過酷な使われ方をするファスナーやスナップボタンは長く使ううち調子が悪くなる。これらには寿命があるが、それは「仕方ない事」と考えていて長持ちさせる方法があることを知らない人がほとんどだと思う。
修理に出すとどうなるか
ファスナーやスナップボタンは修理(交換)できる。ところがブランド物を修理に出すと高くつくことが多い。オリジナルにこだわらなければ安く上がるが、価値が半減してしまう。
3万円に満たない商品は修理に出す価値がない。そのためほとんどの財布や鞄が、ファスナーやスナップボタンが壊れたらそこで終わりの使い捨ての消耗品になっている。
サイフも鞄も、本体のモノがいくら良くてもファスナーやスナップボタンは安い商品と変わらないことがある。高い商品は持ちがよいとは限らないのが実態だ。
ファスナーやスナップが痛むのはなぜか
ファスナーやスナップに寿命があるのは、素材同士が擦れあい摩耗するため。するとその対策は「潤滑」になる。
適切に潤滑すれば、その寿命を鞄やサイフ本体より長持ちさせることができるはず。高額なブランド品も「オリジナル」のまま、ずっと調子よく使えるはずだ。
壊れてくれないと儲からない?
ファスナーやスナップは、財布や鞄のウィークポイントの一つ。ところが、ここを長持ちさせるためのアドバイスが見つからない。壊れてくれないと買い替え需要を喚起できない。そんな商売上の都合があるのかもしれない。
使える潤滑剤の候補
ファスナーやスナップに使える潤滑剤には固体潤滑剤と、オイル、グリースがある。固体潤滑剤にはパラフィン(蝋)や二硫化モリブデンがあるが、パラフィンはすぐに摩耗脱落し、二硫化モリブデンは服を汚す。
オイル・グリースの類は拡散流失や蒸発、酸敗の問題がある。シリコン系は表面張力が低いのですぐに拡散流失してしまう。
一度塗布したらずっとそこに留まって、潤滑し続けてくれるオイル。そんなものが理想。その候補の一つにRational003がある。
Rational003はポリαオレフィンベースの良質な半練オイル。素材にやさしく、拡散、蒸発、酸敗の心配がない。塗布すればすべりの良さを直ちに実感でき、磨耗を防止する。
ファスナーは引手が折れてしまうとがある。この問題はノーブランドのファスナーに多い。YKKなど信頼できるパーツが付いたものを選びたい。
写真はスナップボタンのスプリングにRational003を塗布している様子。
写真は高品質で定評あるFIOCCHI(フィオッキ社※)のもの。財布を買うときはこういうところもよく見る必要がある。
※:2012年 FIOCCHIはPRYM社に吸収合併されたそうです[1]。
ちなみに、このオイルは既に傷んだり磨耗してしまったモノの調子を戻すことはできない。ファスナーもスナップも、買ったらできるだけ早く塗布することが長持ちさせるコツだ。
<参考購入先>
YKKファスナー付きのバッグ・財布 品質の良いファスナーが付いた商品です
ルイヴィトン ビニール製の財布。傷みやすいので注意
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<参考文献>
1.FIOCCHIが無くなる