パイオニアのブルーレイを修理する~トレイが開かない問題の対処

 パイオニアのPC内蔵型ブルーレイドライブ BDR-207M写真はパイオニアのPC内蔵型ブルーレイドライブ(BDR-207M)。性能が良く動作音も静かだが、この商品には決定的にダメなところがある。

 

 

パイオニア ブルーレイドライブの問題点

 それは、1年過ぎたあたりからイジェクトボタンを何回も押さないとトレイが出てこなくなること。

 一応出ようとするのだが、何かに引っかかって出てこない。ネットを検索すると同様の症状を訴える人がいるので、私の掴んだ商品が運悪く故障したわけではなさそう。分解してグリスアップしたが改善しない。メカ系の摩擦が原因というわけではないようだ。

 この手のパーツは修理代より新品価格の方がはるかに安いため使い捨てになる。今や千円台で買えるマルチドライブなら買い換えだが、ブルーレイの場合、使い捨てするにはまだ勿体無い。

 

トレイが出てこない原因

「このストレスを我慢しながら使い続けるしかないのか」

 そう思っていたところ、この問題を詳しく調べて修理に成功された方がいた[1]。その方が書かれた記事によると、原因はイジェクトするとき磁力で引き合うスピンドルとクランプが離れ切らないことにあるらしい。

 これは設計の問題なので修理しても無駄だが、ユーザー側で出来る対処がある。先輩の記事を参考に、クランプの磁力を弱めるためのスペーサーを貼り付ける改造をした。

 

対策の実例

パイオニアのブルーレイドライブを分解したところ まずは分解。このドライブはピンを使ってトレイを強制排出してから裏のネジを外すだけで簡単に上下カバーを外せる。トレイのベゼルを取る必要は無い。

 スピンドルには強力なネオジウム磁石が、上カバーの裏側には樹脂製のクランプが見える。このクランプのへこんだ部分にスペーサーを装着する。

 

 

上カバーのクランプにスペーサー(ペーパーパッチ)を貼り付けている様子 クランプに貼り付けたペーパーパッチの仕上がり

 先輩の記事では梱包用テープ2枚重ね(約0.06+0.06=0.12)だが、施工に少し技量が要る。誰でも簡単に施工できるものはないか、と探して見つけたのがパンチ穴の補強シール(コクヨ ペーパーパッチ )。厚みがちょうど0.12mmある。同社にはビニールパッチもあり、こちらの厚みは0.06mm。

 スピンドルの穴に対してやや大きいが、押し込んでフチを爪楊枝などで押さえれば問題ない。右の写真は貼り付けが完了したところ。装着後は至って快調。ようやくストレスから開放された。トレイが入るときガタガタいうので、ついでにレールの部分をRational003sでグリスアップ。こちらもスーッとスムースに動くようになった。

(2018/2/12 追記)
 ペーパーパッチ(0.12mm)でもまれに出ない現象がみられました。当方の環境では結局、ペーパーパッチ+ビニールパッチ(合計0.18mm)で完全に改善しました。

 

本質的な原因は設計不良?

 それにしても、これは設計不良ではないか。一応パイオニアと販売元( エスティトレード)にこの件を問い合わせてみたが、どちらも問題を認めず「修理になります」といってきた。「今後パイオニアの製品は可能な限り避ける」これが私の行動指針に追加された。

 

※「そんな症状は初めて」「これまで報告されていない」「だから修理になります」・・問題を認めて無償修理に応じると損になる、という考えはトラブルを拡大させる会社によく見られる判断ミスだ。

 

<参考購入先>
ブルーレイドライブ パイオニア以外から選ぶようにしています
Rational003 樹脂部品の潤滑に使えるオイルです

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<参考文献>
1.光学ドライブのイジェクト不良メンテナンンス