正確に測れる体温計の選び方~15秒で測った体温は正しいのか?

コロナの影響で体温の測定が義務付けられ、0.1℃の違いが生活に影響するようになってきた。最近では15秒で測れる商品もがあるが、これで正確な温度が測れるのだろうか。そこで今回は、正確に測れる体温計の選び方をご紹介する。

 

 体温計は大きく分けて「実測式」と「予測式」がある。

 下の写真は左から水銀体温計、オムロンMC-876、オムロンMC-675。左の2本は「実測式」、右は「予測式」である。測定時間は、水銀10分以上、MC-876は3~6分。予測式のMC-675は1分で結果が出る。

いろいろな体温計

 

水銀体温計の特徴

 下のグラフは脇に体温計を入れた時の温度を模擬したもの。基本的にこんな感じであがっていく。水銀体温計はこれを素直に測る。温度が一定になるのに10分くらいかかる(人によって違う)。時間がかかるが正確な結果が出る。

体温の温度上昇曲線

図1.体温の温度上昇曲線

 

 

電子式(実測式)の仕組み

 下のグラフは実測式体温計MC-675の仕組み。温度変化を見ていて、だいたい一定になった時点でブザーで知らせてくれる。水銀式のようにいつも10分待つ必要がない。取説によると、普通3~6分で鳴るとある。正確にみたければ、ブザーを無視してそのまま10分脇に入れたままにすればよい。

体温の温度上昇予測

図1.実測式の温度上昇曲線

 このタイプはブザーが鳴るまでしっかり、脇を締めてじっとしている必要がある。動くなどして温度が安定しないと、なかなかブザーが鳴らない。温度計の先端が脇から離れると、温度が安定したと勘違いして早めにブザーが鳴ってしまい「そんなわけないだろ」という結果が出てしまう。

 

早く測れる体温計(予測式)の仕組み

 下のグラフは早く測れる体温計MC-675の仕組み。1分の結果から10分後の温度を予測する。最近は15秒で測れる商品もあるが、どう見てもちょっと無理がある。とはいえ「いつまで待たすの!」「何分も脇を締めてらんないワ!!」という人にとって親切な商品。

体温の温度上昇予測

図1.予測式の温度上昇曲線

 予測式には念のため「実験検温」の機能がついている。正確に測りたいときは、そのまま10分「脇に入れたまま」にすればよい。

 写真は自分の体温を同時に測った結果。上は予測式で36.4℃、下の実測式は36.0℃。どっちが正しいのか。

予測式と実測式の結果の違い

予測式はブザーが鳴っても脇に入れたままにしていると実測検温に移行し、10分後に再びブザーが鳴る。下はそれをやってみた結果。

実測検温の結果

 結局36.0が正しかった。その後何度か測ってみたところ、実測式とほぼ合う場合もあれば、合わない場合がある。出てきた数字を鵜呑みにできない。

 予測式の結果はあくまで「予測」であり、手っ取り早く「だいたいの温度」を知りたいときに使うもの。この数字を見て微熱や低体温症を気にしても意味ないし、0.1℃の違いが明暗を分けるコロナ対策に使うには問題がある。

 

<補足>
実験検温をやるなら、データを記憶して内部予測のアルゴリズム(予測カーブなど)補正していくことで誤差を小さくできるはず。個人別に最適な予測カーブを作ることも可能。まだそこまでの機能を備えた商品はないが、そのうち登場するだろう(2020/6/2)。

 

お勧めの体温計

 最も短時間で精度よく測れる体温計は「実測式」。現行商品だと、MC-170,171WMC-172Lなどがある。

 予測式は誤差が大きく、自分の場合は0.4℃くらい普通に違ってくる。10分時間をかければ正確な値を得るが、それをやるなら温度変化が無くなった時点でブザーを鳴らす実測式の方が便利だ。

 正確な温度を知るには、時間をかけて測る必要があることを知っておきたい。アマゾンなどでレビューを見ると酷評してる人を見かけるが、そのほとんどは、ちゃんと測れていない(自分の測り方が悪い)場合が多いようだ。

 

水銀切れの直し方(参考)

 水銀温度計は古くなったり、寝かして保管すると液切れすることがある。直し方は、数センチの高さから本などの上に垂直に落とすことを繰り返す[1]。これで繋がらない場合はガスなどの気体が溜まっている。こうなると寿命。

水銀温度計の液切れ

 写真の液切れはアレコレやってみたが修復できなかったので破棄。水銀式に限らず液体の入った温度計は立てて保管することが大切。

 

<参考購入先>
予測式 MC-687
実測式 MC-170 MC-171W  MC-172L 172Lは高精度な婦人用です
水銀式

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<参考文献>
1.水銀切れの直し方 日本計量器工業株式会社
オムロン体温計HP

注:本記事には新商品のアイデアが記載されています。無断商用利用はご遠慮願います。本記事の公開日以降に出願された特許はすべて無効です。