JBL JRX115は究極のスピーカか

 サイキョーを連呼する某サイトでJBL JRX115がHi-Fi用途に強く推奨されていることを見つけた。以前「スピーカは30cmを超えるウーファ+広帯域ホーンを組み合わせた2Wayシステムが音質的に満足できる」と書いたが、現在こういうシステムは一部の高価な品を除き存在しない。

 JRX115はSR用で、プロ用機器を扱うショップでなければ絶対に出てこない選択肢だ。民生機器しか見てこなかった人にとっては盲点といえる。このスピーカは能率が98dBもあり、こちらのグラフからすると、組み合わせるアンプは20Wもあればいいことになる。

 

 こういった高能率のスピーカは過渡応答に優れ、能率が90dBを下回るような低能率のスピーカでは絶対に得られない音を出す。聴感上は、「生々しい」「明瞭」「音離れがよい」と感じるだろう。「生々しい」音は、大口径ウーファを擁する高能率スピーカが得意とすることだ。私がオーディオに興味を持ったきっかけも、手を伸ばせば掴めそうなくらいのリアルな音像体験にある※1

 欠点は、中域が張り出す分、相対的に低域のレベルが不足することだ。重低音再生など最初から期待できない。低域が出ない傾向は、能率が高いSPほど強い※2

 

※1 私が学生のころ、オーディオショップで聞いてショックを受けた音がこれだ。タンノイのアーデンかバークレイだったと思う。オペラが鳴っていて、そこに本当に人がいるかのようだった。

 左はその当時のカタログ。タンノイのアーデンとバークレイ(1981年5月 ティアック)

 


※2 民生用SPに低能率なタイプが多いのは、再生周波数の下限をユーザが強く気にするからだろう。

 

 JRX115にはもう一つ問題がある。ツイータを耳の高さに持っていくための「台」が必用な点だ。これはウーファが2連になっているJRX125を選ぶ事で改善する。こちらは台が要らないし、聞き比べれば、JRX125の方が低域が豊かに聞こえるはずだ。しかし、JRX115よりクロスオーバが高いので下のウーファからも中域が出てしまう。家庭に持ち込む場合はクロスオーバの見直しが必要になるだろう。

 サイキョーを連呼する某サイトには他にもおもしろい記述があるが、残念ながら、技術的な解釈や考察は間違いだらけである。ダンピングファクタ(DF)に関する記述だが、アンプのDFは40もあれば十分で、SR用と組み合わせる場合DFがあまり大きいと過制動で低音が不足する場合がある※3。しかし技術解釈、論理展開は無茶苦茶でも、結論だけは正しい記載が結構ある。経験と観察だけでも正しい答えを導き出せるようだ。

※3 電線を含む総合DFが30を上回ると聴感上差はほとんどなくなる。スピーカのQが小さい(0.7以下)場合はむやみにDFを大きくとると低音が出なくなってしまう。プロ用アンプではDFが100を超えるものが多いが、SPケーブルを数十メートルで使ってもちゃんと駆動できるようにする為である。

 

 JRX115、125を鑑賞に使う場合不満が出るかもしれない。そんな場合はネットの記事を参考にライトチューンしてみてはどうだろうか。元々安い作りのスピーカだから、これをベースに改造していくのも楽しみ方かもしれない。

 

<参考購入先>
JBL JRXシリーズ JRX215はJRX115の後継機です
サウンドハウス こちらからも購入できます

 

(2008/2/9 追補)
JRX115に適当なスピーカスタンドが無いのが欠点だったが、紹介者自身おもしろい解を見つけたようだ。定在波に関する知識、理論は相変わらず無茶苦茶だが、コーナに配置しツイータの軸線をずらすことでJRX115の弱点である低域の弱さと高域のキツさを同時に解消できるのは確かだ。3次元的に自由なセッティングが可能なスタンドはユニークで評価できる。