知られざるデルガードの秘密~折れないシャープペンの選び方

 近年新しい付加価値を持つシャープペンシルが開発されている。人気の「クルトガ」「デルガード」「オ・レーヌ」について徹底レビューする。そして、ビジネスシーンで使える商品をセレクトした。

 

落とすと芯が折れる

 かつて、シャープペンシルは高級文具だった。ほぼ全ての部品が金属で出来ていて、買うとネームを彫り込んでくれた。

 机に置いたペンが床に落ちたとき、ほとんどの場合芯が折れた。ノックしても出てこない。こうなると分解して消しゴムの後ろについた針金で掃除するしかなかった。

 机から落とすとペン先のパイプが曲がることがあった。こうなるとオシマイ。私はこれで何本失ったかわからない。買ったばかりのペンを失ったこともあった。

 

使い捨てで十分

「高価なペンを買っても落として終わり」
「シャープペンシルは安い消耗品で十分」

 私は買ったばかりのペンを失って以来、長い間そう考えてきた。

 現代のシャープペンシルはほとんどがプラスチックで出来ている。耐久性が低く、最初に入っている数本の芯を使い切ったらポイの使い捨て消耗品になっている。

 

クルトガの落とし穴

 芯が自動的に尖るという能書きを見て、最初「画期的」と思ったが違った。

 それは、ペン先をこまめに押して離す使い方をしないと尖らないことだった。連続した細い線など当然書けない。それに、先が尖っても細い線で字が書けるわけではなかった。一番残念だったのはクリップの強度が足りない点で、ポケットに差す使い方をすると簡単に折れた。

 普通、書いていて字が太ってきたらグリップを持ち変える(少し回転させる)ことを無意識にやる。結局この商品は、これを無意識にもやらなくて済む、それだけのものだった。

 

「芯が折れない」付加価値

 最近、芯が「折れない」ことを特徴にした商品が登場した。芯が尖ることより、折れない方が消費者にとってメリットが大きい。芯が折れるパターンは2種類ある。一つは高すぎる筆圧、もう一つは落下による衝撃だ

 折れない系シャープの一つ、「デルガード」を買ってみた。この機構はとても良く考えられている。筆圧によって折れる課題を完全に克服している。しかし落下に対する衝撃耐性はなく、落とすと中で折れてしまううえ、分解掃除も容易でない。しかし幸いなことに、しつこくノックすれば折れた芯を排出できる。

 落下衝撃耐性を重視した商品に、「オ・レーヌ」がある。なにやらコーヒー飲料を連想させる。もう少し違う名前は無かったのだろうか。

※:ペン先の剛性が足りない商品では、筆圧をかけると先端ではなく中で折れてしまう場合がある。

 

ビジネスで使える折れないシャープペンシル

オ・レーヌ、クルトガハイグレード、デルガードを並べてみたところ ビジネスシーンにも合う落ち着いたデザインのものを集めてみた。上からオ・レーヌの高級版MOL-1000#1クルトガハイグレードデルガード黒。

 オ・レーヌの丈夫な金属製クリップと耐衝撃に優れた特性はモバイルで求められる堅牢性を満足する。グリップがゴム製なのでベタベタする点が残念。

 

 クルトガはアルミ製グリップが特徴。細い先端部が収納できないのが気になるが、ペン先が剛体支持でないため、昔のように落としたら一発でパーということにはならない。

 

オ・レーヌ、クルトガハイグレード、デルガードのノックボタン ノック・フィール(ノックの感触)はオ・レーヌが一番良い。一番ダメなのがデルガード。ノックしづらい原因は、キャップの出っ張りが長すぎる点にあるようだ。中の消しゴムとツラツラでよいはず。もう2mm短くしたら良かった。

 オ・レーヌに最初から入っている芯は他社に比べやわらかい。そのためレビューでは書きやすいと評されることが多いようだ。

 

 

特徴的なデルガードのグリップ

 デルガードのグリップには特徴がある。透明なのでわかりにくいが、良く見ると指が当たる部分にR形状の凹みが3つ並んでいる。最大深さ0.2mm、幅はペン先の方から、5mm、3mm、2mmだ。これらが不思議と指にフィットする

 一般に、手に触れる道具は指(正確には骨)が当たる部分がくぼんでいると持ちやすく滑らない。このホールドはゴム素材を使ったグリップで実現できるが、指が当たる場所は決まっている。ならばそこを最初から凹ませておけば、劣化するゴムを使わなくても済む。

※:クルトガにも似たような凹みが付いているが、同じサイズの凹みが等間隔に並んでいるだけなので、単なる滑り止めと見られる。

 

 デルガードは一番下の凹みに人差し指の腹と、中指の側面が当たって滑らない。そのためかなり力を入れて書くことが出来る。グリップは太くも細くもない10mm。この絶妙の設計が非常に書きやすい効果を生んでいる。この形状は強い筆圧をかけてテストを繰り返す過程で出来たのだろう。

 

折れない商品の比較結果

総合評価表

種類 筆圧による折れにくさ 衝撃による折れにくさ 持ちやすさ 書きやすさ クリップの耐久性
(ポケットへの挿し易さ)
オ・レーヌ

◎ (◎)
 樹脂製スプリング入り

オ・レーヌ高級版 ◎ (△)
クルトガ × (△)
クルトガ ハイグレード ◎ (○)
デルガード ◎(最強) △(少しグニグニする) ○ (◎)
デルガードLx ◎(最強) △(少しグニグニする) ◎ (△)

デルガードのパッケージ裏側 デルガードの2番目にダメな点がパッケージ。大きくPUSHと書いてある。ここを先に押してしまうとシールが剥がせなくなって開封に苦労することがある。よく見ると、下の方に小さい文字で、シールをはがしてからPUSHせよと書いてある。この手順は良く見ないとわからない。

 

 

デルガードの高級版(2017/3/11)

いろいろなデルガード

 デルガードの高級版が2016/1に登場した。上からLx0.5限定カラー(シルバー)、Lx0.5限定カラー(ブラック)、Lx0.5ブラック、クリップが折れたノーマルのホワイト。

 Lxは本体が金属製になり、ビジネスシーンでも通用する高級感を獲得した。キャップの頭は平坦になりノックしやすくなった。

 

 ダメな点もある。クリップがせっかく金属になったのに、バネが強すぎる。固くてポケットに刺しにくく、取り出そうとするとキャップが先に外れてしまう。

デルガードのグリップに付いているくぼみを比較したところ デルガードの高級版ではグリップに設けられた3つの凹みが指一本分後退した。ノーマルと同じ調子で持つと人差し指がテーパー部分にかかって持ちにくい。

 高級Lxは根元を持ってゴリゴリ書く、というより先端を長めに持ってスマートにサラサラ書く、そんな使い方を意図したのかもしれない。

 

 

<参考購入先>
デルガード 筆圧による折れを克服したシャープ
オ・レーヌ シールド 衝撃に強いシャープ
オレンズ 細く小さい文字をこしょこしょ書く人にはこれ。細い芯が要る所がネック
クルトガ

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