ダイソンをぶっ飛ばす!~最強コスパのコードレス掃除機を徹底レビュー

ハードな建築現場で長年支持されてきた掃除機がある。マキタやハイコーキのコードレスだ。家庭向けに市販されているが、ラインナップが多くて選ぶのが難しくなっている。そこで今回は、選び方のポイントを解説していきたい。

 

プロ機の特徴

 マキタやハイコーキのプロ用コードレスは建築現場のハードな環境で生まれ育ってきた。かつてはカタログ通販でひっそり販売されていたものだが、比較的安い価格設定と実用性の高さが知られるようになり、人気が出てきた商品だ。

 これらのプロ機と、ダイソンなどの家庭用掃除機との決定的な違いは何か。私は、長年現場で鍛えられた堅牢性、実用性、信頼性にあると思う。

 しかも後述するように本体だけ買うと驚くほど安い。安さの秘密は、シンプルな構造と、無駄な装飾を廃した実質剛健の作りにあるようだ。

 デザインも秀逸。彩度の高い色が使われていない為に目立たず、見える場所に置いても室内のインテリアを破壊しない。ギラギラ目立つ原色メタリック系の商品とは対照的。

マキタ掃除機外観

 掃除機のノズルにはゴミを取りに関わるノウハウが詰まっている。小型軽量で振り回しも楽。建築現場では木屑や砂粒を効率よく吸い取れて、目詰まりや故障などのトラブルがないことが重要。

マキタ掃除機のノズル

 シンプルなノズル。くるくる回るブラシなど余計な機能が付いてない。これが建築現場の環境に近いタイルやフローリングの清掃においてパーフェクトに近い性能を発揮する。

 業務用なのに音も静か。音色がマイルドで耳障りな音を出さない。家の中で他の住人に迷惑をかけることなく掃除できる。

 

マキタ、ハイコーキのラインナップ

 種類ががたくさんあり品番も複雑でわかりにくいが、電圧別に整理すると解りやすい。次のようになっている。吸込仕事率と電圧は比例関係にあり、電圧が高いものほど吸込む力が強い。

表1.マキタ・ハイコーキのコードレス一覧
(Wは吸込仕事率)

電圧 マキタ ハイコーキ 備考
18.0V(ブラシレス) CL28シリーズ(45W~60W)  
18.0V CL18シリーズ(37W) R18シリーズ(40W)  
14.4V CL14シリーズ(29W) R14シリーズ(35W)  
10.8V CL10シリーズ(14W~32W) R12シリーズ(15W~30W)  
7.2V CL07シリーズ(14W) R7シリーズ(20W)  

これに、

バッテリ容量の種類(3.0Ah , 1.5Ah , 1.0Ahなど)
集塵方式2種類(紙パック、カプセル式(≒ダストケース式))

の組み合わせがある。種類が多すぎて一般消費者がこれらの違いを理解したうえで選ぶのは結構しんどいと思う。14.4Vの1.5Ahとか言われても、それでどう使えるのかイメージできないと思う。以下順番に詳しく説明し候補を絞っていく。

 

使い回しできる電池

 この電池は掃除機専用ではない。マキタもハイコーキも、プロ用電動工具と共通になっていて使い回し可能。建築現場で支持されている理由の一つがこれ。掃除機を先に買った場合は、後からプロ用電動工具の本体のみを安く買い足すことができる。

 例えばプロ用の高性能インパクトドライバがなんと1万円前後で買えてしまう。家具の組み立てからタイヤ交換まで幅広くカバーする優れモノ。いい工具を手にするとDIYが楽しくなる[2]

 

電圧はどれがいいのか

 プロ用電動工具の主流は18Vもしくは14.4V。建築現場のハードな清掃で定評あるのもこの電圧で使ったものだから、電圧はこのどちらかを選んでおけば吸込みに不満を感じることはないはず。

 10.8V以下は家庭向けと見られる。一部の仕事率の高い商品(30Wくらいのもの)を除くと能力的に不足を感じる場面が出てくるかもしれない。

 電圧のベストは、プロ用電動工具と共通になっている18Vもしくは14.4V である。

<参考>
 違う電圧の電池を使い回しできないか。実験してみた結果は次の通り。高い電圧の電池は不可。低い方は可だが、能力が落ちる。本体に合った電圧を入れて使うのがベストである。

 本体18.0V+電池14.4V⇒挿入&運転可能
 本体14.4V+電池18.0V⇒挿入不可

 

集塵方式はどれがいいのか

 紙パック式がべスト。マキタの紙パック式を買うと標準で写真のような布製のダストバッグ(高機能ダストバッグ)が付いている。ゴミが溜まったら表裏ひっくり返してポイ捨てすることで繰り返し使える。チョッと掃除するだけの使い方なら、これで十分。しばらく使ってみて、捨てる頻度が多いと感じてから紙パックに変えればよい。

マキタの掃除機の紙パック部分

 家の掃除では建築現場と違って細かいホコリくずが多い。紙パック式はゴミが圧縮されるので、捨てるとき細かい粉塵が散りにくい。これがサイクロンなど他の方式にはない、紙パックのメリットだ。

 マキタのカプセル式には繰り返し使える布製の「高機能フィルタ」が付く。紙パックに相当する使い捨てフィルタが「フィルタ」。一見便利だが、フィルタにゴミが張り付くので剥がすのに少し手間がかかる。ハイコーキのダストケース式は、これを「除じんブレード」で剥がしやすくしたもの。どちらもゴミ捨ての際、細かい塵が舞うという。

 集塵方式のベストは紙パック式。ハイコーキに紙パック式はないので、メーカーはマキタがよさそう。

 

電池容量はどのくらい必要か

 容量は電池の持ちに関係する。同じ電圧でも容量が複数ある。マキタでは 6.0Ah , 3.0Ah ,  1.5Ah , 1.0Ah というように種類が多い。写真上は18.0V3.0Ah(互換品)、下は14.4V1.5Ah。

マキタの掃除機側面

 実際、どれくらいの容量が要るのか。この種のクリーナーの用途は家中ではなく、一部エリアのちょっとした掃除。そんな用途に対して実際使ってきた感じは、1.5Ahあれば十分だった。

 電池の容量は大きければ良いというものではない。大きいほど高価で重く充電に時間がかかる。逆に小さい場合は、電池の持ち以外の問題が起こる。電池にはカウンターウエイトの役目もある。電池が軽いと重心がグリップより下に来るため、ノズルを持ち上げるのが重くなり腕が疲れやすい。

 掃除機や電動工具は「本体の重心」と「グリップの位置」が近いほど、機敏に動かしやすくなり作業効率がいい。この重心位置のベストは6.0Ahを付けた時だが、重くなるうえ他の工具(インパクトドライバー)に付けたときのバランスが悪い[2]

 電池の持ち、自重、重心バランスの3つを考えた一般家庭用のベストは3.0Ah

 

掃除機の候補と、安く買うテクニック

 以上の結果から、これから新しく買う人への一番のお勧めは次になる。

 18.0V3.0Ahのマキタ紙パック式 CL182FD

14.4VのCL142FDもあるが値段がほとんど変わらない。手元に14.4Vの電動工具があるとか事情が無い限り、電圧の高い方を選ぶのが正解。上位機種にブラシレスモーター搭載のCL282FDがあるが、少しの性能アップと引き換えに騒音と値段が上がる。性能はCL182FDで十分なので、これがべストである。

 

 ところで、CL182FDの純正電池+純正充電器のセットは2.7万円。掃除機本体だけ買うと8.3千円なので、値段の2/3が電池と充電器。そこで、本体+互換電池+互換充電器に分けてバラバラに手配する。

 18.0V3.0Ah(BL1830B)の互換電池 は5.3千円で買える。ここは安すぎる中華製の激安電池セットに注意したい。互換充電器は2.6千円前後。

 写真はメロディ付き互換充電器。曲はモーツァルトのアイネ・クライネ。互換商品の品質は値段なり。私が買った電池と充電器は組み合わせが少し硬く感じるが、問題ないレベルだった。

互換充電器

 本体+互換電池+互換充電器で合計1.6万円。純正のセット品より1万円以上安い。性能と使い勝手のいいコードレスがこの値段で買えるのは嬉しい。

 

あると便利なオプション

 コードレスを買って気づくのが置き場所の問題。写真のようなスタンドがあると便利だから、ぜひ一緒に揃えておきたい。車の掃除をする人は、フレキシブルホースが便利。

マキタ掃除機のスタンド

 

最後に~ダイソンと比べて

 私がマキタを買う前は、ダイソンDC16を使っていた。綺麗なメタリックの商品で、3万円近いお金を出して買った当初の満足度は高かった。しかし、保証が切れた時点で壊れてしまった(充電してもスイッチが入らない)。

 ダイソンを使ってきて感じた不満は次の通り。

1.くるくる回る回転ブラシに絡んだ髪の毛の除去が大変
2.電池の持ちが悪い(使用中切れると再充電に時間がかかり掃除をなかなか再開できない)
3.ゴミ捨ての際、塵が舞う。せっかく捕集した細かい塵が部屋に分散、それを吸い込まないよう、息を止めて作業していた。
4.細かい埃がフィルタや部品に付くので定期的な清掃が必要。

 3,4は紙パック式では起こらないこと。特に問題なのは3。ゴミ袋を袋のように閉じて捨てるとか、工夫してみたがダメだった。ダイソンが壊れやすいのは、複雑な構造が関係していそうだ。

 そんなわけで修理に出す気になれず破棄。マキタに変えてから、このような不満とは無縁。快適に使えている。

 

<参考購入先>
CL182FD 18.0V紙パック式。本体がお買い得です
BL1830Bの互換電池 安すぎる中華製の激安電池セットに注意
互換充電器
スタンド
フレキシブルホース
上記全部揃えてしまえば完璧です。

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<参考文献>
マキタコードレスクリーナー
ハイコーキクリーナー