なすを綺麗な紫色に焼く方法

なすを乗せたペペロンチーノ

なすを炒めると、皮が褐色に変色し、ヨレヨレの無残な姿になることが多い。なぜこうなってしまうのか。この原因を明らかにして、なすをフライパンで綺麗な紫色に焼く方法をご紹介する。

 

調理の問題点

 生のなすはスポンジのような構造もっており、油をよく吸うほか熱伝導率が悪い。そのため生のなすをいきなりフライパンで炒めると油をどんどん吸う上、火が通るのが遅くて調理に時間がかかる。濃い紫色だった皮は褐色になり、油を吸ってベチャベチャ。冷えると縮んでヨレヨレ。これがよくある失敗だと思う。

 これについてネットで調べると「皮に切り目を入る」「油を塗って皮から焼く」などというアドバイスがあるが[1]実際やってみると再現性がない。ネットを検索すると似たような記事が沢山ヒットするが、ほとんどが他所のコピー。マジメに原因を解明し本質を押さえた情報が見当たらない。

 写真は仕上がりの様子。左の3つは綺麗な紫色、右の3つは茶色くなった失敗例。この調理の本質を探り、左側の状態を確実に作るコツをご紹介する。

焼いたなすの例

 

作り方(2024/4/5改訂)

下準備

 買ってきたばかりのなすは、どうやってもうまくいかない。袋から取り出して、冷蔵庫(野菜室など)で2日以上乾燥させたものを使う。

1.フライパンに10%濃度の酢の水溶液を皮が浸る水深で入れ、沸騰後、皮が浸かるよう皮を下にして2~3分煮る。

フライパンに酢水を入れた様子

2.あまった酢水を捨てて大さじ2の炒め油を入れ、皮からなすを焼く。
 炒め油(界面活性剤入りサラダオイル)を使うと、なすに油があまり浸み込まない。油が少なくて済み、鉄鍋にも焦げ付かない利点がある。

フライパンでなすを焼いている様子

3.全体に焼き目がついたら完成

フライパンでなすを焼いている様子

 

 皮の色がバッチリ紫色、焦げ目もついて完璧な仕上がり。放置しても色が変わったり縮んだりしない。味の素と塩を軽く振って味を調えるととても美味しい。

塩と味の素を振ったなす

 なすを乗せたペペロンチーノの例

なすを乗せたペペロンチーノ

 

このレシピのポイント

 酢の水溶液で皮を加熱する。酢が皮の参加を防いで茶色化を防止するのに役立っている。

 

なぜ茶色くなってしまうのか

 なすの皮の色は下記の通り温度によって濃くなる一方であり、皮だけ剥いて焼いた場合は茶色にならない。

100℃ 薄い青
180℃ 濃い紫
240℃ 黒っぽい紫

加熱したなすが時間が経つと褐色になるのは、身から出た水分によって皮の内側に色素が溶け、身の方へ浸透して化学反応を起こした結果。これを防ぐには、真っ先に皮を加熱し火を通す必要がある。実験では100℃で色が固定されることを確認している。麺を茹でるなら、ついでに漬けると簡単である。

写真は茶色く変色した皮の表と裏。内側に色が抜けていることがわかる。表から外へヌケるわけではないので油を塗っても無駄。身が茶色になるのは、化学反応によるものとみられる。

茶色になったなすの皮茶色になったなすの皮の裏側

 

 

<参考購入先>
なす
窒化処理した鉄のフライパン 揚げ物には持ち手無し、手早い作業が必要な場合は持ち手付きが便利です
セラミックのフライパン フッ素コートより長持ちしますが熱伝導が悪くて使いずらいです

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<参考文献>
1.キッチンサポート青