睡眠負債を解消する~寝具の理想と枕の選び方

 自分に合った枕を探してさまよう人は多いという。

「何回買い替えても合う枕がない」「何年も探しているが、見つからない」

 能書きを読んで、レビューを読んで、「これなら間違いない」と思って買っても失敗する。「値段が高いモノは、いいはず・・」そう思って高い枕を買っても結果は同じ。

 

 ネットで枕選びについて調べると、「額から顎にかけての角度が5度」「横向きの時は背骨が真っすぐ」とか難しいことが書かれている。確認が難しい情報は、参考にならない。

 沢山ポケットがついていて、自分でいろいろ調整できるように工夫された商品がある。「詰め物」もいろいろ選べる。これは明確な解が提案できないことの裏返し。組み合わせは膨大になる。これを買った人が自分で試行錯誤して答えを見けられる可能性は低い。

 身体を測ってオーダーメイドする専門店がある。それでも自分に合う枕ができるとは限らない。オーダーメイドの落とし穴にベッド側の沈みがある。これを計算に入れないと、枕は設計通りの高さにならない。これは販売店も気づいていて、枕と一緒にマットレスを買わされてしまうことがある。

 アマゾンには大量の枕が並ぶ。形状にも材質にも、たくさんの種類がある。それらは多数の被験者を使って、長期試用したデータをもとに設計したものではない。大半が単なる思い付きか他社のマネ。

 ガラクタの山の中から、使えるモノを見つけるためには、いくつかのポイントを押さえる必要がある。今回はこれをご紹介したい。

 

理想はやはりボールプール

 いい枕が見つからないなら、枕をなくしてしまえばいい・・

 以前そう考えたことがある。そこで、寝具の理想はボールプールだと書いた[1]。ボールプールには枕という概念はない。

 ポールプールの気持ちよさは、遊具広場のそれに寝てみればわかる。ボールプールでは、個々のボールが「ばね」として働く。カラダを乗せると、カラダの形に合わせてボールが移動するが、その後は個々のボールが反力を発揮して多点で体を支える。

 仰向けでも、横向きになっても、手足の先までそれが機能するから、体のどこにも負担がかからない。これが、寝ていて気持ち良く感じる理由に違いない。

 

低反発の問題点

 ボールプールに似た構造のものに、ビーズクッションがある。ボールプールとの違いは「低反発」。無反発に近い。ビーズクッションはカラダの形に合わせて中のビーズが移動するだけで、体を支える力が働かない。

 そのため、ビーズクッションに長時間座っていると、体の一部が圧迫されて不快に感じることがある。

 ビーズクッションは低反発の代表。大量のビーズの中に落とされたら、底なし沼のように沈んでいくはず。支える力に乏しいクッションは寝具に適さない。

 およそ低反発と呼ばれるアイテムには、同じ問題があると考えていい。枕やベッドなどの寝具に関しては、少なくとも低反発でない商品を選ぶ必要がある。

 

「柔らかさ」と「低反発」は違う

 「柔らかさ」とは潰すときの反力の大きさで決まり、「低反発」とは、潰したものが元に戻ろうとする反発力をいう。各種材料を反発力の大きさ順に並べると次のようになる。

 

(高反発)← 金属ばね 樹脂繊維(エアウィーヴなど) 発泡ゴム(ラテックス) 発泡ウレタン わた・羽根 ビーズ・パイプ そば殻 ジェル 粘土 →(低反発)

 

 低反発は潰すときの力に対して戻りの反力が弱い商品。柔らかくても潰す力と戻りの反力が同じくらいなら高反発になる。

 高反発か、低反発かは、触ればわかる。押し込んでゆっくり戻る商品は低反発。スッと戻る商品は、低反発ではない(高反発)という風に判別できる。

 上記の材料で低反発に該当するものを除くと、枕の材質の候補は、樹脂繊維、ラテックス、発泡ウレタン(低反発加工していないもの)のどれかになる。

 

エアウィーヴなど繊維系の問題点

 繊維を絡めた構造は広範囲に繋がっているので、1カ所押すとそれに引っ張られて周りに傾斜ができる。多点で支えるボールプールのボールや、ムアツの突起、独立したスプリングで構成されるポケットコイルとは正反対の性質だ。

 寝具の理想は、押したところだけが凹んで周囲が変形しない状態。つまり体の形に合わせて凹むこと。リンゴを置いたらリンゴの下だけが凹んで、周りは動かないことだ。

 周りが変形すると体圧を支える力がうまく働かず、腰や首に負担を生じる可能性ががある。

 

ウレタンに注意

 ウレタンには、ポリエステル系とポリエーテル系があり、ヘタリなどの耐久性にかなり差がある。

 クルマのシートや業務用OAチェアに使われているウレタンは「ポリエーテル系」。寝具もポリエーテル系を選ぶ必要がある。ポリエステル系は半年くらいでヘタる使い捨て消耗品。

 ポリエーテル系か否か、商品に明確な表示がない場合が多い。メーカーに聞くと教えてくれる場合があるが、不明な場合は買わないほうが無難。

 

枕の形状はここだけ!

 世の中にはいろんな形の枕があるが、枕の形状で一つだけ有効といえるものがある。それは首の左右に設けられた出っ張りだ。

 写真は首の左右に出っ張りのある枕の例(HONORS ラテックス高反発枕 HTM1410K)。「そら豆型」ともいわれる。

 人が寝返りを打つとき、丸棒のように真横に移動するのではなく、頭が円を描く。これは腰が「く」の字に曲がるため。

 肩の部分に出っ張りがあると、そのように動いたとき頭が枕から外れにくい。

 

 

 写真の商品は中央が若干窪んでいて、そこに頭を乗せると、出っ張りがちょうど肩に触れるよう位置決めされる。首の下に隙間も空かない。一見シンプルな形だが良くできている。「寝返りで頭が外れにくい」ことがこの枕の隠れた商品価値。

 窪みの深さも適切。ここが深すぎる枕は頭が落ち込んでしまい寝返りしずらくなる。

 材質は発泡ラテックス。モッチリした感触で柔らかい。通気性はまあまあ。高さは約10cm。最初高すぎると思ったが、結構潰れるので使った感じはちょうどいい。

 洗えるという触れ込みだが、カバーにファスナーが見当たらない。おそらくカバーごと丸洗いになる。

 通気性を重視する場合は西川のムアツに似たイボのあるこちらこちらの方が良いはず。

 

結論~理想の枕

 結局枕は次の条件を満たすものを選べばよいと、今は考えている。

1.低反発でないもの(高反発)
2.そら豆型
3.柔らかめ
4.ラテックスorウレタン(ポリエーテル系)
5.表面は平ら。窪みがあっても数センチ以内。

 上で紹介したHONORS ラテックス高反発枕 HTM1410K。がこの条件を満たす。

 よく問題になる「高さ」はどうなのか。柔らかめの高反発は、頭を乗せたとき自然に楽な位置まで潰れてくれるので、高さがシビアでなくなる。あまり気にしなくてもよさそうだ。

 

<参考購入先>
そら豆型の枕 ラテックスが上記条件を満たす枕です

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