左は1年前の中華製電球(8W)、右は8年前のパナソニック製(10W)。ほぼ同時に壊れたので、故障原因を調べてみた。その結果、意外なことが解った。
LED電球の公称寿命は3万時間とも、4万時間ともいわれる。例えば、暗くなってから寝るまでの5時間、毎日つけたとして16年以上もつ計算だが、そんなに持ったことはない。大抵は、それよりはるか前に点灯しなくなる。
写真の製品は買った時期は違うが、使用時間はどちらも 1800時間程度。持ちに関しては、かつて主流だったインバーター式の電球と大差ない印象。いったいどこが壊れてダメになるのか、分解調査してはっきりさせる。
中華製(ドリス)8Wの場合
故障の症状は、点滅。
グローブ(半透明の光るところ)を切り取ったところ。LEDが20個使われている。
LEDを取ると中の基板が見える。コンデンサの被覆がパリパリになっている。
大きい方の電解コンデンサの防爆弁に膨れが見られる。小さい方の被覆もパリパリ。
基板裏。黒く変色している。この様子からすると、かなりの高温になっていた模様。
コンデンサを測ってみる。2.2uFあるはずの容量が、半分以下になっている。
膨れがあった方の容量。公称200uFだが、0.2uFしかない。完全に壊れている。点滅の原因は、コンデンサの劣化(容量抜け)だった模様。
パナソニック製10Wの場合
故障の症状は、切れ(点灯しない)。
グローブ(半透明の光るところ)を切り取ったところ。リフレクターのレンズがある。かなりコストがかかっている印象。
LEDの基板。白く塗られた塗料の表面が、微細なヒビだらけ。テスターであたると導通が無い。LEDは14個、すべて直列結合なので、どれか1個でも切れたら点灯しなくなる設計。
本体側。照明器具に付けて電気を入れると電圧が来ている。
最初に分解した中華製LED基板を付けてみると点灯。本体側は壊れていない。
調査結果
中華製LEDの観察結果から、「点滅」は電解コンデンサの劣化、パナソニックの結果から、「点灯しなくなる」は、LEDチップの断線だった。いずれも「熱」が関係して起きた故障と見られる。
すぐに壊れてしまう原因
これらの部品は、温度が高いところで使うと急速に寿命が短くなることが知られている。1800時間もった、ということは、アレニウス則より40℃さげて使えば、公称寿命に到達する計算になる。3万時間持つ、というのは、常温で使った場合の話なのだろう。
現在のLED電球は放熱に課題がある。実際、LEDを点灯すると、触っていられないくらい熱くなる。登場したころのLED電球は電球本体が金属でできていた。これは放熱のためだが、コストダウンの過程で樹脂に置き換わり、寿命が犠牲になったと考えられる。
対策はあるのか
LED電球を本来の時間持たせるには、放熱を良くするしかない。そのための手段は限られている。例えば、プレートの裏を断熱して、本体を通気する方法が考えられが、40℃下げるのは容易でない。
長持ちする電球が欲しかったら、放熱が良いもの、つまり本体が金属でできているものを選ぶ必要がある。
とはいえ、LED電球は、安くなった。例えば今回切れたドリスの製品は、4個セットで1個あたり600円程度。これを1年保障(返金対応)するので、1年以内に切れたら返金。1年すぎて切れたら予備と交換で問題なく運用できる。
<参考購入先>
ドリスの製品 とにかく安い、LED電球
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