ホワイトノイズが少ない外付けマイクの選び方~YouTube動画撮影でノイズを減らすコツ

 YouTuberの悩みの一つに外部マイクのホワイトノイズがある。この原因を説明し、ノイズを少なくできる動画撮影のコツをご紹介する。

 

ホワイトノイズの要因

 カメラにマイクを接続したときのノイズは、カメラに内臓されているマイクアンプと、プラグインパワーの電源品質、マイクの自己雑音の3つで決まる。

 カメラ側で関係するのがマイクアンプと、プラグインパワーの電源品質。カメラによって結果が微妙に違うのはここの設計が違うため。

 

外部マイクの選び方

(1)感度

 マイクの感度が高いと音声を大きく録音できるから、その分マイクアンプの増幅ゲイン(録音レベル)を落としてノイズを小さくできる。感度が低いマイクはレベルをブーストする必要があり、ここでノイズが増える。

 そのためマイクにはある程度の感度が必要。マイクの感度は ○○dB(0dB=1V/1Pa,1kHz、以後略)などと書かれている。この○○dBの数値が大きい(マイナスの数値が小さい)ものほど高感度。 -30dB台の商品が候補になる。

(2)自己雑音

 マイクの感度が十分になると、次に自己雑音が問題になる(感度と自己雑音はあまり関係が無い)。基本的に、マイクの口径(ユニットサイズ)が大きいものほど感度や雑音特性がよい[1]

(3)誘導ノイズ

 コンセントの電源に起因する「ブーン」という低周波のノイズ。ミニプラグを使ったアンバランス伝送でケーブルを延長したり、マイクに人体を近づけるとこれが目立つことがある。

 マイクのケースがアースされていない商品やケーブルがシールドされていない場合、このノイズが乗りやすい。ケーブルはXLR接続(バランス伝送)が理想。

(4)口径

 マイクの性能は口径に比例する傾向がある。口径が大きいほど、感度が良く、ノイズが少なく、細かい音までよく拾うので、結果的に音質がいい。

 

 

ビデオ用外部マイクの限界

 プラグインパワーのマイク(電池式含む)はアンバランス伝送なのでケーブルからの誘導ノイズが避けられない。これはあくまで簡易的なものと割り切る。低ノイズで録音をするためにはXLRを使ったバランス伝送が有利である。

補足:プラグインパワーのMIC端子に一般のマイクや、マイクアンプ、レコーダを繋がないよう注意。意図しない電流が流れて故障の原因になる。

 

指向性による音の違い

 単一指向性マイクは裏に穴が開いていて、表から来た音と相殺する仕組み[4]。一般によく見る棒状のエンドアドレス型マイクは穴の作りによって周波数特性に違いが生まれ、これが製品によって音が違う要因になっている。

 エンドアドレス型の単一指向性マイクに「音源に忠実」を求めるのは無理。音源に忠実な単一指向性マイクを求めるなら、後述するマイクの周囲に障害物がないサイドアドレスタイプを使う必要がある。

 指向性マイクの「低音が弱い」とか、「声が引っ込む」とかいう問題は、イコライジングで解決する形になっている。このとき後述するイコライジング耐性が問題になることがある。

 無指向性のマイクは周波数特性がフラット。そのため計測用マイクはすべて無指向性になっている。

 無響室で無指向性マイクを音源に近づけて録ると、音源に最も忠実な録音ができる。しかし残響のある部屋では周囲の音を拾って耳で聞いたのと違う感じに録れることから、指向性マイクが使われることが多いようだ。

 


 

高感度マイクの候補

 プラグインパワー方式の高感度マイクをご紹介する。

RODE VideoMicro

 YouTuberの間で人気の単一指向性モノラルマイク。感度は -33dBとこのクラスで最も高い。本機のデータシート[2]見ると性能優秀。

オーディオテクニカ AT9940

 感度 -36dB、大口径ユニット搭載した高音質&高感度ステレオマイク。音楽録音に適している。プラグインパワー方式ではこのくらいモノが上限。

RODE SmartLav+変換アダプターSC3

RODEのラべリアマイク

 感度 -35dBの高感度ラべリアマイク。衣類に付けて使う。カメラから離れた位置で自撮りする用途に適している。スマートフォン用(TRRSプラグ)なので変換アダプターSC3が必要。音質は及第点。胸のところで録る音はこもった音なので、イコライジング調整が必要。使った感じだと、あまりお勧めしない。

中華製マイク Ashuneru XO-V001 改造品

Ashuneruコンデンサーマイク外観

 6mmのマイクカプセルを2個内蔵して感度-25dBというとんでもないマイク。そのままだと誘導ノイズが乗るので、ケースにアースを取る改造が必要。ごく低音から録れて自然な音。改造の詳細は関連記事8を参照。

オーディオテクニカ AT2035

 単一指向性、感度-33dB。ダイヤフラムが大きいだけあって性能・音質は小型のマイクカプセルとは比べ物にならない。細かい音までしっかり記録される。

AT2035を設置した様子

 写真のマイクアームはクラッシックプロ。中華製の激安商品に注意したい。ナレーションを録音する場合はポップガード を付けた方が良い。

オーディオテクニカ AT4040

 単一指向性、感度-32dB。DCバイアス型。低ノイズを求めるとDCバイアス型に行きつく。このタイプはデリケートで扱いに気を遣う。アマチュアレベルではこのあたりがハイエンド。

オーディオテクニカ AT5040

 参考に挙げておく。単一指向性、感度-25dB。DCバイアス型。圧倒的高性能。高感度低ノイズの究極はこれになる。

 


 

低ノイズで録音する工夫

自撮りではマイクに1cmでも近く!

 多くのYouTuberがカメラにマイクを乗せ、それに向かってしゃべっている。マイクから離れてしゃべった音にホワイトノイズが目立つのは当たり前。

 低ノイズでトークを録ろうと思ったら、適切な音量で録音できるまで口をマイクに近づける必要がある[7]。マイクに近づけば直接音が増えるから、マイクの感度を上げた以上の効果が期待できる。

 カメラから離れて録る場合は、上記のラべリアマイクを服に付けるか、マイクアームを使ってカメラの視野に入らない位置(頭の上など)から音を拾うことを検討してほしい。

 

PCMレコーダーを使う

 TASCAMのDRシリーズZOOMのHシリーズなどのPCMレコーダで音を別録りし、編集ソフトで映像と同期させる。内臓マイクは上記した誘導ノイズの問題と無縁であり、手軽に高品質な録音ができる。

 映像と音の同期は、手を叩くなど何らかのタイミング音をカメラ内臓マイクと同時録音すればよい。映画撮影で使うカチンコがあると便利。

PCMレコーダー DR-05

 写真はDR-05(2019最新機種はDR-05X)。無指向性マイクのマウントに問題があって音にクセがある。YouTube動画制作では単一指向性マイクが乗るDR-07XZOOM H1nの方が良いとみられる。実売1.4万円前後だから、これ以上高いプラグインパワーのマイクを買うくらいならコレにした方がいいだろう。

 

DR-05にラべリアマイクを接続した様子 

 DR-05には外部マイク端子がありプラグインパワーのON/OFFができる。試しに低感度のラべリアマイク(AT805F , -46dB)を外付けしてもホワイトノイズが増えないことから、ノイズは内臓マイクアンプで決まっている。

 同じ録音レベルで撮ったAT805Fとのレベル差から、DR-05内蔵マイクの感度は -33dB程度とわかった。かなり高感度のマイクが使われている。

 DR-05のLine OutをカメラのMIC端子(ライン入力)に繋ぐと映像と同期できるがお勧めしない。アンプを二重に通すことになってノイズが増える。また、上述したようにプラグインパワーのMIC端子に繋ぐと故障の原因になるので注意したい。

 PCMレコーダーにもグレードがある。ホワイトノイズを追求するには、EIN(入力換算雑音) -120dBu以下のZOOM H4nProやF4などをお勧めする[7]

 

 

カメラのライン入力を活用する

 パナソニック GH5s,DC-S1Rはライン入力に対応しており、高性能な外付けのマイクアンプが使える。

 PCMレコーダーのDR-05にはトーン信号出力機能があり、これをカメラに取り込むことで編集時に映像と音の同期をとりやすい。

 その他、GH5s,S1RのではXLRマイクロホンアダプターDMW-XLR1が用意されている。XLRでバランス伝送できるためマイクのケーブルを長く伸ばして使えるが、同時記録にこだわらないならより安いZOOM H4nProを使った方がよいだろう。

 

音声のイコライジング耐性

 マイクで録った音は上述したように必要に応じてイコライジングする必要がある。この場合振幅方向の分解能が必要だが、ハイエンドのGH5s,S1RでさえLPCM 16bitなので後からレベルを変えたりイコライジングすると劣化が避けられない(画像で言うところのレタッチ耐性がない)。こうしてみるとカメラの音声記録は所詮オマケなのかもしれない。

 上述したPCMレコーダーは96kHz 24bitで記録可能だから後加工が自由自在。音にこだわるなら最初からこれらの機器を使うのが正解。

audacityの編集画面

 オーディオ編集ソフトaudacity[5]のイコライジング画面。自由自在な加工は、素材に十分な情報があってこそ。

 

最後に

 良い写真を撮るために必要なものは、高価なカメラや大口径レンズではなくライティング機材だった[3]

 良い音で撮るための秘訣は、感度が高く自己雑音の低いマイクを選ぶこと、マイクに口を近づけること。

 音にこだわるならPCMレコーダーで別撮りが正解。

 

<参考購入先>
VideoMicro
ポップガード マイク保護のためにぜひ欲しいアイテム
クラッシックプロのマイクアーム 怪しい激安中華製品に注意。これがボトムです
オーディオテクニカ AT9940
RODE SmartLav+変換アダプターSC2
TASCAMのDRシリーズ
 DR-05X 無指向性ステレオマイク
 DR-07X 単一指向性ステレオマイク(角度可変)
 DR-40X 単一指向性ステレオマイク(角度可変)、XLR端子、4トラック、プラグインパワーなし
 DR-22WL DR-07XのWi-Fi付き(但し角度固定)
 DR-44WL DR-40XのWi-Fi付き
 DR-100MKIII 単一/無指向性ステレオマイク、XLR端子、ハイエンド

ZOOMレコーダーの比較は参考文献6を参照。

<関連記事>
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<参考文献>
1.音とそのセンサについて 小野測器
2.VideoMicroデータシート
4.マイクロホンの指向特性 オーディオテクニカ
5.audacity
6.ZOOMレコーダー比較表
RODE 
オーディオテクニカ
TASCAM