野口悠紀雄氏の「超」整理法が出版されたのが1993年。私はここに書かれた「押し出しファイリング」を20年以上実践している。
書類を角2封筒に放り込んで棚に並べ、使ったら一番左に戻すだけ。分類しないのに使えば使うほど整理されていくこのシステムは、万能ではないが確かに機能する(よく使う書類は左に、使わない書類は右に集まる)。
私が作ったInfoStudioというソフトは、これをパソコン上のファイルの整理に応用したものだった。
物の整理整頓に関しては未だ有効な解決策が示されていない。相変わらず「整理は分類なり」の次元から抜け出せていないのが現状だ。
下の写真は作業机(例)だが、良く使うものが手近にあって使う人からすれば効率悪くない。しかし第三者からみると乱雑だ。これが工場やオフィスの仕事場なら
「机の上が散らかっている。整理しなさい!」
と言われるだろう。
そこで2Sを実行する。工具を工具箱へ、ペンを引き出しへ、書類を書棚に移動すると、机の上は綺麗スッキリ片付く。
しかし仕事を始める場合は、いったん片づけた工具やペン、書類を元の場所へ戻さなければならない。そこでまた「机の上が散らかっている。整理しなさい!」と言われる。
2S活動の多くはこの片づけては戻す作業の繰り返しだ。
2Sを推進する側からすれば
「使わないものが出ていると邪魔になり作業効率が落ちる。生産性をあげるために2Sが重要」
になるだろう。しかし2Sの現場では効率や生産性より「見た目」が問題視される。他人の机を第三者が見ても、効率の良い状態か、単に片づけをサボっているのか見分けがつかない。
「見た目が綺麗なら、生産性もいいに違いない」
という考えは基本的に正しい。見た目だけを問題にする2S活動は、あながち間違いではない。
「見た目」で判断される世界において無駄な作業を増やさない為には、見た目を綺麗に見せるノウハウが必要だ。
なぜ最初の写真が乱雑に見えるのか。私が注目したのは、置かれた物の「角度」がバラバラなところ。
そこで試しに物の角度を水平垂直に揃えてみた。その結果が次の写真。何だか綺麗になったように見えないだろうか。このように物の位置は動かさなくても、角度を変えるだけで見た目はずいぶん変わる。
次に、机の中央が空くよう少しだけ物を動かしてみた。必要なものが整然と整頓されたデキる人の机に見えないだろうか。これなら「散らかっている」「整理しなさい」とは言われないはずだ。何も片づけていない点に注目したい。
この方法を実践するためには許容偏差の規定が必要だ。見た目の印象は個人差もあるが、だいたい水平垂直に対して傾き1/60 (A4用紙なら上下端5mm、ペン類なら2mm)以下に収めれば綺麗に見える。
机にあるもの全部でなくとも、8割くらいがこの許容差を満たしていれば良い。これなら簡単に出来そうだが、いかがだろうか。
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