2019年YouTube動画制作用カメラと動画編集ソフトの選び方

 YouTubeなどの動画撮影ではデジタル一眼が役に立つ。ところが動画制作に適したカメラは意外に少ない。動画制作で欲しい機能と、その機能を持ったお勧めのカメラをご紹介する。

 

進化したカメラの動画機能

 デジタルカメラの動画機能はオマケだったが、電池を消耗するミラーアップを必要としないミラーレスが普及すると、大型センサーを生かした高画質の動画が長時間撮れるようになった。パナソニックはいち早く動画に注目してGHシリーズを登場させ、業務用に使えるレベルに進歩させた。

 今やどのカメラにも 動画機能が付いているが、本格的に動画撮影しようとするといろいろな問題にあたる。以下順番にご紹介する。

 

重要なAFの性能

 リアルタイムでピントを合わせないといけない動画では静止画とは違ったAFの性能が求められる。しかも、自撮り解説やレビューなどあまり動かないものを対象にした場合と、動物やクルマなど高速に動く物体を対象にした場合とでは、求められる性能が違う。

 前者は頻繁にピント位置が変わっては困るし、後者は頻繁にピント変えてターゲットを追わなければならない。

 高性能なAFを搭載した商品では、どちらの用途にも使えるようAFの感度を調整できる機能を備えている。

 

動画制作に最適なセンサーサイズ

 「見た目」に近い結果が望まれる場合、被写界深度がポイントになるが、これはセンサーのサイズである程度決まる。大型のセンサーは被写界深度が浅いため、見た目に近い撮影がしずらいほかAFのピントが安定しない。この用途では、センサーは大きいほど良いというものではない。

 動画用制作に使うセンサーサイズは1インチ~4/3あたりがよく、大きくてもAPS-Cまで。ペット動画のように走り回るターゲットを追いかけたり顔のアップを撮る用途では1/2.5型のハンディカム(ソニーFDR-AX60など)が役に立つはず。

 映画やドラマの製作ではラージフォーマットと呼ばれる大型センサーが使われる[8]が、それ以外の用途では1インチ以下が多い。アマチュアの動画制作では大型センサーが必ずしも有利でないことを知っておきたい。

 

動画制作で求められる機能

 あると便利な機能に次がある。求められる機能は、撮影するものによって違うので全てが必要というわけではない。

MIC端子

 内蔵マイクだとどうしてもカメラの動作音が入る。これを使うと、ホットシューにマイクを乗せて収音できる。屋外の環境音をクリアに録音できる。トークやナレーションでは音声だけ別に録音できるPCMレコーダーの方が便利[5][6]

テザーもしくはリモート撮影

 テザーはカメラとPCをUSBなどで有線接続して撮影結果をPCなどの画面で見れる機能。元々商品など静物撮影のための機能だが、動画撮影でも便利な機能。

 リモート撮影はスマホなどでライブビューを見ながら撮影できる機能。液晶画面が見えなくても構図を決めたりズームやシャッターの操作ができる。ソニーImaging Edge、オリンパスOl.Share、Panasonic Image Appなど。Panasonic Image Appは動画撮影中のライブビューができる。

2軸液晶モニター(バリアングル、もしくはチルト)

 レンズと同じ方向に液晶モニターを向けられる機能。近距離撮影や自撮りのチェックに便利。バリアングルはあらゆる角度に対応できるが、構図の決定は手元に画面が来るスマホのリモート撮影機能(ライブビュー)の方が便利。

 モニタリングスルー(外部モニターによるライブビュー)までできるとベスト。これができればバリアングルは必ずしも必要ではない。

給電撮影(ACアダプター)接続

 長時間撮影で必要。電池の持ちを気にし出すと電源のON/OFFが頻繁になって撮影がスムースに進まない。予備バッテリーを交換しながら運用していく手もあるので、よく考えたい。

電動ズーム(レンズの機能)

 寄ったり引いたりする映像を撮る際に欠かせない機能。手動で等速ズームがほぼ不可能なため、レンズ側に搭載されている必要がある。

 動画撮影ではズーム移動時の微細な「像揺れ」や往復時の光軸ズレによる「往復ガタ」、動作音、開始停止時の「スムースさ」などが問題になる。一眼用の電動ズームでこれらの品質を満足するレンズは極めて少ない。

 ビデオカメラはこの点の問題が少ない。ズームを映像制作に使おうと思ったら、ビデオカメラがよい。

電池、SDカード横出し

 電池やSDカードが三脚と干渉せず取り出す形が良い。下出しでも三脚穴と距離があって干渉しなけば問題ない。最近の三脚はクイックイシューがほとんどだから、小さなコンパクトカメラは三脚から外してさらにシュープレートを外さないとカードを取り出せなくなって非常に使いにくい。

NDフィルター

 明るい屋外でシャッター速度を落とすために使われる。人の見た目に近い動画が録れるのが1/60。これより速いと違和感が生じるが、YouTubeの動画制作ではあまり問題にならないと思われる。

 

動画撮影にお勧めのカメラ

 YouTube動画制作に適したカメラの候補に次がある。
 (注:以下の内容は 間違っている可能性があります。ご購入の際は、必ずご自身でチェックください)

 

表1.動画撮影に使うカメラの比較表(2019/10調べ、空欄は未調査)

  オリンパス
E-M10markIII
オリンパス
E-M5markIII
パナソニック
DMC-G8
パナソニック
DC-G99
ソニー
α6100
ソニー
FDR-AX700
ソニー
DSC-RX10M4
センサーサイズ 4/3 4/3 4/3 4/3 APS-C 1″ 1″
MIC端子 ×
内蔵手振れ補正 ×

リモート(テザー)撮影


撮影中ライブ可
 


撮影中ライブ、ズーム、タッチAF可


撮影中ライブ、ズーム、タッチAF可

〇(NFC対応) 〇(NFC対応) 〇(NFC対応)

モニタリングスルー


(情報表示は消せない。カメラ側の表示が消える)

 

 
バリアングル◎
チルト〇
給電撮影 ×  
(DCカプラー要)
ズームレンズ キットレンズ同梱 別途 別途 別途 別途
きわめて高品質

カードスロットと三脚の干渉
横出し◎


(干渉する場合がある)

AF感度調整

×

×

特徴・用途

小型コンパクト 小型コンパクト 中型 中型

小型コンパクト、動き回るものに強い

重量級、動き回るものに強い

大型&重量級、中~遠距離向け、動き回るものに強い

実勢価格

ダブルズームキット6万円前半 ボディ14万円前後 標準ズーム
キット8万円前後
ボディ11万円前後 ボディ9万円前後

17万円前後

14万円前後

発売時期

2017/9 2019/10 2016/9
(ちょっと古い)
2019/4

2019/10(予定)

2017/10

2017/10

 

 何を撮るかによって必要な機能が異なる。電動ズームはズーミングを作品に使わない人には必要ないし、ソニーが誇る高速AFも動きの少ない動画しか撮らない人にとっては無駄な機能。

 画質はどれも大差なく、値段の違いは便利機能の有無とAFの性能になっている。機能が本当に要るのか、その利便が価格に見合うものか、よく検討してほしい。

 重量級カメラは1キロ近い重さがある。気軽に持ち出せないことと、後述するようにビデオ雲台に乗せると重心ズレによって勝手に動いてしまう欠点がある。

 

一眼レフ

オリンパスE-M10 markIII

 機能的に不足する部分が多いが、動作のスムースな電動ズームが付いて6万円前半で買える。動画環境を最も安価に構築できるプラン。まだ何を撮るのか方針がはっきりしない状況で最初の1台としてお勧めできる[7]

オリンパス E-M5 markIII

 近日発売予定。上記すべての機能を備えるはず。ACアダプター(AC-3)が使えるが、パワーバッテリーホルダー (HLD-8) 経由になってしまい結構高い追加出費になる。
 動画のAF/AEの動きはソニーやパナソニックよりオリンパスの方が自然で違和感ない印象。

パナソニック DMC-G8,DC-G99

 G99は写真好きに待望のライブビューコンポジットが付くほか、AF動作を細かく設定できる。G8は給電撮影にDCカプラーDMW-DCC8+DMW-AC10が必要。発売も古い。今から買うならG99か、上記のE-M5markIIIをお勧めする。

ソニー α6000シリーズ

  2019年のお勧めはα6100。ソニーはAFのトラッキング性能に優れており、走り回る小動物の動画を撮るのに適している。また、本格的な動画専用に使える交換レンズが用意されている。

 

電動ズームレンズ

 動画作品にズームを取り入れる場合は電動ズームが必要。

 パナソニックとオリンパスはレンズに互換があるが、電動ズームの機能は制限される。ボディと同じメーカーのレンズを使うのが無難。

 オリンパスの電動ズームは次の2本。

オリンパス ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ

 キットレンズの中では比較的静かで滑らかなズームができる。動作速度も3段階から選べる。ズーム両端で往復ガタがある。

オリンパス ED12-50mmF3.5-6.3 EZ

 ズームの電動と手動を切り替え可能な防塵防滴ズーム。上記のパンケーキより画角が広く使いやすいレンズだが生産終了しており中古で探すしかない状況。代替できる同等品は売って無い。ズーム時に小刻みに揺れる像揺れがある。水平で使う分にはあまり目立たない。

 

 パナソニックは次の2本。動画撮影を考慮して設計されている。

パナソニック LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm

  非常に静かに滑らかに動作する。広角端で若干像揺れするが、上記のオリンパス14-42より少ない。ズームがレバー式で使いやすいが、フォーカスもレバー式の為MFが使いずらい。

パナソニック LUMIX G X VARIO PZ 45-175mm

 

 ソニーはレンズ交換式のビデオカメラがあるため本格電動ズームをラインナップしている。但しAPS-C レンズは寄れないものが多く近距離撮影に向かない。

ソニー E PZ 18-105mm F4 G OSS

 なめらかなズーム動作をするレンズ。寄れない点に注意(広角端で45cm)。

ソニー E PZ 18-110m F4 G OSS

  業務用の動画撮影に使える本格電動ズームレンズ。

 

ビデオカメラ(2019/9/4)

 早やかに収束するAF性能や音もなくスムースに動くズーム動作など、動画カメラとしてのトータル性能は専用機が一番良い。

ソニー FDR-AX60

 センサーサイズはコンデジ並みだが、本機は強力な手振れ補正機能があり、手持ちで走り回って子供や動物を撮るのに最も適している。

ソニー FDR-AX700

 1インチセンサーを搭載したアマチュア向けのハイエンド。

 

ネオ一眼(2019/9/9)

 高性能レンズと電動ズームを備えており、一眼とビデオカメラの中間に位置する。望遠が得意だが、長く伸びた前玉が邪魔になり近距離撮影は苦手である。

 レンズの大きいネオ一眼は本体に1キロ近い重量があり、重心と三脚穴の位置がズレている。そのためビデオ三脚に乗せると勝手に動いてしまうことが多い。カウンターウエイトを使ったり、前後スライド可能な雲台を使うなどの工夫が必要になる。

DSC-RX10M4

 卓越したAF性能とレンズ性能が特徴。少し多くて重いが、これ1台でほとんどの用途をカバーする。ズームの品質もまあまあ。

LUMIX DMC-FZH1

 NDフィルター装備、4K 4096×2160記録可能。10bitライブビューに対応するなど業務用ビデオカメラに匹敵する機能を備える。レンズ下向きの動画撮影ではピントが正確に合わない問題がある。

LUMIX DMC-FZH1 の外観

 2019年9月に購入したDMC-FZH1。重量966gと重い。GH5のレンズセット(935g)より重いとはいったい・・

 

ビデオ雲台

 動画制作にはスムースに動くビデオ雲台が欠かせない。オイルの摩擦でじんわりスムースに動くのが特徴だが、一眼など重心と三脚の穴が合っていないカメラを乗せると勝手に倒れるなどの問題が起こる。

 これに対処するには、カウンターウエイトを付けるか、取付位置を自由にスライドできる雲台を使う必要がある。

ベルボンのビデオ雲台FHD-51QN

写真はベルボンのFHD-51QN。クイックシューを前後にスライドさせて重心を移動させることで重心位置を合わせることができる。

 

ペットボトルに水を入れたカウンターウエイト

 ペットボトル用のホルダーを利用したカウンターウェイトの例。重い一眼を使うとこのようなものが必要になることがある。

 


 

 

お勧めの動画編集ソフト

 動画を撮ると編集が必要になる。基本的に次の3つからどれかを選べばよい。

 

Wondershare Filmora

 安価で使いやすく定評のあるソフト。YouTubeとの親和性も高い。特別凝らなければこれで十分。永久ライセンスが7千円くらいで買える。Pro版があるが機能的は以下のDaVinci Resolve(無料版)の方が上であり導入する理由がない。

 GPUを利用する仕様だが、実際はQuadroもGeforceもほとんど利用されない(ELSA GPUモニターで確認)。

 商用ライセンスがあって迷う人がいるが、個人で使う分には必要ない(YouTube収益化含めて[1])。

 

DaVinci Resolve

 何でもできると言ってもいいくらい高機能。無料版とStudio版がある。無料版はStudioの機能限定版だがアマチュアにとって十分すぎる機能が提供されている。機能が豊富な反面、使いこなすのが難しい。

 簡単な図形でも描くのに手間がかかる。サムネイル用の画像が簡単に書き出せない。プロジェクトファイルの管理が特殊で他のPCに移す場合は書き出しやバックアップ機能を使う必要がある。

 動画の表示やのレンダリング際GPUを利用して高速化できる。

DaVinci Resolveの実行画面 DaVinci Resolveの実行画面。私が重宝する機能に、音声のコンプレッサーと、写り込んだ余計なものを消したりボカす機能がある。

 

Adobe Premiere

 ElementsとProがある。ProはResolve Studio と比較しうる内容だが月額課金のため利用頻度の少ないアマチュアに向かない。Elementsの方は低機能で使い勝手が悪く編集がはかどらない。内容的にFilmoraに大きく劣り価格も高く導入する理由がない。

 


 

まとめ

 動画制作に使うカメラのお勧めは次の通り。

ソニー FDR-AX700

 動画はやはり専用機のビデオカメラがベスト。

オリンパス OM-Dシリーズ

 スペックの比較だけでは見えない良く作り込まれた動画機能が特徴。小動物や移動体など速い動きに対してはα6000シリーズも候補になる。

 編集ソフトのお勧めは次の通り。

 初心者向け Wondershare Filmora

 使いこなせるなら DaVinci Resolve

 月額課金が気にならないなら Adobe Premiere Pro

 

最後に

 近年スマホの画質が進歩し、APS-C+小型キットレンズではスマホに劣る場面が増えてきた。センサーの性能で勝ってもレンズの方に物理的にどうしようもない「小型化の限界」があるため。

 画質はセンサーとレンズのトータルで決まる。かつてオリンパスがフォーサーズの規格を打ち出した時「デジタルカメラではこれが理想なんだ」と言っていた。フォーサーズは登場からしばらくの間、レンズにセンサーの性能が追い付かずトータル画質はイマイチだった。

 ソニーのAPS-Cは無理に小型化した感じでセンサーの性能を生かし切れていないように見える。結局、1インチ~フォーサーズあたりがデジタルカメラのベストバランスかもしれない。

フルサイズはレンズが付いてきていない。フルサイズの性能を100%生かしたレンズを作ろうとすると、物理的に大型化して実用限界を超えているように見える。

 キャノンやソニーはミラーレスのフルサイズに舵を切ったが、その先にバラ色の未来があるのか疑問だ。私にはマークレビンソンの超弩級アンプに見える。

 

<参考購入先>
オリンパスE-M5 markII、III
パナソニックDMC-G8,DC-G99
Wondershare Filmora
DaVinci Resolve
Adobe Premiere Pro

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<参考文献>
1.YouTube動画の収益化に対するWondershareの見解(web魚拓) Can i use filmora for monetized videos?
2.YouTubeのアップロードする動画にお勧めのエンコード設定
Amaing Graph 将来、生き残るカメラメーカーはどこか?
8.映画撮影用のシネマレンズを一眼ムービーで試す YouTuberには縁がないかもしれないですがシネマレンズがあります

動画変種ソフトのサイト
Wondershare Filmora
DaVinci Resolve
Adobe Premiere