鉛筆をナイフで削る方法~手削りした鉛筆をビジネスでカッコよく活用する

 小学生の頃、学校には手動の鉛筆削りがあった。ハンドルをぐるぐる回して削る姿を見て、先生がこう嘆いていたのを覚えている。

「最近の子供はナイフで鉛筆も削れない」「手先が不器用になった」

これを聞いて試しにナイフで削ってみたことがある。鉛筆は木の部分と芯の部分で硬度が違う。やってみると結構難しい。昔の子供は、これをみんな自分で削っていたという。

 

 「鉛筆削り」の仕上がりは六角錘もしくは円錐だが、折れにくくて、かつ細い部分を長く使える最適解が別にあるかもしれない。ナイフを使えば、鉛筆削りでは出来ない細工が可能。昔はいろんな工夫があったに違いない。

 

ナイフを使った仕上げの種類

 いろいろありそうだが、私が子供の頃は既にナイフを使って鉛筆を削る人が周囲にいなかった。以下は私の推測になる。

六角角削り

 六角の角部分に刃を入れて木の部分を六角錐に仕上げる方法。

六角平面削り

 六角の平面を延長した形で木の部分を六角錐に仕上げる方法。

円錐削り

 いわゆる鉛筆削り器を使って得られる仕上がり。ナイフを使って綺麗な円錐を作るのは難しいが、機械を使えば簡単。これをわざわざナイフでやる意味はないかもしれない。

 

ナイフで削った鉛筆の例。六角角削りと六角平面削り 写真は、六角角削り(左)、六角平面削り(右)。この写真では芯も六角角削りしている。

 六角平面削りは少し難しく、技量が要る。

 

 

鉛筆削りの工程

 鉛筆は次の3段階になる。

1.木部荒削り
2.木部六角削り
3.芯研ぎ

 工程1は新品の場合にみ必要。3の仕上げは刃先を垂直に当ててやるとよいようだ。黒鉛の部分は刃先を垂直に当てて擦るように削る。

 丸くなったペン先の手直しは容易。数十秒でできる。

 人に削らせてみると、削り手の個性や性格が形に表れて面白い。絵画や彫刻と同様、これも一種の表現手段といえる。

 

ナイフは「危ない」モノなのか

 ナイフを調査していて気になった事があった。最近は「ナイフ」は危ないものとして敬遠されている実態だ。ナイフというと、「人を刺す道具」としか思い浮かばない人が多い(カッターナイフはいいらしい)。

 昔は子供の時からナイフを扱い、その「便利さ」と「危険な部分」をよく知る機会があったように思う。

 今の子供は、ナイフで鉛筆を削ること自体、知らないのではないか。ナイフで鉛筆を削るのには工夫がいる。チャレンジするだけで、いろんなことを学ぶはずである。子供に限らず、大人にも、鉛筆削りをきっかけに、工作や物作りの楽しさを学んで欲しいと思う。

 

ナイフで削った鉛筆の美しさ

 今時、ナイフで削った鉛筆を携帯している人はどのくらいいるだろうか。ワープロが普及して、ペンを使う機会そのものが減っている。

 

ナイフで削った鉛筆(六角角削り)「生まれて初めて見る」そんな人もいるかもしれない、ナイフで削った鉛筆(六角角削り)。このくらいの角度で削るのが一番綺麗に見える。

 六角平面削りは遠くから見ても普通と違うので、目立つかもしれない。

 

 

ビジネスシーンに持ち込むための課題

 現代ではパソコンが文書入力の主流を占め、鉛筆はおろか、ペンそのものを利用する機会が激減した。そんな時代、ナイフで削った鉛筆を携帯していて、さっと取り出して使うと「カッコ良く」見えるかもしれない。私はふと、そう思った。

 しかし、この演出を学校以外の場所で実用化するには、解決しなければならない課題がいくつかある。

 例えば、ビジネスシーンで鉛筆を使うには、最低限、先端を保護するための「キャップ」がいる。それと、ポケットに固定するためのクリップも必用で、ここは金属製でなければならない(プラスチックの物はすぐに折れてしまう)。

 そんなものがないか、探したところ、うってつけのものがあった。STAEDTLERのペンシルホルダーである
ホルダーが見つかったら、次は削りに使うナイフである。これは「肥後守」が定番。

※2013/7追記:Faber Castell社のパーフェクトペンシルも候補。

 


実例

STEADLERペンシルホルダー

 

STEADLERペンシルホルダーと肥後守

 

 写真はSTAEDTLERと肥後守(特別鍛造青紙本割込、刃渡り8cm)。このペンシルホルダーは単なるキャップではなくグリップと消しゴムが付いている。まさに鉛筆にこだわる人のために作られたような商品。

 これは自己表現のアイテムとして有用。少なくとも、人前で取り出してロレックスや高級万年筆より嫌みがないのは確かだ。

 それに、ロレックスや万年筆はお金を出せば買えるが、ナイフで鉛筆を美しく削るためには一定レベルの技能・感性が要求される。つまり、誰でも持てるアイテムではない。

鉛筆の真ん中を削った様子

 

 STAEDTLERには問題がある。それは新品の鉛筆を入れると長すぎてしまう点。そこで今回は、真ん中を削って2分割してみた。

 ペンシルホルダーは問題ないが、ナイフは携帯していると誤解を招く恐れがある。ここは肥後守ではなく、カッターナイフを使うのが無難かもしれない。

 

最後に

 たまにはナイフで削った鉛筆を使ってみてはどうだろう。人工的なペンに見慣れた今、手作りの味わいを持つペン先には、万年筆にはない斬新なイメージがある。

 

 

<参考購入先>
ステッドラー ペンシルホルダー
パーフェクトペンシルUFO ブラック
肥後守 青紙割り込み 中
ハイユニHB 鉛筆はもちろんこれ。国産最高品質の品。

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