写真はマウスコンピューターのProブランドで売られているタブレットPC P116B-V2。ビジネスや教育現場のハードな使用に耐える堅牢性が売りになっている。今回、これを買ってみて気づいたメリット・デメリットをお伝えしたい。
スペック
Pentium® Silver N5000 (4core1.10G) / 4GB / eMMC64GB / Windows10Pro 64bit
11.6インチTFT(1366×768) / 重量1369g(実測) 税込67,980円
画面は11.6インチで1366×768だと画素ピッチ0.22。広く普及している21.5インチFullHDモニターは0.28だから表示される文字はちょっと小さめだが、このくらいなら老眼に対応する。パネル方式はメーカーの仕様に書いてないが、確認したところTFTである。
OSがProの64bit。家庭向けWindowsノートはHomeが多く、タブレットでは32bitなんてものもある。Proはビジネスで必須だが、個人でもリモートデスクトップが使えるメリットが大きい。
外装
堅牢を売りにした商品で、耐衝撃、防塵・防滴性能を備える。
本体は1369g、大きさの割に重いが、重量の多くは電池。ビジネス向けということもあって電池のもちはいい。1日の途中で充電が必要になって仕事が中断、なんてことになりにくい。
外装はプラ丸出しの無塗装。指紋などの汚れが目立つが、汚れや傷つきなど気にせずカバンに放り込んでガンガン使えそう。画面や外装がやたら綺麗だと、傷つきを気にしてケースに入れたくなるが、本品はそういう気遣いの必要を感じさせない見た目になっている。
端子類
ACアダプターの差し込みはUSB-CだがPD(USB Power Delivery=相手に合わせて適当に充電してくれる規格)に対応していない。ただし2021年1月出荷分以降から対応するようになった模様。
過充電を防ぐ仕組みが付いている。一度満充電になると、少し減るまで再充電を行わず、ACからの電源供給で動く(ACアダプターを挿し直しても充電ランプが付かない)。
外部端子はUSB×2。タブレットの多くは充電兼用USB端子が1口があるだけなので、充電とは別にUSBが一口あるのは有り難い。
マイク&イヤホンは4極のCTIA。普通のプラグインパワーマイクも、ステレオイヤホンも問題なく使える。
使い勝手
2in1タブレットPC、といっても画面とキーボードを背中合わせにできるだけで分離はできない。いままで使ってきたASUS T90chi[1]は分離可能だったが、バラバラになるとかえって面倒だった。入力も要るときはやはり一体形が便利である。
分離できるASUS T90chiのキーボードはBluetooth接続だった。この電波干渉でネットが安定しない問題があり、それがついに改善しなかった。こういうことは買ってみないとわからないもの。
本機のキーは程よいサイズになっていて実に打鍵しやすい。普段フルサイズを使っている人が触ってもほとんど違和感なく打鍵できるだろう。
電源ボタン一体のログイン指紋認証は動作不安定で、反応、正確さともに使えるレベルに無い。ここはPINが簡単確実である。
結構重いがアームスタンドに付けて使える。写真のアームスタンドはアマゾンで買ったもの。強力なスプリングが付属しており、これを使えば自重で落ちてこない。
音質
音は本体の手前縁の穴から出てくるが、音質は良くない。音量についても、イヤホン、スピーカー共に最大にしても充分とは言えない。折り曲げてテント形にすると音の出口が塞がるため、音量がさらに小さくなる。カフェなど騒音が多いところでお客さんを前にプレゼンするのはちょっと苦しいかもしれない。
下は左スピーカーの特性をマイクで測った結果。4kHzに共鳴のピークがあり、低音は500Hzから下が出ていない。高域は10kHzまでまあまあ出ている。音色は左右で大きく違っていて、右は7kHzくらいにピークがあって高域がハイ上がり。音楽を楽しむことなど考えられない特性。
幸いなことに、Readtek Audio Control(左下のメニューからアクセス)にイコライザーが付いているので、これを使って多少マシにできる。
品質とサポート
早速不具合が・・
届いてパネルを開いてみてびっくり。ボタンがズレてると思って触ったら取れていた。押し込んだら嵌ったので、はめ忘れなのか。
本品にはスタイラスペンが付属している。これを本体の穴に通そうと思ったら写真のように中のワイヤーが飛び出してしまった。んーこれってどうなんだろう。
サポートに連絡すると電話がつながらない。電話待ちの料金を顧客に負担させてひたすら待たせる[2]。
仕方ないのでメールで連絡。こちらは1日くらいで返事が返ってくるが、「お客が壊した」と疑って問題を認めない。写真を送ったらペンとキーボードが交換になった。買ったばかりなのに修理で1週間無くなることに。
修理後新たな不具合発覚
修理から戻ってきてカメラを使ってみると、左上と中央付近がボヤけていてQRコードが読み取れない。距離や角度、照明を工夫してもダメ。なんとなく写っているものが見える程度。
こういう部分ボケはレンズの不具合でしか起こりえない。正しい対応は交換修理だが、サポートに連絡したら「完全シャットダウン」「ドライバー更新」など、明らかに現象と関係ない無駄なチェックを長々とやらされたあげく交換対応になった。
ここのサポートは自分の頭で判断して正しいアクションができない。マニュアルで定められた作業を一通りやらせてからでないと、次に進まない[3]。
交換後またもや問題が
立て続けに不具合が続くので交換になった。新しいPCが届き、カメラが問題ないことを確認した。しかし別の問題が。
画面中央付近に白点が見える。最初ドット不良と思ったが、白点というところがおかしい。白の常時点灯は隣り合うRGB3ピクセルが同時に死なない限り起きない。
ルーペで拡大してみるとドット不良ではなくパネルに傷があって裏のバックライトが漏れていることが判明。このことをサポートに聞いてみると、品質に問題があるからもう一回交換するという。ちなみにドット抜けならどうなったか。同社HPによると5個以下は正常範囲という[3]。
国内生産だから品質がいい?
マウスコンピューターから商品を買った印象は、ハズレの入ったくじを引くようなもの。「マウスは国内生産」と宣伝しているが、品質はあまり良くない印象。
カメラ、キーボード、液晶の不具合から見るに、中身は中華の怪しい激安PCと変わらない印象。部品に不良が多く、その分検査をしっかりしないといけないのにザルになっている。国内生産というが、「国内組立」が適当ではないか。
とはいえ、このサイズのWin10Proマシンはなかなかない。品質さえ問題なければいい商品だけに、残念なことだ。
<参考購入先>
アームスタンド 強化スプリングが付いていて重い2in1PCの保持が可能です
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<参考文献>
MousePro P116Bシリーズ
マウスコンピューターの飯山工場を見学 すけこむブログ(リンク切れ)
4.ドット抜けの対応について