包丁がまるでカミソリ!~砥石の選び方

ホームセンターで売っている普通の砥石の例

ホームセンターで売っている普通の砥石の例

 使う前に水に漬ける必要がある。研ぐのに時間がかかり効率が悪い。研ぐと砥石の方が削れていく。時間をかけて研いでもすぐに切れ味が悪くなる。

 砥石とはこんなもの。私は今までずっと、これについて何の疑問も持たずに使ってきた。

 

 

 切れない包丁を使っているとストレスを感じることがある。切れない包丁では、トマトはどうしようもなく切れない。この場合包丁を研ぎ直さないといけないが、切れなくなる度に時間をかけて研ぐのがとても面倒に思えた。

モッツアレラチーズにバジルソースをかけて作ったカプレーゼ 写真はトマトとモッツアレラチーズにバジルソースをかけたカプレーゼ。トマトは切り難い食材の一つ。私が砥石を見直すきっかけになったのがコレ。

※使うモッツアレラチーズは「生」よりクラフトの切れてるシリーズの方がコクが合って美味しい。

 

 

 もうちょっとマシな砥石はないものか。アマゾンを眺めていたらセラミック砥石の評判がすこぶるよい良いことに気づいた。硬いものほど、研ぎの効率がいいのは確かだ。

セラミック砥石の例 シャプトン 刃の黒幕 #5000 #1000 導入したセラミック砥石。シャプトン 刃の黒幕 エンジ 仕上砥 #5000、オレンジ 中砥 #1000。砥石1個で包丁が買えてしまう値段だが、セラミックは磨耗が少ない。長く使えることを考えれば決して高くない。

 研ぎの効率はきわめて高い。水は研いで出た金属粉を洗うために時々かければよく、事前の漬け置きも必要ない。

 

 荒さはいろいろあるが、ボトムに#1000、仕上げに#5000を選んだ。これでほとんどの刃物を問題なく研げる。段階を細かくすれば研ぎが早いが、実用上これで十分。

ベルトの切れ端で作った革砥とピカール #5000から先は革砥の出番になる。革砥は簡単に自作できる。写真はベルト(1枚革)を切った余りをカーペット用両面テープで木片に貼り付けただけのもの。ピカールを付けて磨く。これにより、鏡のように仕上がる。

 木片は長さ220mmのヒノキで、との粉+自然塗料仕上げ[3]。革がたくさんある場合は、両面に貼って片面だけピカールを塗りこみ、他面を拭きあげに使う。

 

 

 

 

 包丁を研ぐとき、刃先角度をどうするかが問題になる。いったい何度で研げばいいのだろう。
 刃先角度は浅いほど良く切れるが、歯が薄くなって欠けやすくなる。ここは30度前後が良いことが経験的に知られている。

 実際の包丁は25度前後で先端だけ30~35度の2段刃になっていることが多いようだ。さらに、先端に小さなノコギリ状の凹凸を付けることで切れが増すという[1]。ちなみに日本刀の刃先角度は32度前後、カミソリは20~25度という[2]

 包丁を研ぐときは、基本的に買った時に付いていた刃先を良く見て、これを維持する形に研ぐのがよいが、よくわからない場合は20度~25度で研いで、先端だけ30度の刃付けをすると良さそうだ。

刃から4cm離れた位置を1cm浮かしてみた様子 30度といってもイメージしずらい。刃から4cm離れた位置を1cm浮かすと15度(両刃で30度)になる。

 普通の包丁は刃渡り中央付近の高さが約4cmなので、ここを1cm程度浮かせる。角度が少々違っても大差ない。大きく違わない限り大丈夫。

 

セラミック砥石で研いだ包丁の刃先を拡大したところ この砥石で研いだ包丁は危ない。触っただけで「スパッ」と指が切れる。まるでカミソリのよう。シンクの食器の下に埋もれていて気づかず手を入れて怪我をしたことがある。取り扱いに注意したい。

 この切れ味の違いは何だろう。通常モノを切るとき、切れ味の良い刃物ほどシャープな仕上がりを得る。それと同じように、硬い砥石で研ぐことで、ごく先端までシャープなエッジが付く為かもしれない。

 

 

<参考購入先>
シャプトンの商品
鍛造の包丁 日本刀の技術が今に生きる芸術製品です
包丁砥ぎの補助具
刃先角度定規

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<参考文献>
1.刀身の構造
2.日本刀の角度は何度くらいなの?(リンク切れ)