間違いだらけの洗濯機選び~斜めドラムは買ってはいけない

 最近の洗濯機は効果の疑問な仕組みや機能が多い。メーカの姿勢も一貫しておらず、モデルチェンジの度に新しい仕組みを考え、消費者受けする特徴を出すことに必死な様子だ。

 そんな新しい方式に魅力を感じて購入した人が「汚れが落ちない」「振動が大きい」「洗濯物がシワだらけ」などの問題で悩むことがあるようだ。

 

 うちにある洗濯機はもう5年以上前に購入したナショナルのNA-F700P(110,000円)。当時遠心力洗いを特徴としていた商品で、「衣類が傷まない」という特徴が私の琴線に引っかかって購入した。

 確かに衣類にはやさしく、何度洗濯しても痛む様子はない。この点は大いに満足だったが、汚れ落ちが悪く、洗剤が溶けずに塊が残るなど、妻の評価は悪かった。

 ちなみに、遠心力洗いは「おうちクリーニング」という名前に変わって現在のパナソニック製洗濯機に搭載されている。

 

katarog1 katarog2

ナショナル洗濯機のカタログ(’98/8-9)。この時代から横置きのドラム式洗濯乾燥機(NA-SK600)もあり値段は24万円。洗濯機と乾燥機を別々に買ってもお釣りがくるほど高額だった。

 

洗濯機を選ぶためのポイントは以下の通り。

1.たっぷりの水で洗う仕組みであること

 最近のカタログをみると、「少ない水で洗える」ことを特徴にしている物が多い。たっぷりの水を使って洗濯物を泳がせた方が、汚れ落ちがよく、衣類も傷みにくいことは、誰でも想像つくことと思う。

 縦型の洗濯機で水が少なくて済むことを特徴にしている商品は、選定の対象にならない。少々節水できても、大切な衣類が傷んでしまうのでは何にもならない。少量の水で高濃度洗浄するというものも同様。

 

2.たっぷり時間をかけて洗う仕組みであること

 洗濯すればするほど、衣類は痛む。ところが、これを気にする人は少ないようだ。
 洗濯物が痛むのは、パルセーター(回る部分)や外壁に対する接触や、洗濯物同士のこすれが原因。これを防ぐには、1で挙げた「たっぷりの水で洗うこと」のほか、強すぎない攪拌力で時間をかけて洗うことがポイントとなる。

 一般に、洗濯時間が短いと称する商品ほど衣類が傷みやすい。それは、短い時間で済ませるために強い攪拌力を与えるからだ。洗濯時間が長いものは、それだけやさしく洗っていると考えていい。

 例えば、上述したナショナルの遠心力洗いモードでは通常のかくはんモードに比べ、約10分余計に時間がかかっていた。

 

3.洗濯槽が大きいこと

 洗濯機の洗濯槽は大きい物ほどよく、大は小を兼ねる。2~3人家族だと7kgがちょうど良いとされるが、カーペットや毛布を洗う場合、7kgでは小さい。縦型の場合は人数に関係なく出来る限り槽が大きなものをお勧めする。

 同じkg容量でも槽の寸法はメーカーによりマチマチなので、メジャーで実寸を計る必要がある。

 横型の場合は、メーカー公称容量を半分にすると実態に合う。横型では体積よりドラムの直径が重要になるから、直径が1cmでも大きいものを選ぶことがポイント。

 

4.斜めドラム式でないこと

 斜めドラムとは、ドラムを縦でも横でもない、角度が付いて見える商品全般をいう。ドラムを斜めにすると、振動が大きく汚れも落ちにくい。それは、「斜めドラム」という方式そのものに問題があるからだ。

 ドラム式洗濯機が汚れを落とすしくみは、洗濯物を重力落下させて「たたき洗い」することだと言う。この作用を効果的に得るには、ドラムは「横型」で、ドラムの直径を大きくして落下距離をできるだけ大きくとる必要がある。

 ドラムが斜めでは、その効果が半減してしまう。家庭用の小さな斜めドラムに洗濯物を詰め込めば、「ドラムと一緒に回るだけで汚れが落ちない」ことになる。

 結局、洗濯漕の向きは、縦型と横型しかない。縦型は脱水(高速回転)が得意で、乾燥は困難(乾かすことは可能だが、まともな仕上がりは期待できない)、横型は乾燥に向き、脱水が難しいというようにお互い両立しない。

 ドラムを斜めにすると、乾燥、脱水のいずれも成立しない。唯一のメリットは「車いすを使う人や背の低い子供が、洗濯物を取り出しやすい」ことだけ。

 コインランドリーに置かれる業務用はすべて横型なのは、横型でなければ洗いと乾燥が両立できない為だ。最初縦形で洗い、脱水が終わったら、洗濯槽(もしくは本体)が自動的に90度回転して横形に変身し、乾燥に入る仕組みが作れればベストかもしれない(PAT.Pend)。

 

※:縦型の場合は、危険速度を超えてしまえば少々アンバランスがあってもコマと同じ理屈(ジャイロモーメントの作用で起きあがろうとする)で安定化する。だから、出来るだけ低い回転数で危険速度を通過するよう、フワフワの支持になっている。

 しかし、縦以外ではこの考えは通用しない。危険速度を超えたあともアンバランスのせいで回転数に比例して振動が増えてしまう。斜めドラムで脱水に時間がかかるのは、アンバランスによる振動が邪魔をして回転数が上げられない為だ。

 斜めドラムをうまく回すためには、バネ&ダンパーで支持するのではなく、支持剛性を高めて危険速度を1000rpm以上にあげなければならない。これは横置きでも同じだ。

 コインランドリーにある横型ドラムは、ドラムを剛体支持し危険速度を十分高くしたうえで、アンバランスによる振動を本体の質量または床の固定で押さえ込む設計になっている。

 日本製の横型ドラムは縦型を設計してきた考えが抜けきれないのか、柔軟支持して振動をダンパーで押さえようとするから、うまくいかないのだと推察する。

 

5.糸くずがきちんと取れる構造であること

  袋状の糸くずネットの口が洗濯槽の内側にぴったり付いていて、逆流せず、溜まり具合が外から見てわかる構造のものがよい。最近の洗濯機はこの部分がコストダウンされていい加減な作りになっている物が多い。

 

6.乾燥はオマケと割り切る

 「乾燥付きの洗濯機を買えば干す手間が省ける」と思う人が多いようだ。洗濯乾燥をきちんと成立させるには、斜めでない「横型」ドラム式で、排気が屋外に排出される形でなければならない。

 斜めドラムや縦型で乾燥機を兼ねるのは、かなりムリがある。乾燥するとシワだらけになり、衣類が傷みやすい。

 洗濯物の乾燥は屋外に干して太陽光など自然エネルギーを利用するのがベストで、それが出来ない場合は横型ドラム式の乾燥専用機が良い。干せば乾く物を、わざわざ電気を使って乾燥させるのは非経済だ。

 

7.洗濯槽のカビ取り機能はオマケ

 最近では洗濯槽のカビが問題視され、その防止機能を付けている商品も多いが、これでカビが完全に防げるものではない。洗濯槽がカビてしまうは、結局不適切な洗剤の使用(合成洗剤ではなく、粉石けんを使うといったこだわり)や、湿気がこもることが原因。

 洗濯時に時々ハイター混ぜて除菌し、洗濯が終わったら湿気がこもらないようフタを解放しておく。これで、かなりのカビを予防できる。

 

最後に

 本当に優れた洗濯機は、洗濯にこだわるユーザーの要求に柔軟に対応できるもの。しかし現実は、差別化のために設けられた余計な付帯機能ばかり目につき、融通の利かない商品が多い。

 石けんを使いたいとか、液体石けんと炭酸ソーダを併用したいとか、ハイターで除菌をしたいとか、洗濯をちょっと工夫しようと思っても、それができる仕組みが備わっていない。

(2017/9/8追記) IoTでセンシングとモニタリングを行いつつ、洗濯工程をPCでカスタマイズできる洗濯機。これがこれから望まれる洗濯機だ。

 

<参考購入先>
縦形大容量洗濯機一覧 洗濯機は縦型大容量&温風乾燥機能なしがお勧めです
洗濯機置台 44~69cm キャスター付きの洗濯機台。重量物の洗濯機が楽に動かせて非常に便利。透明防錆コートをしておくと末永く綺麗な状態を保つことが出来ます。

<関連記事>
洗濯機