「子供が活躍する姿を撮りたい!」ところが、うまく撮れなくてガッカリすることがある。なぜ失敗するのか。どうすればうまく撮れるのか。カメラの選び方から撮影のコツまでのすべてを紹介する。
運動会の撮影でよくある失敗
運動会の撮影をした人の多くは、次のことを経験したに違いない。
・子供を見つけられなかった
・遠すぎて小さくしか撮れなかった
・ピントが合わせられなかった
・液晶画面が見えなくてフレーミングができなかった
・動画を撮っていたら手がしびれた
・動画を撮っていたら電池が切れてしまった
・前の人の頭が邪魔だった
以下、順番にご説明する。
子供が見つけられない
「まさか、自分の子供がわからないなんて・・」最初は皆、この予想もしなかった問題に直面しあわてる。広い運動場の中、トラックの反対側にいる自分の子供が見つけられない。皆同じ格好なので顔と髪形で区別するしかないが、視力2.0でも見えない。
徒競走は進行が早いので、気づいたときには遅い。シャッターチャンスを逃してしまう。最悪、自分の子供を見逃したまま競技が終わってしまうことも。
この問題を改善するためには双眼鏡が必要。使いやすい倍率は7~8倍。これ以上倍率が高いと視野がせまくなりかえって使いづらい。
遠すぎて小さくしか撮れない
望遠端が100mm程度の標準ズームは役に立たない。広い運動場で子供の表情を捉えるには、200mm以上の望遠がいる(35mm換算)。体育館で行われる学芸会でも同じ。
屋内の学芸会では明るさが問題になったが、最近のカメラは性能が良くなり問題なくなった。
ピントが合わせられない
徒競走でトラックを回る子供は刻一刻距離と位置が変わる。これにピントを合わせるのは相当難しい。
ミラーレスやコンデジに搭載されたコントラストAFは応答が遅い。私は昔、MFの置きピン+連射で確率に頼る難しい撮影をしていた。
ここは位相差AFを搭載したデジ一眼が有利だが、ぶっつけ本番でうまく撮れるものではない。交差点を曲がるクルマなどを練習台にした事前の訓練を勧めたい。
フレーミングができない(液晶画面が見えない)
晴天の屋外では液晶画面がほとんど見えない。「このあたりだろう」という想像でカメラを向けるしかない。
ここは光学式ファインダーが圧倒的に有利。
ファインダーがあっても電子式ファインダーは表示に遅れがある。動くものが良く見えなくて子供を見失うことも。ミラーレスは電子式ファインダーが一般的なので、店頭でカメラを振ってよく確認することが大切だ。
動画を撮っていたら手がしびれた
10分程度の競技を終始手持ちで撮るのはきつい。支えていられなくなって、途中で断念せざるをえないことも。
何か支えが要るが、三脚は周囲に迷惑。ここは一脚を持参したい。
動画を撮っていたら電池が切れてしまった
動画撮影の消費電力は静止画と違ってかなり高い。撮影中に電池が切れてしまうことはよくあるトラブルだ。予備の電池を持つとともに、出かける前にフル充電しておく。
前の人の頭が邪魔
いつもよい撮影ポジションを確保できるとは限らない。陣取り合戦に参加するより、小さな脚立(踏み台)を持参して一番後ろで構えた方が楽だ。
学校イベントに適したカメラ
以上まとめると、200mm以上をカバーする望遠ズーム付きとなる。運動場は砂塵が舞うので、できれば防塵防滴が欲しい。学校イベントだけに一眼を買ってもあまり使わないことが多い。年に数えるほどしか使わないのなら、レンタルを検討して欲しい。
写真は私の運動会撮影装備。200mm望遠ズーム付カメラ(ニコンp7700)、一脚、双眼鏡、脚立。最低限これだけ必要。カメラだけ持ってプラプラ出向いたところで上手く撮れないのは当たり前。
p7700は防塵防滴でないので、小雨や風の強い日は持ち出しをためらう。運動場にカメラを持ち込むと砂塵ですぐ埃だらけ。
2019年のお勧め
防塵防滴+望遠+光学ファインダー。この条件で探すとDMC-G8、オリンパスのOM-Dシリーズ(E-M5 markIIまたはIII)が候補になる。
場所取りのコツ
運動場ではゴールの近くで待ち受ける、のではなく、そこから下がって脚立を立て、望遠で狙う。
体育館では不毛な場所取り合戦を避け、一番後ろの壁際に脚立を置いて陣取る。
一脚でカメラを支えるが、ストラップを首にかけると3点支持になり安定する。
一番後ろに設置した脚立(上の写真)に立って見た前景。ステージまで遮るものは何も無い。視界良好。ここでも子供の位置を確認するために、双眼鏡が必要(カメラの液晶モニタではよく見えない)。
体育館の動画撮影は200mmの望遠が便利。子供の表情を捕らえるには300mm以上の望遠が必要。体育館の撮影ではDレンジの狭いコンデジは不利で階調に問題が目立つ。綺麗に撮るにはフォーサーズ以上のセンサーが乗るカメラが必要。
所詮は自己満足か
苦労して撮った写真を、後になって鑑賞する機会はほとんどなかった。子供が成長後、自分の写真を見るかというと、それもない。ビデオカメラで撮ったものは、まず見ない。長時間の動画は編集が必要になるが、ほとんどが撮りっぱなし。
ではなぜ、みんな運動会の写真を撮るか。それはおそらく「撮りたい」からだろう。撮ったら目的を達成するので、それ以上のことはしない。運動会の撮影はクルマの洗車同様、自己満足にすぎないのかもしれない。
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