なぜ液晶テレビの裏に無駄な空間があるのか~小型テレビの選び方

 1台大型テレビが入ったら次はパーソナルユースに小型TVが売れるのではないか。ここではゲーム機やパソコンとの親和性が求められるが、機能的に満足する小型TVが市場にほとんどない。

 

魚のいないところで釣りをする

 大型TVが入った後、さらに大型TVを売ろうとしている。これは魚のいないところで釣りをしているようなもの。

 大型が一巡したら、次に売れるのは32型以下の高機能パーソナルTVではないだろうか。ところが、ほとんどのメーカは大型テレビや4Kなどに力を入れていて、32型以下は機能に乏しいローコストな商品しかない。

 32型以下ではFullHDを探すのが困難になっている。最近のゲーム機はFullHDや5.1chサラウンドをサポートするので、FullHDで繋がないとせっかくの精細度が落ちてしまう。

 価格COMでFullHD,IPS,ARCのアンド条件で検索するとLGのテレビしかヒットしない。国内メーカーは全滅。

 

 

32インチパーソナルシステムの例

 LG LB5810は、32インチのサイズで IPS,フルHD,HDMI ARC を備えた唯一の商品(2014年現在)。このTVを中核にパーソナルシステムを作ってみた。

32インチテレビを使って構成したパーソナルミニシアター 写真は我が家にあるLGの32型テレビを中核にしたパーソナルAVシステム。FullHD、HDMI ARCを搭載。プレステとAVアンプ(ヤマハ RX-S600)に接続して5.1chサラウンドでゲームが楽しめる。

 

 

スマート機能

 LG LB5810はネットに接続して様々なことができる。とりわけDLNA機能の使い勝手がよく、あらゆるメディアを統合した再生環境が作れる。

 DLNAは他社のテレビにも付いてる機能だが、作り込みが中途半端なものが多い。「一応出来る」のと「使える」のとでは違う。LGのテレビはこの手の機能がよく作りこまれていて本当に使えるものになっている。

 

LG 32LB5810のDMP機能を使って音楽を再生している様子

 左の写真は音楽再生時の様子。選曲機能が大変使いやすい。再生中は自動的にスクリーンセーバーが作動。画面を消灯しておくこともできる。

 写真についてはBGM付きで本格スライドショーも可能だ。

 

 

PCモニターとして

 LG LB5810はフルHDなのでパソコンのモニタとしても活用できる。DLNA機能を使えば再生プレーヤーも必要ない。プライベート空間に1台、ディスプレイを置くとしたらこれで決まり、といえるくらいの出来だ。

 

消費電力

 パーソナルユースでは消費電力が小さいことも重要。このシステムではTV視聴時42W、AVアンプ 26W、サブウーファ 6W 合計74Wだった。AVアンプはデジタルアンプにすることでかなり低減できる。

 


 

薄型テレビの音質は破滅的な状況が続く

  32型以下でまともな音の出る機種はほとんどない。DLNAで動画や音楽を楽しんだり、プレステなど5.1ch出力できるゲーム機を繋ぐと小型のAVアンプが欲しくなる。ところが、AVアンプの市場は無駄に出力の大きい大型商品が多い[1]。冒頭でご紹介したRX-S600は小さい方。

 サブウーファーもできれば欲しいアイテム。写真では左の隙間にヤマハ NS-SW210が置かれプレステの台になっている。性能とサイズは問題ないが、電源連動機能が無いので電源連動機能付きAVタップが必要になっている。改善の余地があるところ。

 

テレビの裏側スペースを活用する

 パーソナルユースに32型を置いてもアンプやらサブウーファやらでスペースをとられては意味がない。これらを配置する最適な場所がテレビの裏側にある。

 ほとんどの人は壁掛けなどしないから、裏側に空間ができる。ここを利用しない手はない。壁掛けは視聴位置が遠ざかるので見かけの画面サイズが小さくなる。ケーブル処理の問題もあって実用的でない。ほとんどの人がテレビ台と併用しているはずだ。

 

テレビ裏側の空間 写真は32型テレビの裏側。20cm以上のスペースがある。

 テレビの奥行きが20cm伸びれば、十分なサイズのスピーカと、サラウンドプロセッサ、6chデジタルパワーアンプのほか、サブウーファーまで内臓できそうだ。

 

 

 

 「液晶テレビは薄くなければならない」なんて決まり事はない。薄さにこだわると設計に大きな制約を受ける。薄さとスピーカの音質は相容れないし、搭載できる機能も限られてくる。テレビを厚みを見直せば、新しい新商品が作れそうだ。

 パーソナルユースのボリウムゾーンは22~32型あたりと見られるが、現在、このゾーンにマシな商品は一つもない。高画質テレビをダウンサイジングして奥行き寸法を見直し、これまでにない機能を搭載した高性能、高画質テレビの登場を期待したい。

 

<参考購入先>
LGのテレビ
20-34型のパーソナルテレビ

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