「乾燥肌を改善する」と称する商品が多くあるが、どれを使ってもイマイチだと思う。化粧水はすぐ乾燥しオイルはベタベタするだけ。乳液は化粧水より多少マシ。ステロイドに頼る人も。そもそも、何故こうなってしまうのだろう。
皮膚が潤いを保つ仕組み
肌は皮脂(油分)と汗(水分)が混ざった「天然クリーム」によって潤いを保つといわれる。皮膚の表面にいる菌は皮脂を分解し肌を弱酸性に保つ重要な役割を担っている[1]。
乾燥肌や皮膚炎は、これらのバランスが崩れることで起こることをまず知っておきたい。
市販の商品はなぜ効果が続かないのか
「乾燥肌を改善する」と称して売られている商品には3種類ある。
水性の化粧水、油性の保湿オイル、両者を混合して乳化した乳液
大抵はこの中のどれか1種類だけ買って「効果ないね」で終わっていると思う。化粧水はすぐ乾燥してしまい、オイルはベタベタするだけ。乳液は化粧水より多少マシ。そんな感じではないか。
保湿を持続させるには「フィルム」が必要
肌は汗で水分を補い、皮脂(油分)でその蒸発を防いでいる。これを人工的に実現するには水分を与えた後、それが蒸発しないよう、油分でフィルムを作る必要がある。具体的な工程は
化粧水を塗る⇒2~3分待つ(肌に浸透させる)⇒保湿オイルを塗る(フィルムを作る)
となる。理屈を知れば、化粧水か保湿オイル、どちらか一方だけ塗って終わりでは、良くないことが解ると思う。
この工程では化粧水と保湿オイルが必要になるが、市販の商品を見渡すと化粧水は豊富にあるがオイルが少ない。スクワランオイルか、ワセリンが候補になるが、液体は流失しやすく、ワセリンは塗りにくい、というようにどちらも使いにくい。
保湿用オイルの作り方
保湿効果とその持続時間はオイルの粘度に比例する。その点スクワランオイルは粘度が低すぎ、ワセリンは粘度が高すぎる。そこでこの両者を混ぜて中間の性質を持つ「半練り」の混合物を作る。レシピは、
ワセリン:スクワランオイル = 1 : 3~1 : 4 (重量比)
比率を少々変えても問題ない。ワセリンが多いほど保護効果と持続性が高くなる半面、塗りにくくなる。
いきなり全量混合してもダマができてうまく混ざらない。ワセリンにスクワランオイルを少しずつ足しながら混ぜ合わせていく。スクワランオイルの入手が難しい場合はベビーオイル(ミネラルオイル)で代替できる。
(湯煎にかけると均一に混ざり、分離しにくくなります)
完成した理想粘度の保湿オイル。ポンプ容器に入れて使うと使いやすい。分離したときの攪拌用に鋼球またはナットを入れておくといい。
ワセリンは高度に精製された石油由来の天然成分。スクワランオイルも多くは石油から合成した純度の高いもの。どちらも肌への害はほとんどない。無色無味無臭で、余計な有機物を含まないため何年保管してもほとんど変質しない。
このオイルを使って肌の潤いを24時間以上維持できるようになると、常在菌の活動が活発になり皮膚のバリア機能が次第に回復してくる。赤みや痒みが引いて皮膚の補修が進み、皮脂腺の機能も正常に戻っていくはずだ。鼻の穴に塗り込めば粘膜の乾燥を防ぎ、春は花粉対策になる点も見逃せない[3]。
その他(クエン酸を使った肌の中和の勧め)
乾燥肌の人は体を洗った後、最後に2%程度のクエン酸洗剤を頭から被り、シャワーですすぐとよいようだ。
洗剤で体を洗うと常在菌が洗い流され肌がアルカリになり、皮膚が無防備になる。放っておいても常在菌が繁殖し弱酸性のバリアが復活するが、常在菌のエサとなる皮脂の分泌が少ない冬場はこれに時間がかかるため皮膚に負担をかける。クエン酸で中和するとこの復活が早まるようで、効果は実践したその日に実感できる。
クエン酸は体臭の予防にも効果がある[1]。
最後に~商品依存からの脱却
世の中、お金を出せば問題を解決してくれる素晴らしい商品があるかもしれない。しかし自分の肌のコンディションをそういった購入品に依存している状況は、好ましくないと思う。
世の中のどの商品よりも優れたスキンケアクリームがある。それは、冒頭にご紹介した自分の皮膚から出てくる皮脂(油分)と汗(水分)が混ざった「天然クリーム」。
その天然クリームを毎日洗剤で除去してしまい、それに劣る化粧水やオイルを塗って良くなるはずがない。肌の乾燥で困っている場合は、まず自分の皮脂を大事にすることから始めたい。
そもそも、皮膚のバランスを崩している原因の「モト」は何か。その一つに毎日使っている洗剤がある。大切な天然クリームを落としすぎないよう注意すれば、高価な化粧水も、ここで紹介したスキンケアオイルも、必要ないかもしれない[2]。
<関連商品>
スクワランオイル 純度の高いものほど劣化しません。価格の安いものを選んでください
白色ワセリン 高純度品(ワセリンHG)がお勧め
鋼球 分離したときの混合に使います。6mm以上のものを使ってください
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