TG-4をオリンパスBH-2と組み合わせてコリメート撮影してみた。撮影対象物はタマミジンコ(Moina)。サイズの大きなプランクトンで、動きが速く観察が難しい対象だ。
TG-4をコリメート撮影に使う
TG-4は光学系や構造がコリメート撮影に適した形になっている。機能面ではプリセットWB、フォーカスロック、RAW記録などが有用。
制約を受ける点に、露出固定ができない、動画撮影時はフォーカスロックできないことがある。
撮影準備
カメラのセッティング
コリメート撮影では光学系の芯合わせとカメラの保持が問題になる。TG-4には純正アダプター(CLA-T01)とプロテクトフィルター(ケンコー)を装着しておくと、3眼鏡筒に接眼レンズを嵌めた所へポン乗せするだけで撮影可能になる。
フィルターの内側段差と接眼レンズ外径が一致するため、光学系の芯合わせが不要。手を離しても落ちないが、写真のようにステップダウンリング 40.5-37を追加することで接眼レンズの外周で保持されてより安定する。
写真右に見える真鍮製のリングはアイポイント微調用のスペーサー(Cマウントリング)。接眼レンズ(WHK 10X/20L)の場合、ポン乗せだとアイポイントが2mm近い。そのままでも大きな支障はないが、何かを挟んで2mm離すとアイポイントが完全に合い全視野でほぼ均一な明るさの画像が得られる。
左は2mmのスペーサーを挟んだ結果。TG-4広角端(WHK 10X/20L + SPlan 4X)。右はカメラをズームしてケラレをなくした結果。
カメラのシャッターはスマホから操作できる。写真左はOI.Shareでスマホとリモート接続し、スマホからシャッターが切れる形にした様子。
TG-4の電源はUSBから給電できる。説明書では本体充電中は撮影できないことになっているが、実際は充電しながら撮影できる。
2020/1/12追記:TG-6では充電撮影できません。
暗視野照明の方法
ミジンコは暗視野照明にするとよく見える。BH-2ではφ24-60 (照明フィルターなしの場合はφ24-64) の適当な物体(暗視野冶具)を照明の上に置くだけで実現する。φ24で接眼レンズ(WHK 10X/20L)の視野がちょうど隠れる。
写真は暗視野照明のための道具。キャップを取ったメンソレ薬用リップがちょうどこのサイズ。少しゲタ上げすれば単三電池も使える。右はセットした様子。芯出しはメンソレを指で前後左右に動かすだけ。
コンデンサーは一番上にあげて絞り解放にしておく。暗視野冶具の高さを60としたがコンデンサーのレンズに衝突しなければよい。低すぎると暗視野のエッジがボヤける。
プレパラートの準備
ミジンコのサイズは約1mm。スライドガラス+カバーガラスでは潰れてしまうので、不乾性パテ(ネオシールB-3)で土手をつくりミニ水槽を作る。ガムメディアを滴下して動きを鈍らせて観察する。
撮影結果
左:1/100,F13,ISO100 右:1/100,F13,ISO200。掲載写真はすべてカメラ手持ちシャッター。
BH-2の光源は100Wハロゲンだが照度が高すぎて露出オーバー、絞ると色温度が下がりすぎるので、50Wハロゲン球を使った。絞り優先で最大限絞って撮影したが、被写界深度には関係せず意味なかった。
左:体内に赤いものが見える個体(1/100,F13,ISO200) 右:1/125,F13,ISO100
左:子供をいっぱい抱えたMoinaの成虫(1/100,F3.6,ISO200) 右:若い固体(1/125,F14,ISO200)。照度をかなり絞って撮影。子供を抱えたMoinaを上から見ると写真のように玉のように見えることから、通称「タマミジンコ」と呼ばれる。
左:耐久卵を持つ個体(1/2000,F5,ISO100) 右:耐久卵(1/200,F3.5,ISO100)。左は明視野照明で卵が透過するように撮ったもの。サヤの中に卵が2個あるものと、1個のものがある(写真右)。
ミジンコは脱皮の際、一匹あたり2枚のサヤを産み落とす。小さい個体は1枚のサヤに卵1個だけだが、成長に応じて4個まで増える。片側だけ1個で計3個という場合もある。
左:普通のタマゴを持つ個体(動画のイメージキャプチャ)。右:抜け殻(1/80,F14,ISO200)。ミジンコは脱皮しながら成長する。
<参考購入先>
オリンパス タフ TGシリーズはコリメート撮影にお勧めのカメラです
オリンパス コンバーターアダプターCLA-T01
ケンコー プロテクトフィルター40.5
ステップダウンリング 40.5-37
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