どこの家庭もほぼ毎日使っているしゃもじ。「しゃもじなんてどれも同じ」ではない。今回はこの選び方をご紹介する。
比較対象
いろいろなしゃもじ。左から、炊飯器(TIGER)付属のもの、山崎実業 アクア ホワイト 2892、マーナ ホワイト K386W。どれも材質はポリプロピレンで、エンボス(細かい凹凸)が付いている。
同じポリプロピレンでも耐熱温度が違う(TIGERとマーナ120℃、アクア160℃)のでグレードが違う可能性がある。
エンボス
エンボスの拡大。ご飯のこびりつきを防ぐ重要な部分。サイズとピッチが微妙に違う。TIGERは全体にツヤがあり、アクアは艶消し。マーナはエンボスにも細かい凹凸が見られ艶消しになっている。
機能
アクアには横置きを可能にする出っ張りがついている。横置きは場所をとるので縦置きできるなら使わないことが多いと思う。
アクア、マーナを縦置きしたところ。底の形が多少違うが、置きやすさや安定性はほぼ同じ。握りの形はほぼ同じであり、握りやすさに差はない。
厚みの比較。左からマーナ、アクア、TIGER。マーナが最も薄くご飯窯に沿って曲がりやすい。
内釜のフィッテング。マーナは曲面に沿って接することができ、先端が薄く柔らかいこともあって隙間がほとんどできない。
アクアは先端が平らのため隙間ができやすい。この平らな部分は、底が平らな容器から食材を掬うのに便利。この用途が必要かどうかが選択のポイントになる。
こびりつき
ご飯を掬ってお米のこびりつきを比べた結果。アクアとマーナにはとんど付かず固まった以後も簡単に取れる。洗う必要がない。TIGERには多くのこびりつきが見られ、洗ってもなかなか落ちない。
エンボスが付いてるから大丈夫と限らないことがわかる。この性能差はエンボス以外の表面加工が関係している模様。
耐久性
尖端が欠けてしまったマーナ。これは2年ちょっと使ったもの。マーナは先端が薄いので耐久性はあまり良くない模様。
まとめ
以上まとめると以下のようになる。
表1 しゃもじの比較
TIGER付属品 | マーナ K386W | 山崎実業 アクア 2892 | |
縦置き | × | 〇 | 〇 |
横置き | × | × | 〇 |
握りやすさ | △ | 〇 | 〇 |
こびりつき・手入れ | × | ◎ | 〇 |
救いやすさ(内窯フィット) | 〇 | 〇 | △ |
耐久性 | ◎ | △(2年くらい) | 〇(予想) |
値段 | (付属品) | 300円前後 | 400円前後 |
しゃもじで重要なことに、「立てて置けること」と、「こびりつきが少ない」ことがある。するとマーナかアクアかという話になるが、値段からして使い捨てにできる商品。他の要素を比較して、好きな方を買えばよいだろう。
立つしゃもじは他にもある。錘を入れたものは持った感じが重く、フラフラ安定しないものが多い。握りが太すぎて使い勝手があまり良くない印象だった。
尖端のカーブやエンボス加工には改善の余地がある。ここを最適化して究極のしゃもじを作れる可能性があるが、値段からして使い捨て消耗品。現状でも性能十分であり、これを追求する価値はないかもしれない。
その他、無塗装の竹しゃもじは調理にとても便利。熱に強く、きわめて耐久性が高いお勧めのアイテムだ。
<参考購入先>
山崎実業 アクア ホワイト 2892
マーナ ホワイト K386W。
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