加湿器にはいろんなタイプがある。あまり知られてない、実際使ってみてわかったメリット・デメリットや運用のコツを紹介したい。
方式の違い
以下は過去の経験をもとにまとめたもの。
加湿器の違い(2022/12)
気化式 |
スチーム式 |
超音波式 |
ハイブリッド式 |
|
原理 | 湿らせたフィルターに空気を通して蒸発 | 連続沸騰 | 振動でミスト発生 | 超音波+スチーム |
消費電力 | 数十W | 250~1000W | 25W前後 | 100~250W |
吹き出し | ×寒い | ◎ | ×寒い | ◎ |
加湿能力 | △ | 〇 | 〇 | ◎ |
運転音 | ◎ | ×~△ | ◎ | △~〇 |
周囲の汚れ | ◎ | ◎ | ×(白くなる) | ×(白くなる) |
メンテナンス | ×(フィルターにカビ) | 〇 | △(タンクに水垢) | 〇 |
冬にちゃんと加湿できる能力と、消費電力や音などの実用面からすると、方式はハイブリッド型がベストである。以前は高価なものしかなかったが、今は比較的安価な商品が多くある。あとで実例を紹介する。
ハイブリッド式の欠点は周囲の汚れだが、これは超音波を控え目にしてスチームをメインに使うことで改善できる。超音波式の白い汚れについては、解決策が見つかり本記事に追記した。
選び方のポイント
ハイブリッド加湿器の購入にあたっては、下記に気を付けたい。
ヒーターが静かに作動し、ちゃんと加温したミストが出ること。
ヒーターをON/OFF制御するタイプはリレーやバイメタルのカチカチ音が気になる場合がある。また、ハイブリッドといいながらミストが少しも暖かくないものがある。これらは中華製品に多い。
タンクの容量は、5リットル以上を目安としたい。ハイブリッド型は加湿が強力なため、容量が小さいと給水の頻度が増えてしまう。タンクが透明で外から水の残量が見えるものが良い。
それと、タンクは上から継ぎ足し給水できるタイプがよい。これができないと吸水の度に重いタンクを運ぶ必要があり、そのたびに水が垂れる。
本体の色は白が良い。黒いボディはカルキの白い汚れが目出つ。
ハイブリッド式加湿器の実例
KSH-MX602
マクスゼン㈱。本当の製造元はこちら。40ドルくらいの製品。アマゾンの販売価格は6千円~。安価な加湿器のほとんどは中華製のOEM。まとめて発注し、自社ブランドでいろんなメーカーが販売している。国産で同程度の性能を求めると1万円以上する。
タンク容量5.5L、上部給水でき、タンクを外して持ち運ぶことも可能。タンクは半透明で水位が良く見える。リモコン付きで遠隔操作可能。
タッチパネルの反応良好。電源を切ると一番左の電源ボタンだけ点灯し、消費電力0.4Wで待機する。
湿度設定すると設定湿度で自動運転する。
電源OFFで記憶される設定は、加湿とヒーターのみ。自動運転は解除されてしまう。
ヒーターの運転強度がパネルで確認できる。写真のように湯気のマークが2つ出ている場合は強度3。夜間眩しいが、お休みモードにするとほとんどの表示が消える。運転音が静かで寝室に使える。
消費電力。ヒーターの加熱量を停止含め0~3まで4段階調整可能。ヒーターは連続運転なのでカチカチ音がしない。実際に測った結果は以下の通りだった。
加湿 | ヒーター | 消費電力(W) | 備考 |
1 | 0 | 15 | |
2 | 0 | 19 | |
3 | 0 | 24 | |
3 | 1 | 98 | |
3 | 2 | 190 | |
3 | 3 | 257 | 強力加湿 |
ヒーターが電気を食うが、設定1では冷風になる。加湿とヒータの両方を3にすると強力加湿が出来、5.5Lある大容量タンクの水がぐんぐん減っていく。
性能がよく使い勝手もいいが、ミストの量が安定しない。時々、既定の半分程度になってしまうことがある。
STC-600
中華製で国内代理店(㈱ベルソス)販売。アマゾン販売価格は6千円~。
タンクは大容量6.5L、上部給水でき、タンクを外して持ち運ぶことも可能。タンクは半透明だが、透明度が低くて水量がほぼ見えない。本機にはブラックモデルがあり、こちらの方が水位が見やすいが白い汚れが目立つ欠点がある。
リモコン。
消費電力。ヒーターの加熱量を0~3まで4段階調整可能。
加湿 | ヒーター | 消費電力(W) | 備考 |
1 | 0 | 14 | |
2 | 0 | 18 | |
3 | 0 | 22 | |
3 | 1 | 101 | |
3 | 2 | 198 | |
3 | 3 | 269 | 強力加湿 |
前述のモデルとほぼ同じ。ヒーターが電気を食うが、設定1では冷風になる。加湿とヒータの両方を3にすると強力加湿が出来、6.5Lある大容量タンクの水がぐんぐん減っていく。
運転モードにAutoがある。最初ヒーターも加湿も最大運転になり、湿度があがってくると加湿が下がる。目標湿度が不明。
電源OFFで記憶される設定はAutoと加湿だけ。ヒーターは常に3で起動する。
湿度設定するとAutoとは別に、設定湿度で自動運転する。
タッチボタンの反応はいま一つ。私が購入した個体は右上のボタンがほとんど反応しない。
この加湿器はAutoで放置するか、大容量タンクで水切れしにくい利点を生かして24時間連続運転に適している。
2023/12/3追記
本機は1年でモーターから異音が出るようになった。
XR-RE04
作りが上記STC-600とほぼ同じであり、同メーカーの上位機種とみられる。アマゾン販売価格は5.3千円~。多機能で高級感がある。ただし、後述するようにヒーターが正常に動作しない。輸入代理店は高昇。
タッチ音に高級感がある(ピーンという爽やかな音)。表示は操作時に明るくなり、すぐにディマーが働いて照度が落ちる。夜間でもまぶしくない。
表示は上が現在湿度と設定湿度(自動運転時のみ)の交互、下は温度、加湿強度、タイマー(設定時のみ)の5秒周期交互切り替え表示である。
超音波の振動数が高いのか、非常にきめ細かいミストが出る。
タンクは透明になっていて水位がわかる。底に支えが付いていて、ダンクを外して吸水する時に安定するようできている。
機能豊富だが電源OFFすると設定はすべて消える。電源を入れると、加湿1、他の設定はすべてOFFの状態で起動する。
給水のため上の蓋を開けると加湿が自動停止、蓋をもどすと元の設定どおりに運転再開する。
温度と湿度のセンサーは電源コードに外付けされている。これは正確な自動運転のためと見られる。
ヒーターの加熱強度は調節できない。ON/OFFのみでカチカチ音がする。
消費電力は次の通り。
加湿 | ヒーター | 消費電力(W) | 備考 |
1 | 0 | 13 | |
2 | 0 | 17 | |
3 | 0 | 23 | |
3 | 1 | 200 | 機能しない |
UV,イオンをONにすると、どちらも1W増えるだけ。電気がかからない付属機能だが、ほとんど実効性のない機能と見られる。ONにしても電源を切るたびにOFFになってしまうため、実質使えない機能。
ヒーターはON/OFF制御。一度沸騰したあとは、頻繁にカチカチ音がするだけで冷風が出るだけ。温度制御がうまくできていない。本機のヒーターは機能しない。製品のツメが甘いのは、中華製にありがちな問題。
高機能で高級感のある機種だが、ハイブリッド加湿器として使い物にならない。
中華製品のサポート
大量に作って激安で売られている中華OEM製品が故障した場合、修理対応は期待できない。保証期間内なら新品交換、保証が切れて壊れたらそこでおしまいの使い捨て消耗品。
とはいえ、どれも6千円程度の商品なので、3シーズン持てば1万円以上する国産品を買った場合と同じである。
その他の事例
アイリスPH-U40-MD
木目調のデザインでインテリア性が高い。タンク容量4Lとあるが、満水にするには後述するコツがある。水の残量が良く見えない。
小さいわりに太さが23㎝もあってスペースを取る。イルミネーション機能があるが、加湿のスイッチと連動しておらず電源を切っても付いたままになる。消費電力22W、ほぼ無音動作する。
給水の際は、運転を止め、上のキャップを外して水栓まで持っていく。写真の出っ張りを取っ手代わりに使うと便利。
水を入れようとして上下反転すると、写真の出っ張りのせいで斜めになり3.5Lしか入らない。きっちり4L入れるには傾かないよう、ずっと支える必要がある。
悪いことに、容量が少ないのでこの作業が頻繁に起こる。しかも給水のたびに水が垂れる。どうにも使いずらい。
中華製KNGUVTHブランド加湿器
タンク容量4.5L。容器が透明で水の残量が遠くからみてわかる。消費電力30W、超音波式の中では強力。ほぼ無音動作するが、運転すると室温が下がって寒くなる。
タンクだけ外して満水にできる。目いっぱい入れて4.5Lちゃんと入る。
水が減ってきたら運転中に上から継ぎ足し可能。電源を切らなくていいし、水滴を垂らしながら重いタンクを持ち運ぶ必要がない。上部給水は必須。だが実際の運用では4.5Lは微妙に少ない。5Lをミニマムとしたい。
1シーズン使って分かったことだが、超音波式はタンク内で雑菌が増えて水垢が溜まりやすい。これは超音波式のデメリットといえる。
<参考購入先>
KSH-MX602 2023年のお勧め。加湿器はこれがベスト。買って忘れてしまってください
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