近年ネット通販でモノを買う機会が増えた。それと同時に問題も出てきた。一番の問題は、配達時間で拘束されたり、受取れないと再配達になってしまうことだ。
この問題を改善する手段の一つに「宅配ボックス」がある。今回、宅配ボックスを設置し、実際に運用してわかった意外な問題点をご紹介したい。
宅配の問題点
自宅に配達してもらう場合、宅配業者が来訪する時間帯は自宅待機しなければならない。午前中の場合は、午前中まるまる時間が拘束されてしまう。
待機していても受け取れないことがある。たまたまトイレやお風呂にはいっていたため、持ち帰ってしまった、というのは良くある話。待機していたのに結局来なくて、翌日に回されてしまったこともある。
宅配ボックスとは何か
荷物を入れる容器と、シャチハタなどの印鑑をセットにしたもの。最低この2つあれば、自分が居なくても荷物を置いていってくれる※。
その他、宅配ボックスの存在をわかりやすくするための案内や、盗難防止のワイヤー、南京錠を付けることがある。
※:2019/7アマゾンで「置き配指定」が始まりました。印鑑やサイン不要ですが、すべての配送業者が対応しているわけではないので、現状はまだ印鑑の設置が必要です。
コンビニ受け取りとどっちがいいか
受取先にコンビニを指定することが可能だが、サイズに制約があり、受取の手続きが少し面倒。自宅に荷物を置いて行ってくれる宅配ボックスのほうが便利だと思う。
コンビニ受け取りは、宅配ボックスを自宅に置けない人や、温度にデリケートな商品に対し有用とみられる。
宅配ボックスに求められるもの
1.できるだけ大きな荷物が入ること
アマゾンから配送される箱は大きい。そのため、宅配ボックスにもそれなりの容量が要る。小さな壁掛けボックスを設置してもあまり役に立たない。
2.防水
設置場所は直射日光や雨をできるだけ避けられるカーポートや軒の下がいい。
3.防犯
ワイヤーや南京錠を付けても、盗ろうと思えば盗れる。容易な「持ち去り」を防ぐのが目的。
宅配ボックスの実例
出来合いの宅配ボックスを探してもあまりいいものがない。多くが何かの容器に南京錠とワイヤーをセットしただけのもので、玄関先の美観を損ねたり、小さすぎて荷物が入らないものが多い。
近年、門柱に宅配ボックスを付けた機能門柱が登場し新築住宅に見られるようになったが、使い方がややこしいうえに小さな荷物しか入らず実用性に乏しい。ここは、宅配ボックスではなくベランダストッカーを流用するのがべストである。
自宅に設置した宅配ボックス。大きい方は大型のベランダボックスを利用した自作品、小さいほうは宅配ボックス商品で比較的大きいもの(ILC IT-620)。
取出しが楽にできるようコンクリートブロックの上に乗せ、中に重石を入れてある。さらに、盗難防止ワイヤーを2つのボックスに通して木に止めてある。
以下それぞれについて詳しく説明する。
1.ILC IT-620
宅配ボックスと称して売られているセット商品。盗難防止のワイヤーと印鑑ホルダー、南京錠、シールが付属する。容器の防水は問題ないが、シールは台紙が紙製のため水にあまり強くない。
内寸52×36.5×44。110サイズ以下の荷物が入り、アマゾンの段ボールサイズ表[1]の88%をカバーする。
印鑑はネーム9。印鑑ホルダーはおそらくヘラマンタイトンRA13。ネーム9にピッタリなホルダーなのでいくつか欲しいが、小売りが見当たらない。
重石は通常の半分の厚みのレンガ6個。ボックスが軽いので重石がないと風などで簡単に動いてしまう。
南京錠は外にブラさげておくのではなく、箱の底に入れておく。これは鍵自体の劣化、盗難、イタズラ施錠を防ぐ効果がある。
2.ベランダボックス(JEJ ラシェッド ベランダストッカー)を使った自作品
下半分の直方体の内寸は78.2×38.7×45。140サイズまでの荷物が入り、アマゾンの段ボールサイズ表[1]の97%をカバーする。対角の空間を使えば1mの長細い荷物(傘など)も入る。
この商品は大きくて使いやすいので、別にもう一台買ってゴミストッカーに使っている。
印鑑ホルダーは100均の入れ物を両面テープで貼り付け。重石はコンクリート平板2個。
表と裏に南京錠や盗難防止ワイヤーを通せる穴がある。ボックスは上下セパレートだが、表と裏の2点をしっかり閉じることで中身の抜き取りを防止できる。
蓋の周りに排水溝があるが、防げるのは小雨程度。激しい雨にさらしたり、蓋に水滴が付いた状態で開けると、排水溝から水があふれて中に水が入ってしまう。屋根のある場所の下に設置する必要がある。
中の重石は、万一中に水が入ったとき荷物の水濡れを防ぐためにも役立つ。
風が強いと蓋が開くことがあるので、留め金を設置。写真は100均で見つけたステンレス製のフック。
案内の設置例
外に置いた入れ物が宅配ボックスであることを示すために案内が必要だ。
案内の設置場所は、ピンポンの横、宅配ボックス本体それぞれに、それとわかるものがあればよい。
写真の案内プレートは市販品。
写真は市販品の例。紙のシールはボロボロになり剥がすのに苦労するので最初から貼らないこと。
箱の側面に貼ったシールは使い方の説明書き。細かい文字でゴチャゴチャ書いてあっても読まれない。これも不要。
印刷した紙をラミネーターで処理した自作の案内ラベル。耐候性があり、屋外で数年もつ。
写真のラベルデータは下記からDLできる(Libre Officeが必要です)。
ラベルデータのダウンロード
ラミネートしたラベルは両面テープか不乾性パテ(ネオシールB-3)でBOXに貼りつける。屋外で剥がれず、簡単に交換が可能。
問題点
実際運用してみてわかった問題点は以下の通り。
施錠すると1BOXで1日1回の荷物しか対応できない
最初の荷物を入れて南京錠をかけられると、2回目の配達が持ち帰りになってしまう。施錠の必要性についてよく考えたい。
盗難防止について
樹脂製のボックスは、たとえ施錠してあってもその気になればにコジあけできる。持ち去り防止のワイヤーもペンチで切られたら終わり。これらは結局、容易な持ち去りを防ぐ効果しかない。
ボックスが施錠されていると、中に荷物が入っていることが外からわかる。施錠しないほうが、かえって盗難のリスクが少ないかもしれない。
自分のポストに入った郵便物を盗む人は、ほとんどないと思う。他人の荷物が自分に価値あるものとは限らない[2]。盗難については、あまり心配することはないと考えている。
コジ開け&持ち去り事件(2018年6月)
帰宅すると小さいほうの宅配ボックスに南京錠がかかっていた。
あけてみると中身が空っぽ。それに、重石で動かないはずのボックスの位置がズレていた。
ポストに不在通知が投函されていて、見ると着払いの荷物だった。
これはたぶん、着払いの荷物を入れて施錠してしまい、あとから気が付いてコジあけて抜き取っていったものとみられる(この件は、後で配達業者からお詫びがありました)。
ラベルの寿命(2022/11)
写真上は新しいラベル。下は4年経ったラベル。
ラベルが剥がれたので戻すついでに調べたら樹脂がもろくなっていた。このラベルは設置してから4年。ラミネートしたラベルの屋外での寿命は3年くらいらしい。曲げるとヒビが入るが、触らなければ大丈夫。
運用のコツ
屋外の温度環境に耐えない商品や高価な商品は、宅配ボックスの受取りに適さない。これらについては従来通り時間指定して対面受取りにしたほうが良い。荷物の性質に応じて受取り方法を使い分けていきたい。
<参考購入先>
ベランダボックス(JEJ ラシェッド ベランダストッカー) アマゾンが発送する97%の荷物に対応できる大型ボックスです
南京錠 オール真鍮製のアルファがお勧め。1000-30、1000-40mmあたりがマッチします
ワイヤーセット 鍵とセットになった商品です
重石などは近所のホームセンターで買ってください。
<参考文献>
1.アマゾンの段ボールサイズ一覧
2.ステンレスのポストは錆びる~ポストの選び方と屋外金物の錆対策