キーボードの選び方と固くなったボタンを直す方法~グリスを塗ってリアルフォース並みの感触にする!

  キーボードを使ううち、引っかかりを感じたり、押し込んだまま戻らなくなることがある。これが意外にストレス。そこでキーボードのメンテナンスの方法と、新品より操作感を良くする方法をご紹介する。

 

キーボードを選ぶときのポイント

 キーボードを選ぶときのポイントは次の通り。

表1 キーボードを選ぶときのポイント

項目 条件 備考
配列 普通の109  
ストローク 4±0.5
操作力 55±10g 軽すぎ、重すぎないこと。
操作音 無音~小
マーク ホームポジションが識別容易なこと
メンテナンス 分解清掃が容易なこと
パソコン本体と同一色

 

配列

 注目点は、スペースキーやIns,Delまわり。このあたりのボタンサイズが変形していたり、配置を変えていると使いずらい。配列はあくまで「109キーボード」が基本になる。

 スペースキー中心は、ホームポジション(F,J)を結んだ中心からあまりズレてはいけない。スペースキーの長さは、左右それぞれ、Vキーの左端、Nキーの右端がリミットになる。

 Ins,Delキーの配置も配列見本通りが望ましい。変則的な配列は「慣れ」により対処できるが、変則的な配列に慣れてしまうと他のキーボードで戸惑うことになる。

 

ストローク

 上述の数字はごく一般的なもの。ストロークは浅すぎても深すぎても使いにくい。デスクトップ用なのにわざわざノート用のパンタ式を採用するものがみられ、意図がよくわからない。メカニカル式はストロークが深いものが多い。

 

操作力、クリック感、操作音

 これらはキーボードの方式によって違う。以下個別にご紹介する。

1.メンブレン式

 安いキーボードのほとんどがこれ。お椀のようなラバードームを潰して接触を得る。打鍵音が静かで、耐久性も良好。一般から企業まで広く普及している。

2.メカニカル式

 操作感は独特なものが多い。黒軸のように終始一定力でクリック感がないもの、金属ばねのような反力があるもの、「カチカチ」音が出るものなど様々。私にはカチャカチャいう音がうるさく感じる。

 「タッチが良い」「疲れにくい」「高速入力可能」などのセールストークには独善が多く、多数の被験者を用いて評価した結果でないことに注意したい。

3.静電容量式

 無接点で、打鍵音が静か。触った感じからすると、メンブレン式に近い。値段はリアルフォース1台でメンブレン式が10台買える。

 商品化されているものに、東プレのREALFORCE(リアルフォース)がある。

 この方式のキーボードはタイピングを重視する金融機関や業務用で使われているという[Wiki]。信頼性、打鍵速度、ミスタイプのしにくさから、キーボードの頂点の一つといえる。

 

メンテナンス性

 どんなキーボードも隙間に埃や髪の毛が入って次第に汚くなり、グリスも枯れて操作感が悪くなる。分解清掃と給油などのメンテナンスは必要であり、できなければパッドの電極が磨り減る前に寿命となる。

 できれば、分解して洗浄、メンテナンス(グリスアップ)できるものを選びたい。

 グリスはプラスチックに悪影響しないものが必要。Rationalシリーズ使ってメンテナンスした結果は、操作感、静音性共に良好だ。

 

マーク

 マークとは、「F」と「J」キーにのみに付いている「ホームポジションの出張り」。これが明確にわかることがチェックポイントになる。

 

本体の色

 キーボードの色はPC本体と合わせる。通常はベージュ、白、黒のどれかになると思う。

 


 

ごく普通のキーボードがない

 DELL,HPなど企業向けモデルに付いてくる普通のキーボードは、使い勝手は勿論、耐久性、静音性など、オフィスで要求される実用機能を高いレベルで満たしている。昔から企業で大量に使われ、バランスの取れた特性と耐久性は実証済み。

 これと同じものを市販品で探しても、なぜか見つからない。妙に変形していたり、いらないボタンがたくさん付いているものが多い。耐久性も悪く、半年くらいでどこか破損して買い替えになってしまう。

 

分解清掃できない商品は消耗品

 キーボードは使ううちに汚れていく。キートップは拭けば済むが、隙間に入り込んだ髪の毛などのゴミは掃除機で吸っても取れない。私は年に1度、分解清掃している。

 

メンテナンスの実例

1.分解・清掃

 

キーボード ロジクールK310の裏面 ロジクールK310。私がキーボードを買う時は、まず裏を見る。

 分解が容易なようにねじが露出していること、チルトスタンドや滑り止めゴムの作りがしっかりしていること、などがチェックポイント。

 

キーボード ロジクールK310を分解し、キートップを裏側から見たところ

 裏のねじを外すと、キーの付いたトップカバーを分離できる。洗剤などを使って思う存分丸洗いできる。

 

キーボード ロジクールK120 の裏面 ダメなキーボードの例(ロジクールK120)。

 半年くらいで滑り止めゴムが取れてしまう。スタンドも貧弱で取れやすい。3年保証しているのでリクエストを出すといつも無償で新品をくれるが、きりがないので3回目に諦めた。

 

キーボード ロジクールのPROメカニカル の裏面 写真はロジクールのPROメカニカル。ほとんどのねじが隠れている。いくら良いキーボードも、分解できないものは、私からすると使い捨て消耗品。

 

 

 

2.グリスアップ

 分解掃除したついでにプラスチック専用グリスを摺動部に塗ると、音が静かになりタッチが劇的に改善する。ストレスのもとになるひっかかりも、これで解消。

キーボードを分解してキートップ裏側からグリスを塗布している様子 

 グリスを塗る場所は「摺動部」。スポンジの上にキートップを乗せるとキーが押された形でこちらに出っ張る。そこにプラスチック用グリスを塗布する。グリスは、半練りのRational003sを使う。あまり粘度の高いものを使うとキー操作が重くなる。

 

 爪楊枝などを使って角の四隅に少量塗り、モノによって構造が違う。写真のように出っ張らないものは、キーが引っ込んだ状態で枠の内側四隅に塗る。数が多くて大変だが、あとで素晴らしい結果を実感できる。

 全部塗り終わったら、キーを前後させてからはみ出したものをふき取る。反対側のシリコンラバーにグリスが付くと、膨潤し変形してしまう。これがひどくなると、組み立て不能になるので注意。

 

 最後に元通りねじを締めるが、このとき締めすぎに注意する。ねじ山をバカにしまうとそこの固定が「無し」になってしまう。

 グリス処理したロジクールK310。押した感触がとても滑らかで、高級感がある。塗る前とは比較にならない。これは、あのリアルフォース以上かもしれない。そんな高級感のあるタッチに改善できる。

グリス処理したキーボード ロジクールK310 

 

 写真はシリコンラバーにグリスがついて膨潤した例。右端をそろえると、左が1センチ以上はみ出す。こうなると組み立て不可能。捨てるしかないので注意。

膨潤してしまったキーボードシート

 

<参考購入先>
ロジクールのキーボード ハズレもありますが比較的失敗の少ない商品です

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<改訂履歴>
2017/6/11 写真を追加