほど良いのか

 コンタクトレンズの値段はDK値に比例している。メーカーはDK値が高いほど眼の負担が少なくいいレンズだというので、DK値が大きいほどレンズほど目に優しいレンズだと思い込んでしまう人が多いようだ。

 高いDKのレンズはシリコーンハイドロゲルという素材でできたものが多い。素材が硬くて丈夫な反面、生体への適合は必ずしも良いとは言えず、中には装用に違和感を感じる人もいるようだ。

 DK値が足りなくて酸素不足になると、最初に角膜が膨潤することが知られている。それが起きない酸素透過率は、材料厚0.1のときDK値で10以上あれば充分という報告がある[6]。一般的なレンズの中心厚はこれより薄い(0.05~0.085)なので、もっと小さい値でも問題ないといえる。

 DK値は重要な指標の一つだが、それでレンズのすべてが決まるわけではない。

 例えば含水率の高いタイプⅡとⅣのレンズは乾きやすく、イオン性のあるタイプⅣはタンパク質が吸着して雑菌の温床になりやすいという[6](タンパク質の吸着が30倍多いという報告もある[5])。また、シリコーンハイドロゲルは脂質汚れを取り込みやすい欠点が指摘されている[5]

 ここでは、DK値に高いお金を払うことはない、ということだけ覚えておきたい。

 

使い捨てコンタクトのビジネス

 使い捨てコンタクトのビジネスは、レンズを使い捨てさせることで成り立っている。同じレンズを2日も3日も使い回しされたら、たまったものではない。そこで、これを防ぐために不安を煽る情報を流すのは当然のこと。

 これを後押しするかのように、医者も口をそろえて「使用期限を守って使いなさい」という。医者の立場では使用期限を守れと言うしかないので、医者の意見はあまり参考にならない。

 業界も医者も「危険です!」「やめてください!!」というだけで、データを何も示さない。

 実際使い回しできる期間は臨床試験(人体実験)の結果をもとに決めているが、それは取り扱いやケアの仕方によって随分違ってくることが想像できる。

 業界が恐れるのは、私のようなひねくれ物が「使い捨てレンズを使い回しできる方法を見つけてしまうこと」だと思う。

 

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圧倒的に安いハードコンタクト

 私はこれまで、ハードコンタクト(メニコンZ)を約30年使ってきた。

 ハードの寿命は3年くらいといわれるが、大抵は1年過ぎるとレンズの傷や汚れが増え、酸素の透過率が落ち、度数が合わなくなってくる。実用的には2年くらいが限度だと思う。

 メニコンZのコストは、実店舗で買うと傷や紛失の保証がついて両目で2.1万円+検査費、ネット通販だと両目で1.6万円。後者で2年もてば年間8,000円なので、使い捨ての半分以下である。

 装用感はソフトが圧倒的に良い。しかしハードコンタクトにはソフトに無い優れた特徴がある。それは眼に入れるだけで乱視がある程度、矯正できる点(これは変形しないレンズのおかげ)。乱視の強い人は迷わずハードコンタクトを選ぶのが正解だ。

 

使い回しによるコストの削減目標

 ハードコンタクトと同等のコスト(両目で年間8,000円)を目標とした。メンテナンスコストをひとまず別におくと、次のように使用期間を伸ばすことができれば、私たちの粘り勝ちだ。

 1Dayを4日使う 年間3.2万円→7,900円

 2Weekを17日使う 年間9,600円→7,900円

 備考
 1Dayは30枚入り1,300円の商品を対象、2Weekは6枚入1,100円の商品を対象として計算した場合。

 必要使い回し日数(切り上げ)= 2×(1箱の商品価格/1箱の枚数)×365/年間目標価格

 

使い回しを可能にする方法

 ハードは使い回しできて、使い捨てのソフトはできないとされる。両者の違いは素材の「丈夫さ」。そこから見えてくる、使い回しできないとする本当の理由は、眼の病気のリスクとかではなく、素材の耐久性に関係したことに違いない。

使い捨てのソフトは素材が弱いので、繰り返し十分な洗浄消毒ができない。だから、使い回しできない。

 おそらくこれが真実だ。

 逆の見方をすれば、レンズを痛めないでちゃんと消毒できる方法があれば、使い回しできる。そこで、この解決策を考えた。それは次の3つである。

 

(1)こすり洗い不要な形で消毒する

(2)取り扱いに細心の注意を払う

(3)運用に注意する

 

 (1)の実現はMPSタイプの消毒液(1液で洗浄、保存、消毒が出来る溶液)では能力不足。過酸化水素を利用した消毒液(クリアケアなど)を使う。強力な消毒と汚れ落としの効果により、レンズを痛める大きな要因「こすり洗い」を不要にできる。

 (2)は水に濡らさないこと、樹脂製のピンセットを使うなどして、できるだけ指で触らないことがポイントになる。外出先で外す可能性がある場合は、生理食塩水か、MPSタイプの保存液を準備しておきたい。

 (3)は最後にご紹介する。

 

使い回しに適したレンズを選ぶ

 1Dayタイプのレンズにはいろいろ種類があり耐久性に多少の違いがある。使いまわしに適したレンズは、1Dayの中でも汚れが付きにくく、丈夫な素材でできたものになる。

 汚れの付きにくさは「イオン性」で決まり、レンズの丈夫さは「含水量」で決まる。すると使いまわしに適したレンズは、必然的に

非イオン性と低含水の特徴を持つグループⅠのレンズ

 

になる。機能はUVがあればよく、保湿など余計な機能の付かない、ごく普通の商品を選ぶのがポイント。このような商品の候補に次がある。これでないといけない、というわけではないが、参考にしてほしい。

ワンデーファインUV
WAVEワンデーUVエアスリム 
エルコンワンデー 

ワンデーアキュビュートゥルーアイ シリコーンハイドロゲル
ワンデーアキュビューオアシス シリコーンハイドロゲル(トゥルーアイより高性能で値段が高い)

 単価の高いレンズは使い回しの日数が増えてしまう。できるだけ安いレンズで合うものを探すことがポイントになる。

 

マルチフォーカルレンズの選び方

 老眼の場合、遠近両用(マルチフォーカル)が役に立つが、度数の選択が難しい。現在使っている普通のソフトコンタクトから乗り換える場合、次を参考にするとよい。

・近くの見え方を据え置きにして遠くを伸ばしたい人
⇒PWRを1.50~1.75強くする。

・遠くを据え置きにして近くを見やすくしたい人
⇒PWRを0.50~0.75強くする。

・遠近両方を今より少しずつ伸ばしたい人
⇒PWRを1.0~1.25強くする。

 タイプⅠのマルチフォーカルレンズは次の通り。UVカット付きの商品はない模様。

デイリートータルワン シリコーンハイドロゲル。高価ですがタイプⅠのワンデーはこれしかありません。
メダリスト マルチフォーカル 2week
エアオプティクスアクア マルチフォーカル 2weekシリコーンハイドロゲル 

 

 いくつか買ってみた結果からすると、マルチフォーカルの実際の度数は商品によりまちまち。遠近両用効果も微妙で、普通のレンズと大差ない印象。

 黒目と一緒に動く1枚のレンズで遠近両方が良く見える、なんて都合の良い商品は、今のところないと考えたほうがよさそうだ。

 


 

使い回しの実証実験

 目標日数は、年間コストを両目8,000円以下にするための使い回し日数を表す。

 長く装用していると乱視が増えたような感覚で次第に見えずらって度数が落ちていく。これはレンズの劣化(厚みが不均一になっていく)や、脂質汚れの蓄積が原因と考えられる。その状態が使用に耐えられなくなった時が、レンズの寿命ということになる。

 

1.クレオワンデーUV (2018/10/3~10/6) 目標6日(最長4日)

 最も使い回しが難しそうなレンズを最初に選んでみた。高含水率&保湿成分配合。グループⅣ(イオン性)。ゼリーのように柔らかく、イオン性のため汚れが付きやすい。余計な保湿機能もついている。

 2日目から度数が落ちた感じになる。装着感は比較的良かった。

 

2.ワァンデーファインUV(2018/10/8~) 目標4日(最長14日)

 グループⅠの低含水率レンズ。やや厚みがあり、装着も比較的容易。現在の最長は14日。このあたりが限界のようだった。

 

3.ワンデーアキュビューモイスト マルチフォーカル(2018/10/28~11/4) 目標9日(最長8日)

 グループⅣの高含水率レンズ。ワンデー&マルチフォーカルでUVカットを付けるとこれ一択なので買ってみた。

 非常に薄くて柔らかい。次第にレンズにコシがなくなり、丸まったり目から落ちたり、なかなか装着できない場面が増える。装着が難しくて8日で装用中止。使いまわしに適さないレンズである。

 1のクレオワンデー同様、見え方が安定しない。「見え方が安定しない」「装着しずらい」は高含水レンズに共通する特徴のようだ。

 

4.エアオ プティクス アクア マルチフォーカル(2018/10/28~) 目標39日

 グループⅠのシリコーンハイドロゲルレンズ。2週間用だが単価が高いので目標日数が長い。レンズにコシがあって形状が安定しており、消毒から装着まで、たいへんやりやすい。

 22日まで問題ないことを確認して装用中止中。

 

(以後追記していきます)

 

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消毒液をオキシドールで代替する

 クリアケアの主成分は約3%の過酸化水素水+食塩。過酸化水素の濃度はオキシドールと同じなので、そのまま代替できる。つまり、オキシドールに食塩を加えて塩分濃度0.9%に調整すれば、クリアケアとほとんど同じものができる

 クリアケアを毎日洗浄に使うと年間8,000円くらいかかる。これをオキシドールで代替することで、このコストを1/4以下にできる(200円/500mlの商品の場合)。

 用意するものは、オキシドールと食塩、クリアケア付属の保存容器の3つ。次の手順になる。

手順

1.消毒液を作る

 オキシドール500mlに先に食塩4.5g入れておく方法と、あとから食塩水を滴下する方法がある(滴下の量は後述)。面倒でない方を選んでほしい。これをクリアケア消毒液の代わりに使う。

(Option) 長期間装用では脂質汚れを溶かすために界面活性剤G-510 10倍希釈液を5cc(0.1%)加える。

 

2.消毒する

 クリアケア保存容器の線まで1で作った消毒液を入れる。処理中にフタから中身があふれることがあるので、樹脂トレイなどの上にのせておく。

 そこにレンズをセットしたレンズホルダーを入れて一晩消毒する。ここまで通常と変わらない。

 

 

3.すすぐ

 消毒に使った液を捨てて生理食塩水ですすぐ。保存容器に生理食塩水を入れ、レンズを入れたままのレンズホルダーを上下に入れたり出したりする。界面活性剤を入れた場合は2回以上水を入れ替えてよくすすいで欲しい。

 グループⅠのレンズ(ワンデーファインUV)は水だけですすぐことができる(2分以内)。少し変形するので装着しにくくなる場合がある。この場合生理食塩水に1分程度漬け置きするとよい。

 

4.レンズをチェックする

 ピンセットでレンズをホルダーから取り出し、装着する前に光にかざして糸くずなどのゴミをチェックする。問題なければレンズを装着する

 ピンセットから汚れが移らないよう、ピンセットの先を常に清浄に保つ。

 

 ゴミが見つかった場合は保存容器にすすぎの液を入れ、中で上下に動かすようにして落とす。問題のゴミは大抵これで落ちる。直接水道水に当てないこと(レンズを痛める危険がある)。

 柔らかいゼリーのようなレンズは指で扱うよりピンセットが安全。樹脂製のピンセットをぜひ用意しておきたい。

 
 

 

目が染みる場合

 過酸化水素の中和不足か、食塩の入れすぎのどちらか。前者は中和時間の問題なので時間をかけるか、容器の交換で解決する。食塩の濃度は0.9%より薄い場合は染みないが、濃い場合は染みる。この場合少し水を入れて薄めるとよい。

 

その他

・クリアケア保存容器を使わないオキシドールの中和方法について

 クリアケアの保存容器はプラチナで過酸化水素を分解する仕組みだが(使い捨て容器にプラチナとは勿体ない・・)、ハイポ(チオ硫酸ナトリウム、アクアリウムで使う塩素中和剤)も中和に使用できる。クリアケアの保存容器に頼らないで中和できる。機会があれば検証してみたい。

・オキシドールの添加物について

 フェナセチンとリン酸。フェナセチンは鎮痛剤。リン酸はクリアケアにも入っている。どちらも傷口に塗って使う消毒液に含まれている成分なので、体への安全性は問題ないと考えられる。塩分0.9%のオキシドールは、もしかしたら普通のオキシドールより傷口の消毒に優れるかもしれない。

・オキシドールの代替について

 30%の過酸化水素水(500ml,1200円くらい)が薬局で取り寄せできる(印鑑必要)。これは余計な添加物を含まない。取り扱いが危険なので購入したらすぐに水道水で10倍に薄めて食塩を添加したものを作ってしまうとよい。冷蔵しないと市販のオキシドールより消費期限が短くなるかもしれない。

 


 

消毒液を過炭酸ナトリウムで作ってコストをタダ同然にする

 過炭酸ナトリウムの値段は0.5円/g。クリアケア(360ml)分作っても数円。この消毒液のコストはタダ同然であり湯水のように使える。

 

過炭酸ナトリウムを使った消毒液のレシピ(2018/11/24改定)

 方法は2つある。面倒でない方を選んでほしい。

 

1.粉を直接入れる方法

 毎回クリアケアの保存容器に過炭酸ナトリウムを0.05~0.1g入れ、生理食塩水を線まで入れて溶かす。

 

 写真で0.1g。スプーンは100均の調味料用。他の候補は薬さじ

 粉を入れたらスプーンを液中で前後に動かして溶かす。全部綺麗に溶かす必要はなく半分くらい溶ければ十分。

(Option) 長期間装用では脂質汚れを溶かすために界面活性剤G-510の10倍希釈液を 0.1cc (後述の滴下ノズル量を参照)加える。

 

 過炭酸ナトリウムは平らな穴の開いた滴下容器(100均の化粧水用)に入れて振りかけるようにして使うと便利。生理食塩水の作り方は次のトピックを参照。

 

 

2.水溶液を作っておく方法

 水100㏄あたり、過炭酸ナトリウム1.0g、食塩0.9gとする。

(Option) 長期間装用では脂質汚れを溶かすために界面活性剤G-510 の10倍希釈液を1cc 加える。

 

 水は冷水(水道水でよい)を使う。過炭酸ナトリウムは0.5g(0.5%)で十分だが、保存中の分解損失を考慮して1g(1%)とした。炭酸飲料用のペットボトルに入れて冷蔵庫に保存する。

 常温に置いた消毒液の使用期限は数日、冷蔵庫で1週間程度である。使用期限はクリアケアの中和ディスクを入れたときに出る泡の様子で判定できる。入れた瞬間、中和ディスクに細かい気泡が付かなくなった時点で期限切れ。

 

 この方法の欠点は日持ちしないこと。一度にたくさん作る方が賞味期限が伸びるが、使い切れない。

 400cc作ると冷蔵庫で1週間以上もつが、使いきれない。

 

 

 

 

すすぎ(上記1,2共通)

 消毒液はアルカリなので、消毒が終わったら2回すすいでから装用する。2回目はそのまま生理食塩水に浸漬する。

すすぎ1回目

 クリアケアの消毒液を捨て、水道水を入れてレンズホルダーを元通りセットし、数回上下に振る。これでレンズに付いた埃などのゴミがだいたい落ちる。界面活性剤を入れた場合は2回以上水を入れ替えてよくすすいで欲しい。

すすぎ2回目(浸漬)

 クリアケアの容器に生理食塩水を入れて浸漬する。滴下して作る場合(後述)は、水をクリアケアの容器の線の9分目までにする。これはレンズホルダー側に1cc水が付いている為。

 浸漬時間は、含水率(グループⅠ)のレンズは1分以上、その他の高含水率レンズは5分以上。

レンズ装着

 ピンセットでレンズを取り出して眼に嵌める(上記のオキシドールの例と同じ)。

 

トラブルシューティング

レンズを入れたとき目がしみる

 すすぎに使った生理食塩水の濃度が0.9%を超えているか、すすぎが足りない。

レンズをつけずらい、目に入れても落ちてしまう

 浸漬時間が足りないか、浸漬に使った生理食塩水の濃度が0.9%より薄くてレンズが膨潤している。いずれも高含水率のレンズで起こりやすい問題。高含水率のレンズでは、生理食塩水の濃度をできるだけ正確に作る必要がある。

レンズを入れてしばらくすると少し曇る

 界面活性剤の入れすぎか、すすぎの不足。レンズに残留した界面活性剤で、眼の表面にある脂質を分解してしまった結果とみられる。レンズを外してしばらくすると自然回復する。

 

参考1.過炭酸ナトリウムの最適濃度を求める実験

 過炭酸ナトリウムは酸素系漂白剤。水に溶かすと炭酸ナトリウムと過酸化水素に分離する。クリアケア(過酸化水素3.42%)相当の消毒液を作るには、計算上は100ccに約10gの過炭酸ナトリウムを溶かせばよいことになる

※:化学式と式量より、炭酸ナトリウム:過酸化水素= 2.08:1 (質量比)。つまり質量の約1/3が過酸化水素で、1g中の過酸化水素は 0.325g。クリアケア(過酸化水素3.42%)相当の水溶液を作るには、3.42/0.325=10.5g、すなわち100ccに約10gの過炭酸ナトリウムを溶かせばよい。

 

 ところが、これを実際作ってみるとかなり強力。洗濯槽の黒カビとりでは100ccあたり1gしか使わない。コンタクトの消毒に黒カビとりの10倍の酸化力が必要とは思えない。

 

 そこで、クリアケアと同等の酸化力を得る濃度を実験で求めてみた。

 消毒液の酸化力は麻ひもを使って調べることができる。写真の上の列は1%過炭酸ナトリウム(+0.9%食塩)水溶液を倍々に薄めたもの。左から1.0%,0.5%,0.25%,0.125%,0.06%。下の列は左からクリアケア、水。写真は麻ひもを浸漬して20℃9時間後の結果。

 過酸化水素が分解するときにできる活性酸素が麻ひもの色素を分解する。その色の様子から、クリアケアの酸化力は過炭酸ナトリウム0.5%と0.25%水溶液の間くらいになることがわかった。

 

 クリアケアの中和ディスク(白金触媒)を併用した場合はどうなるだろう。

 写真左は1%過炭酸ナトリウム(+0.9%食塩)水溶液、右はクリアケアで、浸漬2時間後(泡が止まって中和完了した時点)の様子。

 中和ディスクを入れるとクリアケアの方が激しく泡立つが、結果は過炭酸ナトリウムの方が良い。泡は酸化力に関係しないことがわかった。

 

つまり中和ディスクを入れたときに出る泡は、消毒に寄与しない酸素というわけ。

 ところで、過炭酸ナトリウムはなぜ少ない量で良く効くのだろう。

 通常、過酸化水素が分解するとき活性酸素が発生し、それが酸化(漂白&殺菌)に作用する。そこにアルカリ(炭酸ナトリウム)があるとタンパク質を分解するから、この相乗効果によって過酸化水素単体より強い酸化力を得るようだ。また、シリコーンハイドロゲルで問題になる脂質汚れを落とすメリットも見逃せない。

 

参考2:アルカリ中和の方法を求める実験

 過炭酸ナトリウム水溶液はアルカリなので消毒後のレンズを眼に入れると染みる。そこで、レンズに染み込んだアルカリを抜く必要がある。

 消毒が終わったレンズにBTB指示薬を染み込ませて色を付け、弱酸性に調整した生理食塩水に入れて何分で色が消えるかテストした。

 含水率(グループⅠ)のレンズは数十秒、高含水率レンズは4分かかる(20℃)結果から、1分と5分を基準とした。

 

 

(2018/12/7追記)
 過炭酸ナトリウムだけで運用していると油のようなものが容器に残留することを発見。この正体はおそらく脂質汚れ。これを対策するため、上記レシピに界面活性剤を追加するOptionを追加した。
 界面活性剤はハードコンタクトで実績のあるG-510を使用。希釈倍率は、以前調べたO2ケアの洗浄力[7]の1/10相当(1/1000倍)とした。

 


 

生理食塩水のつくり方

 ソフトコンタクトの運用では携帯やすすぎに生理食塩水が欠かせない。生理食塩水は水と塩があれば作れるが、0.9%食塩水は雑菌が増えやすく常温では日持ちしない。

 そこで9%の濃い溶液を作って運用する方法を提案したい。使うときに10倍に薄める(100cc作る場合は、9%食塩水10ccに90ccの水を加えて合計で100ccになるようにする)。この方法は雑菌の繁殖が少ないメリットがある(塩分濃度10%近くでは雑菌が増えにくい[2])。

 水道水と市販の食塩で作った生理食塩水の、賞味期限の目安は次の通り。

0.9%生理食塩水(常温) 1~2週間
0.9%生理食塩水(冷蔵) 1~2ヶ月
9%生理食塩水(常温) 半年~1年
9%生理食塩水(冷蔵) 1年以上?検証中

 賞味期限は沈殿物の有無やカビの発生で判断できる。

 

 携帯する場合は容器に9%溶液を入れておき、外出先で満水にしてちょうど0.9%になるようにすればよい。中で乾燥していても問題ない。

 

 9%食塩水を作っている様子。沢山作って作り置きする場合は熱湯の使用をお勧めする。

 水と食塩を測って入れたのち、電子レンジで沸騰させて自然に冷ます。

 

 

滴下ノズルの量

 クリアケアの保存容器の線が10ccなので、線まで水を入れ、9%食塩水を1.1cc滴下すればクリアケア保存容器の中で生理食塩水を作れる。

 1滴の量はノズルによって違う。写真左のノズルは1滴0.05cc、右のように穴の周りに平らな部分があるノズルは1滴0.1ccになる。

 すなわちクリアケアの保存容器の線まで水を入れてから、左のノズルを使う場合は22滴。右のノズルを使う場合は11滴入れることで生理食塩水ができる。22滴だと2ml程度のスポイトを使った方が早い。

 

 

 

 


 

運用の注意~こうすれば「使い回し」でトラブルは起きない!

 使い回しを可能にする手段を手にしても、運用がダメだと失敗する。ハードコンタクトを30年使ってきた私の経験から得た注意点を挙げる。

(1)毎日必ず一晩消毒する
 レンズの菌は増える一方なので24時間連続装用したり装用したまま一晩寝てはいけない(まぶたを閉じると酸素不足になる)。

(2)夕方を過ぎて目の前が曇ってきたら外す
 老廃物やレンズの汚れで白っぽく曇って見える。

(3)眼が充血したり、目ヤニが急に増えたり、痛みを感じたら装用をやめる
 メガネに切り替え、治らない場合は医者に行く。

(4)短時間で上記の問題が起きてしまう場合はレンズの寿命だから交換。

 (3)のために必ずメガネを用意しておきたい。メガネがないと無理な装用を続けることになり、症状を悪化させてしまう。

 

一時的にレンズを外しておきたい場合

 水泳や入浴のとき、一時的にレンズを外しておきたい場合がある。このとき生理食塩水に2時間も漬けてしまうと雑菌が繁殖する可能性が高い。1時間以上外す場合は、生理食塩水ではなく、MPSタイプの消毒液(レニューフレッシュなど)を一時的な保存液として使うことをお勧めしたい[3]

 

一度外したレンズを長期間保管する場合

 レンズの使用期限、たとえば2weekは装用した期間ではなく開封後を起点としている。つまりいったん開封したら使う使わないに関係なく2weekで捨ててくださいといわれる。これは一度開封すると雑菌が入るため。

 そこで、次のようにする。

 数日なら上記の食塩入り過酸化水素水に入れ、装用前日にクリアケアの容器で中和すればよい。
 長期間(数か月~数年)保存する場合は過酸化水素消毒を行ったのち、レニューフレッシュなどのMPSタイプの保存液に浸漬して冷蔵庫に入れるとよさそうだ。念のため、装用前に過酸化水素消毒する。

 どちらの方法にせよ、レンズを入れ替えるときメニホルダーなどのピンセットを使って手で触らないこと。

 レンズには未開封の使用期限が定められている。これも結局、菌の繁殖と化学反応による劣化なので、冷蔵庫を利用すればずっと長持ちさせることができるはず(アレニウス則により10℃保管温度が下がれば、寿命は2倍に伸びると考えられる)。

この記事を参考にして生じた如何なる結果も、当方は一切の責任を負わない。自己責任でトライして欲しい。

 

<参考購入先>
安価なタイプⅠのレンズです
ワンデーファインUV
WAVEワンデーUVエアスリム 
エルコンワンデー 

タイプⅠのシリコーンハイドロゲル レンズです
ワンデーアキュビュートゥルーアイ
ワンデーアキュビューオアシス

タイプⅠのマルチフォーカルレンズです
デイリートータルワン シリコーンハイドロゲル。高価ですがタイプIのワンデーはこれしかありません。
メダリスト マルチフォーカル 2week
エアオプティクスアクア マルチフォーカル 2weekシリコーンハイドロゲル 

クリアケア
レニューフレッシュ MPSタイプの消毒液です

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<参考文献>
1.ナメクジ体液の塩分濃度は0.4〜0.5%らしい。
www.higashi-h.tym.ed.jp/course/kadai23/namekuji.pdf
2.「食塩と微生物」好井久雄, 愛知県食品工業試験所
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1915/62/1/62_1_43/_pdf
3.Cooper Vision 過酸化水素消毒システム
https://coopervision.jp/practitioner/magazine/drsalmon_201311
4.ソフトコンタクトレンズ消毒液の効果と角膜感染の危険性
http://www.doyaku.or.jp/guidance/data/H22-5.pdf
5.コンタクトレンズ博物誌 その10、その16
http://www.menicon.co.jp/whats/history/
6.コンタクトレンズの現状と将来,光学第13号(1984年6月)
https://annex.jsap.or.jp/photonics/kogaku/public/13-03-kaisetsu4.pdf