洗濯機の選び方~あなたの知らない斜めドラム式洗濯機のデメリット・欠点

 「少し値ははるが、ドラム式を買えば乾燥までできて家事が大幅に楽になる」大抵そんな期待を抱いてドラム式を買う。しかし実際使ってみると、期待は裏切られる。ドラム式を買った人からこんな声が聞かれる。

 「汚れが落ちない」「振動が大きい」「乾燥がシワだらけ」

「今まで使ってきた縦型は何も問題なかったのに、なぜ!?」「これなら自分で干した方がマシ」

 この問題は、ななめドラムに限らず、ドラムが縦でも横でもない、角度が付いて見えるすべての商品に共通する。

 コインランドリーに設置されている洗濯機はドラム式だが、こちらはちゃんと機能する。なぜコインランドリーは問題なくて、家庭用はダメなのか。

 今回は、この原因をご紹介するとともに、このような問題が起こらない洗濯機の選び方をまとめてみた。

 

ななめドラムの問題1~汚れ落ちが悪いのはなぜか

 ドラムに角度がついているため。

 ドラムに角度がついていると、その斜面に沿って洗濯物が奥に集まり、そこで回るだけになる。

 元々ドラム式洗濯機が汚れを落とすしくみは、洗濯物を重力落下させて「たたき洗い」することだと言う。この作用を効果的に得るには、ドラムを横置きにして、直径を出来るだけ大きくとる(落下距離を大きくとる)必要がある。

 ドラムに少しでも角度がつくと、この作用が働かない。

 家庭用のドラムはななめに角度がついていて、さらに直径が小さい。そんなところへ洗濯物を詰め込めば、ドラムと一緒に回るだけで汚れが落ちないのは当たり前。

 ななめドラムでも、洗濯物が少なければそこそこ機能する。ネット上にはいろんなレビューやテスト記事があるが、いずれも少量の衣類に汚れを付けて洗い比べるというもの。このような条件ではうまく機能して当然。参考にならないので注意したい。

 

ななめドラムの問題2~振動が大きい(脱水に時間がかかる)のはなぜか

 ドラムを剛体支持せず、バネ&ダンパーで弾性支持しているため。

  回転物はその物体に固有の「危険速度」を持つため、その速度で回るとき振動が極端に大きくなる。

 縦型にも危険速度があるが問題にならない。なぜなら「ジャイロモーメント」という回転が安定化する力が働くため。これによって、たいへん高速に回ることができる

 回転軸を横向きにしたドラム式ではこの安定化する力が働かないので、危険速度を超えても振動が収まらない。

※:縦型の場合、コマと同じ理屈(ジャイロモーメントの作用で起きあがろうとする)が働くため、バランスが悪くても安定に高速回転できる。

 コインランドリーのドラム式は、回転軸を剛体支持してこの危険速度を十分高くとり、危険速度を乗り越えずに運転する形になっている。

 この場合、危険速度通過に伴う振動が発生しない。機会があればコインランドリーのドラムを触ってみて欲しい。びくともしないはず。

 家庭用のドラム式は、すべて弾性支持して危険速度を乗り越えようとする。だから、回転があげられず、脱水に時間がかかり、振動が問題になってしまう。

 「家庭用もコインランドリーのように剛体支持したらよいのでは?」

 それはできない。この場合、洗濯機本体を床(コンクリート基礎)にアンカーボルトで固定しなければならないから、家庭用では成り立たない。すなわち、ドラム式の振動は、本質的に改善不能な課題である。

 

ななめドラムの問題3~乾燥がシワだらけになるのはなぜか

 問題1と同じ(ドラムに角度がついているため)。

 洗濯が終わった時点で洗濯物がドラムの奥に集まった状態になるから、回しても洗濯物がほぐれない。

 そんな状態で乾燥させれば、シワだらけになるのは当然のこと。縦型ではこれが顕著になり、まともな乾燥品質を期待できない。

 

ななめドラムの結論

 まとめると、次のようになる。

表.洗濯機の機能適合

  洗濯 脱水 乾燥 備考
縦型 ×  乾燥は成り立たない
横ドラム(コインランドリー) 大径ドラム&床に固定
横ドラム(家庭用) 市販品なし
ななめドラム ×~△ ×~△ 角度がつくほど×に近づく

 

 ななめドラムは洗濯機の機能を十分満たしているとは言い難い。唯一のメリットは「車いすを使う人や背の低い子供が、洗濯物を取り出しやすい」ことだけ。横ドラム(家庭用)なら成立するが、そいういう商品はない。

 コインランドリーがすべて横ドラムなのは、横にしないと乾燥が成り立たない為。

 どーしてもドラム式がいいという人は、できるだけドラムの設置角度が水平に近くて、直径が大きく、本体が重いものを選ぶのが正解

 ※:2018年 近年のドラム式はこの方向で改良が進み、トラブルの報告が以前より減ってきたようです。

 

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ちゃんと働く!洗濯機選びのポイント

 

1.ななめドラムでないこと

 ななめドラムというのはパナソニックの呼称だが、洗濯槽が縦でも横でもない、角度が付いて見える商品はすべてななめドラムとみなせる。

 横ドラムなら候補になが、そういう商品が市販されていない。

 現状は「縦型」に限る。

 

2.たっぷりの水で洗う仕組みであること

 「少ない水で洗える」ことを特徴にした商品は避ける。

 少ない水で洗うと衣類が痛む。少々節水できても、大切な衣類が傷んでしまっては何もならない。少量の水で高濃度洗浄するという商品も同じ。

 たっぷりの水を使って洗濯物を泳がせた方が、汚れ落ちがよく、衣類も傷みにくいことは容易に想像つく。

 

3.時間を十分かけて洗う仕組みであること

 「洗濯時間が短い」と称する商品は、短い時間で済ませるため攪拌力を強くしている。当然、衣類が傷みやすい。

 そうでなくても、洗濯すれば少なからず衣類は痛む。原因は、パルセーター(回る部分)との接触、ドラム外壁との接触、洗濯物同士のこすれ。

 衣類の痛みを防ぐには、このような接触やこすれを弱くする、すわなち弱い攪拌力でやさしく洗う仕組みになっていることが大切。この場合、時間がかかるのはやむを得ない。

 

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 ナショナル洗濯機のカタログ(’98/8-9)。遠心力で洗うことで「衣類が傷まない」メリットを前面に打ち出した商品。我が家では、その遠心力洗いできるNA-F700Pを購入。

 確かに衣類にはやさしかった。しかし洗濯時間が長い割に汚れ落ちが悪く、洗剤が溶け切らず塊が衣類に付着するなどの問題がみられた。遠心力だけではうまく機能しない。ある程度の攪拌が必要のようだ。

 ちなみに、遠心力洗いは「おうちクリーニング」という名前に変わって現在のパナソニック製洗濯機に搭載されている。

 

4.洗濯槽が大きいこと

 洗濯槽は大は小を兼ねるので大きいほどよい。

 洗濯機の容量はkgで表されている。いろんなサイズがあるが、家族の人数に関係なく出来る限り大きなものをお勧めする。カーペットや毛布を洗える最低容量は8kg。

 洗濯槽の入り口直径は大きいほど良い。同じkg容量でも槽の寸法はメーカーによって違う。メジャーを持参して実寸を計ることをお勧めする。

 

5.温風乾燥機能が付いていないこと

 縦型の乾燥は上で紹介したようにまともに機能しない。付けるとデメリットしかない。

 すなわち洗濯層の入り口が狭くなり、余計な中蓋が増えて使い勝手が悪くなり、故障も増える。

 洗濯物が屋外に干せない場合は、室内干しにするか、横ドラム式の乾燥機の導入を検討してほしい。

 

6.糸くずがきちんと取れる構造であること

  ここがうまく機能しないと、黒物を洗ったとき糸くずが目立つ結果になる。

 取り外してみてメッシュ部の細かさ、逆流防止の構造、掃除のしやすさなどをよくチェックする。

パナソニック NA-FA100H2の糸くずフィルタ。洗濯の品質上、とても重要な部品。

 本品はメッシュ部の面積が大きく、逆流防止のゴム弁も付いている。掃除も簡単。よくできている。

 

 

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結論~ごく普通の縦型大容量で決まり!

 結局洗濯機は以下の条件を満たすものを買えばよい。

(1)縦型
(2)大容量で入り口が大きいもの
 最低8kg以上。できれば10kg。
(3)温風の乾燥機能が付いていないこと(縦型の乾燥は機能しません。故障が増えるだけ)
(4)液体漂白剤が使いやすいこと(出来れば)

 縦型で乾燥は機能しない。縦で洗濯&脱水したあとドラム90度自動回転、横になって乾燥を始める「変形洗濯機」でもできれば話は別だが。(PAT Pend.)

 パナソニック NA-FA100H2 (2016年)。10kg縦型。上記すべての条件を満たす。

 写真は洗剤を入れるトレイを開けたところ。漂白剤を入れる場所があり、薬焼けしやすい液体ハイターも安心して使うことが出来る。

 邪魔くさい中蓋もない為、洗濯物の出し入れが簡単。

 本機の型番の末尾が毎年変わる。中身はほとんど同じなので、形落ちがお買い得。

 

 

運用のヒント

 最近の洗濯機は風呂水ポンプが付いていて残り湯が利用できるものが多い。しかし残り湯は雑菌だらけで風呂水ポンプやホースがカビや水垢だらけになってしまう。

DSC03424-1 浴槽の残り湯にハイター(塩素系)を20~40ml入れ、それをポンプで吸い上げて洗濯に使うと浴槽から洗濯槽までの経路がいつも綺麗になる[1]

 写真はそのようにして運用した結果。水垢やカビなどとは無縁。緑のメッシュフィルタは消耗品。台所用のステンレスたわしに交換すると長持ちする。

 

 酸素系漂白剤はホースの材質を溶かす。必ず塩素系を使うこと。

 ハイターを入れない場合は家族全員のお風呂が済んだらすぐに洗濯機を回して吸水に使ってしまうのがよい。

 

(2018/5 追記)ホースを巻くとき水が垂れる場合はこうする

 風呂の栓を抜いて残り湯を捨てたのち、ホース全長の真ん中付近を腰の付近まで持ち上げる。すると腰から先の水が抜ける。そのまま持ち上げて洗濯槽に放り込むといい。一々巻いて掛けるよりずっと簡単で水も垂れない。

 

 蓋を開放して水を抜いたホースの先を洗濯機に放り込んでおけばOK。

 洗濯槽をいつも乾燥させておくことが、清潔に使うためのポイント。

 

 

 

最後に

 白物家電の勢力図は2010年代からずいぶん変わった。以前はナショナル、日立、東芝、三菱、シャープ、サンヨーが候補だったが、不祥事や経営の失敗などにより、2018年の選択肢はパナソニック、日立、東芝だけになった。

 日立は過去の失敗に懲りたのか、昔と180度反対の商品を作っている。“少ない水と高濃度洗剤でたたき洗いする”と称して出した「ビートウォシュ」の結果は散々だったようだ。

 ビートウォシュやドラム式は、洗濯物が少なければ確かに機能する。しかし主婦は容量など考えず、洗いたいものを放り込むだけ。そんな蛮用に耐える洗濯機はシンプルな縦型大容量しかない。パナソニックのNA-FA100シリーズは今後もお勧めの機種だ。

 本当に優れた洗濯機は、洗濯にこだわるユーザーの要求に柔軟に対応できるものではないか。IoTでモニタリングを行い、洗濯工程をPCでカスタマイズできる洗濯機。洗濯機の次の進化は、ここにあると考えている。

 

 <参考購入先>
縦形大容量洗濯機一覧
縦型&大容量&乾燥(温風)なしが洗濯機選びのポイントです

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