掛け時計の選び方

 前回の目覚まし時計に続いて、今回は掛け時計を選んでみたい。掛け時計は腕時計などと違ってインテリアの一部だから、デザインが重要な選択要素になる。

 

掛け時計の課題

 いまや時計の機能精度は十分になり、現状の商品の問題はデザインが主体になっている。具体的には次の問題が見られる(奇妙な形のインテリア時計は除外)。

1.サイズが大きすぎる
2.文字盤のデザインがおかしい(数字の書体)
3.色の選択肢が少ない(枠の色)

 沢山商品があるのに、サイズ、書体、色でアンド条件をとると候補が無くなって買えるものがない。なぜこんな状況になっているのか。
 おそらく、メーカーの多くは時計は上手に作れてもデザインやコーディネートが苦手で、用途や目的に応じてラインナップする力が無い。誰に売りたいのか、どのくらい売れるのか、計画できないから、いろんなデザインの商品を適当に数多く作って「この中から選んでね」といった売り方になっている。

 このような「数撃ちゃ当たる」戦略では選ぶ方が大変だ。私たち消費者は、沢山の使えない商品の中から、役に立つものを掘り出さなければならない。

 時計を見た目だけで選ぶと設置したとき違和感を感じることが多い。「失敗した!」そうならないための選択のポイントを以下にご紹介したい。

 

時計のサイズ

 時計のサイズは設置する空間に合ったものを選ぶ必要がある。6~8畳の部屋には24~28cmが適当で、30cmを超えるものは学校の教室や店舗などの広い空間に適合する。6~8畳の部屋に30cm以上の時計を設置すれば、大きな存在感から圧迫感を感じる結果になる。
 市場の商品は外径33cm前後が多く、一番使いやすい24~26cmの商品が少ない。

 

文字盤のデザイン

 数字の書体が日本の一般的室内にマッチしない商品が多い。書体は置かれる環境のインテリア性にあわせて選ぶ必要があり、一般に次の相関がある。

楷書、明朝、洋書(細め) ← 書体(太さ) → 角型、ゴシック(太め)
高い(リビングなど) ← インテリア性 → 低い(オフィスなど)

針の形状は書体に合ったものを組み合わせるのが普通で、例えばゴシック調の文字には角型の針になる。

 文字盤の色は通常、設置する壁の色に最も近いものを選ぶ。一般に、時計の存在はあまり目立たずに時間だけ教えてくれる道具でありたいはずだ。壁と違った色を選ぶのは、時計をインテリアのアクセントとして使う場合に限られる。

 

枠のデザイン

 枠の色は周囲の家具などに合わせて選ぶ。そのために通常は、同一機種にホワイト、ブラウン、ダークブラウンの色違いが必要になるが、残念ながらそういうラインナップの商品はない。
 家具が少ない場合は「活動の度合い」によって選ぶ。以下がその例で、時計に限らず最初の家具を導入する場合についても同じことがあてはまる。

活動の度合いと時計の枠の色との関係

活動の度合い 場所 適合する色
高い オフィス、キッチン ホワイト、メタリック、シルバー(金属枠)
リビング ホワイト、ブラウン
和室、個室(子供部屋など) ブラウン、ダークブラウン
低い 書斎、寝室 ダークブラウン

 

 枠の太さは上述したインテリア性に影響し基本的に次のようになる。

太い ← 枠の太さ → 細い
高い(リビングなど) ← インテリア性 → 低い(オフィスなど)

 前項の書体と合わせて考えると、書斎や寝室に適したダークブラウンに対し、オフィスに適したゴシック書体の組み合わせはマッチング的におかしいことがわかる。こういうデザインの時計は「何所に置くことを想定して作られたかわからない」奇妙な商品だ
 他、枠に余計な装飾やアクセントが付くものが見られるが、時計は文字盤が主役なので、これらの装飾は無いものが望ましい。

※ダーク系のインテリアでまとめられた役員個室や会社応接室ならマッチするが、すごくニッチなセグメントだ。

<遺伝子の記憶>
 インテリアは通常ブラウン系が好まれ、活動の度合いに応じて明度だけがパラメーターになるのはインテリアデザインでは共通するようだ。ブラウン系がなぜ多く選ばれるのかについて、私は人の肌と同系色であることに関係があると考えている。人間も動物と同じように、肌と同じ色(保護色)で囲まれると本能的に落ち着くのだろう。遠い昔の遺伝子の記憶なのかもしれない。

 

設置場所

 壁に設置される時計はインテリア全体のバランスに影響する。室内どこからでも見える場所にアタリをつけたら、窓枠やエアコン、周辺家具とのバランスを考慮して設置位置を詳細に検討する。誰かに時計を持ってもらい、壁に当てた状態で遠くから眺めると判断しやすい。

 枠が円筒形のものは、壁に密着に近い形で設置できると見た目がすっきりする。ムーブメントの出っ張りが大きく、壁と1cm以上隙間が空いたり、傾斜した形でしか設置できないものは避ける。枠が円盤型のものはこの問題が目立たない。

 

運針

 ステップ運針のムーブメントは「コチコチ音」が出る。静かな環境が求められる寝室ではこれが問題になるが、最近は暗くなると秒針が止まる仕組みを備えた商品が多くなり、ステップ運針を気にする必要はなくなってきた。

 ステップ運針にはメリットもある。後述するように朝、特定の時間で動き出す仕組みを持つ商品は目を開けなくても音の有無で時間を知ることができる。 また、睡眠中は聞こえないので、「悪夢」に悩む人はコチコチ音の有無を意識することで現実と夢を区別できることがある。

 

お勧めの掛け時計

 以上の条件を参考に選択した一般室内にマッチする時計をご紹介する。選択肢はとても少ない。レムノス、リズム、カシオに1~2種あるだけで、セイコーはゼロだった。

 

DSC01438 Lemnos LC10-21W 外径25.4cm。14畳のリスニングルームに設置。外枠はプライウッド。連続運針の電波時計。プラスチックを多用した量産品にはないクラフト感と芸術性がある。子供部屋などの個室に適している。赤い秒針のアクセントがオシャレで女性の部屋にもマッチする。枠は木の質感を生かして薄くクリアー塗装されている。

 

 文字盤が奥にあるせいで正面から45度以上角度が付くと下の数字が隠れて見えなくなる。下から見上げる設置は向かないので注意。ムーブメントの出っ張りが大きく壁との間に4~5mmの隙間が空く。

 芸術性をもつ時計だけにリファインが足りない部分が惜しい。枠の太さと厚みのバランスが気になる。太さ20%増、奥行きを15~20%薄くしたい。 デザイン違いにLemnos AWA13-05 があり視野角の問題が少ないが、時針のアクセントが適合を狭くしている。

 

 

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 リズム時計 スタンダードスタイル101 外径28cm。連続運針の電波時計。外枠はプライウッドだがウレタン塗装のツヤ仕上で木の良さが生かされていない。色はブラウンとナチュラルがある。左の写真はブラウンを寝室に設置したところ。ブラウンは明度が低すぎて黒に見え、ナチュラルは逆に明るすぎる。もう少し明度を研究してもらいたい。

 右の写真は同機種のナチュラル色をレムノスと並べたところ。クラフト感あるレムノスとは違って工業製品らしい仕上がり。枠の外径奥行厚みなどの寸法比はリズム時計の方がバランス良く作られている。

 

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 裏面。リズム時計は樹脂製、レムノスは文字盤も木製で、外枠に対して小さな木ネジを4個斜めに打つだけの簡単な構造。
 リズム時計のムーブメントは薄く、壁に対しほぼ密着して設置できる。さすがに歴史あるメーカーだけあって細かい部分の作りが洗練されている。

 

 

 

 

DSC01443aカシオ プログラム時報 IMF-200J 外径32.5cm。大型なので設置場所を選ぶ。我が家でこのサイズを違和感なく設置できるのはリビングの吹抜け壁面のみ。設置高さはセンチ単位で微調整してこの位置に決まった。存在感が控えめで周囲と違和感無く調和している。

 

 この時計は特定の時間に音楽を鳴らすことが可能。我が家では7時、12時、21時にペールギュントやノクターンなど、時間にふさわしい音楽を鳴らす設定で使用。吹き抜けの空間に優しい音楽が響き渡り、時報のある暮らしを実現できる。音質も悪くない。

 

DSC01503 カシオ インテリア電波クロック IQ-1060 外径26.8cm。細めの書体と、書体に合った細い針を組み合わせていて見た目のバランスが良い。
 運針はステップだがコチコチ音がほとんど聞こえない。存在感が控えめのため何処でも違和感なく収まる。

 

 色違いにブラウンもあって、書斎や寝室に適合する。アレコレ選ぶのが面倒な人は本機のホワイトとブラウンを必要な数だけ買って終わりにするといい。値段も手ごろでお勧め。

 

その他

 カシオ 常時点灯機能付時計 IQ-1050,1150シリーズ 

常夜灯の点灯時間を明暗ではなく、22時~朝6時など時間で設定できる時計。コチコチ音はやや大きめだが、点灯中は秒針が停止して音が出ない。これにより6時付近に目が覚める人はコチコチ音の有無によって目を開けずに6時前か、6時過ぎたか知ることが出来る。我が家の寝室の時計は長い間これだった。
 難点は30cm以上の大きな商品しかないため個室や寝室に設置しずらいこと、電池が単二2本で消耗が早いことが挙げられる。

 

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 エンペックスの温度湿度計。時計が決まったらこういう小物も同じ色をセレクトすると統一感が出る。この機種はEX-2747(シャインシルバー)でインテリアに使える数少ない商品。

 

 

 デザインのような「感性」の世界に正解はない。しかし「それだけはやめて」といったミスマッチや、「こうすべき」といったセオリーは存在する。それは時計に限らず、カーデザインや家電、日曜品などすべに共通する。この記事が皆さんの時計選びの参考になれば幸いだ。

 

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