治療した歯が繰返し虫歯になるのはなぜ?~電動ハブラシの選び方

取れてしまったインレー 歯にかぶせてあった金属の詰め物(インレー)が取れたので歯医者に行った。このインレーを入れたのはおよそ10年前。取れる原因の多くは歯とインレーとの間が虫歯になった結果。これは「仕方ないこと」なのだろうか。

 

治療したところが繰り返し虫歯になる

 以下は仮説。歯を削ってインレーを詰めると、歯とインレーの境界にミゾが出来る。そこは最初、接着剤(セメント)で埋まっている(図1A)。

 次第にセメントが削れて消失し、溝ができる(図1B)。そこに歯垢が付いて虫歯ができる。
 虫歯はインレーとの境界に沿って進む(図1C)。ガムや餅などを食べた機会にインレーが脱落する。

治療した歯が虫歯になるプロセス 

 インレーが取れたら歯医者で補修することになるが、虫歯になった部分を削るので以前より穴が大きくなる。これを繰り返していくと最後は抜髄(神経抜き)して金属の歯になる(この治療は痛みを伴い、時間と費用がかかる)。

 Cの段階になっても運悪くインレーが取れず、虫歯が奥深く進行してしまった場合は、いきなり抜髄になってしまうことがある(時々、妙な味や匂いがすることで気づくことがある)。

 

虫歯を予防する方法はあるか

 虫歯を予防する方法は2つある。

 

虫歯予防に効果のある方法で歯を磨くこと

生まれた赤ちゃんの口に、虫歯菌を入れないこと

 

 生まれた子供の口腔内には虫歯菌がいないことが知られている。では虫歯菌はどこからやってくるのか。それは親の唾液[1]。私はその話を聞いて、自分の子供2人で唾液感染の予防を実践してみた。感染予防が必要なのは生後3年間。この期間、虫歯菌を入れなければ、一生虫歯にならないという[大学の専門家から立ち話で聞いた話]。結果、2人共成功。これは子供にとって一生の財産だし、親からの価値あるプレゼントだ。

 すでに虫歯菌が口の中にいる場合の予防法は、今のところ歯磨きしかない。一生懸命歯を磨いているのに虫歯が無くならない場合は、方法が間違っている可能性が高い。

 

歯磨きの道具について

 歯磨き用と称して売られている道具に「歯ブラシ」がある。この道具は昔から売られていて確かに「歯磨き」はできる。しかし「虫歯予防」ができるかといわれると疑問符が付く。

 歯ブラシを選ぶ際の重要なポイントに「毛先」がある。歯ブラシの毛先は細いものほど良い。細いほど細かい隙間に入り込みやすい(磨き残しが出来にくい)ことは、容易に想像つく。

 磨き方についてはいろんな説があるだけ。「歯ブラシ」をどんなに工夫して使っても、磨き残しを完全に無くすことはできない。手磨きには限界がある。

 

染め出し剤の例 磨き残しを知るには「染め出し剤」が有効。これでチェックしながら繰り返し磨いている人は、あまりいない。

 

 

電動歯ブラシ

 近年は電動歯ブラシが安く手に入るようになってきた。200Hz~300Hzで振動するよう作られている。毛先を当てるだけで効率よく歯垢を除去できるため、手磨きの問題をかなりカバーできる。私はこれを買い繋いできた。おかげで歯医者に行く頻度が10年に1回くらいに減ったが、完全に虫歯を無くすことには成功していない。

 

いろいろなパナソニックのドルツ パナソニックのドルツ。右の2本は2016年モデル(EW-DL23-S、EW-DE25-W)で振動数は実測270Hz。能書きにある「毎分約31,000ブラシストローク」というのは振動数(Hz)を60倍してさらに2倍にした値らしい。

 手磨きが1秒間に2~3往復がせいぜいなのに対し、電動は270往復する。手磨きに対し圧倒的に効率がいい。

 

ドルツEW-DE25-WのACアダプターをコンセントに差し込んだ様子 EW-DE25-Wは高価だが、EW-DL23-Sと磨く性能に差は無い。後者は、お知らせ機能がうまく機能しない不具合がある(停止ではなく、時々違った周波数で振動する)。この件はメーカーに問い合せてみたものの、満足いく結果が得られなかった。

 他、EW-DE25-Wには左の写真のように電源がコンセント側と一体なので重さで垂れる欠点がある。

 

ドルツ極細毛ブラシの拡大 最近のドルツに付属する極細毛ブラシ。電動ブラシにようやく「細毛」構造のものが登場した。これまでは手磨きと併用するしかなかったが、これでやっと電動が手磨きを上回った。

 このブラシは旧機種(EW-LA30など)にも付けられるので本体を買い換える必要は無い。

 

ドルツのブラシスタンド 複数の家族で使うとき便利なブラシスタンド。写真の部品番号はEW1046W7387。旧機種の別売りオプションだが、旧機種から現行機種まで共通して使える。パナソニックストアか、ヨドバシ.comで購入できる。

 

 電動歯ブラシで綺麗に磨くコツは、毛先が触れるくらいの感覚でそっと当てること。普通の歯ブラシの感覚で押さえてしまうと電動歯ブラシは有効に機能しない。

 

携帯用歯ブラシ(2018/5/26 追記)

 外出先でも歯を磨きたい。しかし歯ブラシをポケットに入れるとブラシの部分が外に出てしまう。カバーをしても見苦しい。そうならない柄の短い歯ブラシは、子供用しかない。

ポケットドルツ EW-DS42

 ここは携帯用の電動歯ブラシポケットドルツなどに替えることで改善する。写真はEW-DS42。

 全長16cm。普通の歯ブラシより短いとはいえ、ポケットから十分はみ出る。腰を曲げると落下するので注意。

 振動音はほとんど聞こえないので周囲に安心して使える。しかし振動は弱く、電動で磨いている感覚があまりない。

 

 全長の短い(14.5cm)商品もあるがデザインが女性向け。歯ブラシというより口紅に近い。

 

ジェットウオッシャーで歯周ポケットを洗浄(2023/2追記)

 電動歯ブラシで届かない歯周ポケットの掃除にはこれ。ジェットウオッシャー

パナソニック ジェットウオッシャー

断続的な強い水流により、歯周ポケットをほぼ完ぺきに綺麗にできる。使用時に水が飛び散り、すぐ水が切れるのが難点(写真の商品は200ml入るが、だいたい3~4回つぎ足しながら使う)。

これらの問題は、お風呂場で使用できる防水仕様の商品を使うことで解決する。写真の商品は本体が大きいが、先端がくるくる回るり使い勝手がよい。

これと電動歯ブラシとの組み合わせで、理想的なオーラルケアができる。

 

 

治療したところを長持ちさせるには

 一度インレーを嵌めた歯は、最初に書いた理屈で虫歯になりやすい。これを防ぐ方法はないのか。最初の図で、歯とインレーの溝を埋めているセメントを保持できれば(一番左の状態をキープできれば)これが達成できそうだ。ところで、セメントが失われてしまう要因は何だろう。

 これに関して思い当たる物がある。それはハミガキ(歯磨き粉)に含まれる「研磨剤」。電動歯ブラシに研磨剤入りハミガキを組合わると、セメントはおろかエナメルまで削ってしまう危険がある。

 

電動歯ブラシ専用ハミガキの例 電動歯ブラシには、研磨剤を含まないハミガキを使うのが正解。写真のように「電動歯ブラシ用」と書かれているものは、研磨剤を含んでいない。

 本来セメントの耐久性はいいはず。研磨剤を使わない歯磨きを続ければ、相当もつのではないか。

 しかし、これを使ってもまだ不十分。それは、歯磨きの粘度が高すぎることに関係がある[2]

 

 

 

歯科検診の勧め(2019/10/3)

 特に自覚症状が無くても年に1回は歯医者に行って診てもらうことをお勧めしたい。今までの経験からするとインレーが取れてから歯医者に行ったのでは遅い。知らないうちに虫歯が深く進行していて大きな穴を掘るハメになることが多い。

 削ってしまった歯は二度と元にはもどらない。それと一生付き合っていかなければならないことを考えると、早期発見がとても重要である。

 

<参考購入先>
パナソニック ドルツ
研磨剤を含まないハミガキ
ドルツの細毛替えブラシ
染め出し剤 たまにはチェックしてみてください

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<参考文献>
1.食育には歯が命