ベッドの選び方~激安通販の落とし穴

 大抵の消費者は見た目と値段でベッドを選び、構造や強度のことに目が届かない。今回は子供のベッドを新調して、気づいたことをご紹介したい。
 ベッドを作るメーカーは多く、膨大な数の商品が市販されている。値段はピンキリだが、ここでは比較的安価な10万円未満の商品について扱う。

 

 

ベッドの材質

 大きく分けてMDF、スチール、天然木がある。
 MDFは寸法精度が高く安価なため広く使われている。欠に強度の高い締結が難しい点があり、ベッドに限らず現行の組立式商品のほとんどがこの問題を抱えている。
 表面仕上げはプリント化粧紙、突板、塩ビシート、メラミンなどいろいろあるが、ベッドの場合、傷や水に対する耐久性は求められないので見た目で選んで差支えない。
 MDFはクリープする(荷重で次第に曲がってしまう)欠点があるが、縦に床まで接する使い方であれば問題ない。

 スチールの機械的強度は木材に比べて高いが、肉厚の薄いパイプ状のフレームが使われるため木材より必ずしも頑丈ではない。組立式の商品はフレームの肉厚に注意したい(後述)。

 天然木はパイン、ヒノキ、ラバーウッド(集成材)などが使われている。天然木のベッドは魅力的だが、クリア塗装の商品が多くインテリアマッチング(次項)でほとんどが候補外になってしまう。パインは節の個性が強いほか色の経時変化が大きいため、床や壁がパイン仕上げの室内に限られる。
 天然木の商品は自分で自然塗料仕上できる。無塗装、もしくは自然塗料仕上げの商品が欲しいところ。

 

インテリアとのマッチング

 木製のベッドは存在感が大きいため、インテリアとのマッチングが重要になる。フレームの色は、基本的に寝室にはダークブラウン、個室では床の色に合わせる(ブラウンが多い)。
 背の高いロフトベッドの場合は壁の色に合わせてもよいので、壁紙の色(白に近いベージュ)も候補になる。
 骨組みの細いスチールベッドは存在感が小さいので、シルバーや黒を選んでもさほど違和感はない。

 

ベッドフレームの構造と強度の確認

 基本的に、フレームを構成する部材の「高さ」が大きいものほど、足の本数が多いものほどよい。
 4本足のベッドは構造的に弱く、たわみが大きい。長手方向に足を追加して6点支持になっているものを選びたい。MDFの場合は床まで届く縦リブあり上から見て「三」または「田」の字に配置されていればよい。

 4本足のベッドを選ぶときは注意がいる。モノサシを持参し、ベッドの端に腰掛ける前後で床からフレームまで高さの変化を測り、これが5mm以下(木製、鉄で共通)になることを確認しほしい(6本足では許容たわみが1mm以下になるので定規では強度の判別は出来ない)。

※:体重60kg、木材のヤング率 9MPa、木材の長期許容応力 10Mpa(鉄は160Mpa)[1][2]として安全率をさらに1.3乗じたときの許容たわみ。

 スチールベッドでは中央にU字型のサポートを設けたものが多い。これは細い角パイプだけで2m近いスパンの支持に無理があるためだ。

 

組立式のメリット、デメリット

 組立式のメリットに分解が容易な点がある。比較的低予算で導入でき、子供の成長や進学に合わせてベッドを部屋から部屋へ、部屋から別の場所(下宿先など)へ容易に移動できる。
 デメリットは完成品の強度が弱いことで、主な弱点は結合部にある。ここはカムロックや薄肉パイプに通しボルトが主だ。手締めで潰れていくスチールパイプやカムロックでは、バラバラにならない程度に付いているだけの接合しかできないから、振動や繰り返しの外力で簡単に緩んでしまう。

 締結部の構造やパイプの肉厚などの重要なスペックは事前にわからないことが多いが、製品重量が一つの参考になる。すなわち出来る限り重いものを選ぶことで失敗のリスクを減らせる。メーカーは国内製がよく、製造元のはっきりしない激安商品は避けた方が無難だ。

※昔の組立式家具は木ねじを使った結合が普通で、木工用ボンドを併用すれば市販品と同等の強度が得られた。しかしねじ込みに力が必要で、一般消費者の組立は難しく感じることが多かった(ねじの潤滑に固形石鹸が欠かせなかった)。カムロックが増えたのはそんな事情があるのかもしれない。

 

 OAデスクも椅子もそうだが、通販の安い組立式家具は販売業者が組立をせず、耐久性や問題など検証してないことが多い。実際組立てたり、使ってみると、様々な問題が出てくる。ちゃんとしたモノにする場合、ある程度の改造をDIYでやる必要が出てくることを覚悟して欲しい。
 接合部の強度はエポキシ接着剤やビス、木工用ボンドで強化できる。後で分解する予定が無いなら、ガチガチに接着してしまうことで完成品と同等の強度を得ることも可能だ。スチールパイプは溶接するしかないためDIYによる補強は難しい。

 

機能

 宮棚(頭付近のちょっとした置台)は目覚まし時計やケータイなどを置くのに便利なので是非付けたい。コンセントも便利な装備だ。宮棚の小さな引き出しや照明などはあまり役に立たないことが多い。
 ベッド下の引き出しは収納に便利そうだが、奥行きが少なく(通常ベッド幅の半分以下)、高さもないので収納量は小さい。シーツや枕カバー、蚊取り器など小さくて軽いものに限定される。

 

マットレスの選び方

 厚み15cm~20cm、金属のポケットコイルを並べた構造がよい。体が横を向いていても肩の凹凸に合わせて変形するので体圧が均一に分散しやすい。
 突起をたくさん並べた形のウレタンマットレス(西川のムアツなど)も同じ特性を持つが、ウレタンは劣化やヘタリが問題になりやすい材料なので注意が必要だ。

DSCN0897 写真は我が家にある西川のムアツ布団(当時購入価格8万円)。突起の形状は独特で底面にも切れ込みがある。

 このマットを買うとき「単なるウレタンが何で8万!?」と思ったが、13年すぎた今も劣化やヘタリもなく問題なく使えている。季節を問わず快適。突起が体の凹凸にあわせて凹み、体圧が分散するためと見られる。

 

 

 マットレスを沈めて使う箱型タイプのベッドでは、マットレスを敷かずカラーボールを充填してボールプールにする手がある。ボールプールは三次元的に自由な姿勢で寝ることが可能な新しい寝具だ。

 

実際の例

DSCN0890 今回購入した組立式ベッド。 ラテ  エスプレッソ S (販売元:㈱ビッグスリー) 。ほとんどのパーツ表面がメラミン化粧仕上げされている珍しい商品。パーツはMDFだが部品にソリもなく仕上げ加工精度ともに高い。

 写真の宮棚は目覚まし時計や小物を置く便利なスペース。手前の板を上下反転して箱状に組んでみた。この形はモノが落ちないので使いやすい。

 

DSCN0889

 荷重のかかる重要な結合部は金属金具だが、なんと両方バカ穴の突合せ。ダボも目印もないため位置が決まらないうえ、荷重をネジ頭のせん断摩擦だけで保持するダメな設計。この商品の最大のウイークポイント。

 

DSCN0881 ベッドフレームは田の字の格子構造。全部バラバラ部品の繋ぎ合わせなので組み立て後の直角平面が出ない。上板はリブ3本入ったペナペナの板切れ。寝返りをうつたびにフレームとスレてキシキシいう。このあたりがDIYによる改善ポイントになる。

 この商品、収納の引出しだけは頑丈。底板に補強リブがあり、重いものを入れることが可能。

 

 

<参考購入先>
ベッドフレーム
ポケットコイルのマットレス
西川のムアツ寝具
フランスベッド 高級ブランドですが比較的安価な商品もあります
エポキシ接着剤 硬化速度が遅いものを選んでください

<関連記事>
OAデスクの選び方
ボールプールは究極の寝具か
整圧ふとん&ムアツまくら 買ったときの記事です

<参考文献>
1.針葉樹構造用製材の許容応力度
2.鉄骨関係許容応力度

<メーカーサイト>
ニトリネット
イケア
フランスベッド
山善
無印良品

 

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