雨でもないのに温水器の土台が濡れている。調べてみるとタンクが水漏れしていた。フロントカバーを外すと内側は水滴でベタベタ。幸いプリント基板は無事だった。なせこの事故が起こったのか。
問題の温水器
写真は水漏れした電気温水器 三菱 SRT-37C2 (200V 370L 高圧エコオート)。設置8年目。フロントパネルを外すとプリント基板手前の透明カバーに水滴がびっしり。
漏水箇所は上部ヒーターのパッキン部分。これはもう、サービスを呼んでパッキンを交換するしかない。水漏れは二次被害を拡大するため、連絡するとすぐ来てくれることが多い。
フランジに見る錆びの様子からすると、ずっと前からチョロチョロ漏れ出していたようだ。気付かず放置していたらプリント基板がダメになり、最悪漏電に至っていたろう。
原因
水漏れした原因はヒーター部分のパッキンの劣化。
問題のパッキン。材質はシリコンゴム。水漏れの原因は亀裂。試しに指で曲げると簡単に折れてしまう。弾性がなく、完全に劣化している。元々シリコンは熱に強いはず、この劣化は熱と水で加水分解が進んだ結果らしい。
ヒーターは上下に設置されていて、下側のパッキンは異常なし。温水器は上の温度が高いので、上側のパッキンが早く劣化してしまったと見られる。
ヒーターのフランジ側は激しくサビていた。簡単にケレンして新しいパッキンと交換し修理完了。これで本当にいいのか。また8年後、同じ問題が起こるような気がしてならない。
銅合金にクロームメッキとみられるヒーターのフランジは激しくサビていたが、今回はここが水漏れの原因ではなかった。この部分は腐食が進み、パッキンは無事でもここから水漏れするかもしれない。
どんなものを選べばよいか
電気温水器は、シンプルなものを選ぶべし
このセオリーは変わらない。今回故障の原因となった上部ヒーターは、沸き増ししないなら必要ないもの。常時高温に置かれる上部ヒーターは傷みやすく、故障の原因になりやすい。最初から付いて無いものを選べば、今回の修理代を払わずに済んだかもしれない。
電気温水器にはフルオート、セミオート(エコオート)、給湯専用(手動)の3種類があるがフルオートは必要ない。私は湯張りが自動でできるエコオートを選んだ。
フルオートには循環追い炊き機能が付いているが、パイプの汚れや熱交換器の詰まり、故障が懸念される。追い炊きは「高温差し湯」で十分だった。
タンクはステンレスが鉄則。容量は4人家族だと370Lあれば十分で、栓を忘れて湯張りに失敗してもお湯は十分足りた。
高圧給湯は大変便利な機能だった。湯張りが早くすぐお風呂に入れた。
それと電機温水器の中を見て思ったが、断熱材が薄い。30mmくらいのグラスウールを巻いてあるだけで隙間もある。
エコキュートはオトクか
この温水器を導入した8年前にもエコキュート(ヒートポンプ式温水器)があった。電気代は安いが本体が高い。計算すると電気温水器との差額は7年で回収できる。その後は使えば使うほどオトクに見えるが、実際は違う。
ヒートポンプ式温水器の中身はエアコンと同じなので、寿命はエアコン同様10年が目安。となると、オトクな期間は僅か3年しかない※。ヒートポンプは修理で延命しても修理代が高くつく。複雑で部品点数が多いから故障も多そう。一方、電気温水器は普通に15年使え、20年以上もつ例も多いようだ。
リプレースの費用まで考えると、シンプルな電気温水器を修理しながら使い続けていく方がオトク。この温水器を導入するとき、私はそう判断した[1]。
電気温水器の延命策
電気温水器は修理しながら15年以上(できれば20年)使いたい設備だ。今回の修理のついでに、今後余計な修理代を払わなくて済むよう、延命策を講じた。サービスマンの話によると、修理不能になる最大の要因はプリント基板の在庫切れという。そこで透明の自然塗料(後述のリンク参照)を塗って防錆対策をした。
そんなもの塗って大丈夫!?
と思うかもしれない。この種のコーティング剤は専用品もあるが、抵抗率と誘電率が多少違うだけ。うす塗りして使うので大差ない。ここは防錆効果を検証済みの「自然塗料」を使う。酸素と反応して硬化し、緻密で水を通さない堅牢な皮膜を作る[2]。P板専用のコーティングよりいいかもしれない。
今回はエシャ クラフトオイルを灯油で2倍に希釈したものを使用。ティッシュに染み込ませて裏からトントン叩くような感じで塗布する。
プリント板の劣化要因はほとんどが裏面パターンの腐食。特に湿気が入りやすいプリント板のエッジにはしっかり染み込ませておく※。通電は溶剤が十分乾燥してから(8時間以上経過後)行う。
※:ちなみに、結露する場合は何を塗っても無駄。結露そのものを無くす工夫が必要だ。
錆びているフレームやボルトを亜鉛メッキ塗料(ローバル)で補修。
下回りのアンダーカバーは切り欠きの部分から錆びてきたのでローバルで全体塗装した。
ブレーカー扉のツマミ。完全に錆び付いて回らない。ペンチで回したら頭が取れてしまった。ここはM6のタップを新しく切ってステンレスのボルトに換装。
タンクの温度設定を「おまかせ」から「低」に変更。タンクの平均温度が10度下がればパッキンなど有機材料の寿命は2倍に伸びる。低めの温度で使うことが長く使う秘訣。電気代もオトクになる。ついでに「上部わき増し」など、おせっかいな機能はすべて無効にしておく。
外にむき出しの樹脂パーツは紫外線で劣化するので、ここにも亜鉛メッキ塗料を塗っておく。これで本体の寿命まで劣化は心配なくなる[3]。
内側からの光漏れで天板に穴があることに気付いた。ネジ穴をふさいでいたシールが劣化して穴が開いた模様。ここはネジを嵌めるか、不乾性パテ(ネオシールB-3)を盛って雨水が入らないよう補修する[4]。
これで少なくとも15年はもたせたい。もしまた修理代を支払うハメになったら・・もう二度と、三菱を買うことはないだろう。
その後の様子
断熱性能を測定(2018/1/26)
朝方氷点下になるこの時期に放射率温度計で表面温度を測ってみた。温水器表面はどの面も5~6℃、内部温度8℃。温水器以外の物温が4℃だからそう大差ない。放射率温度計の絶対温度はアテにならないが、相対温度は参考になる。
断熱が悪かったら断熱材を追加しようと思っていたが、その必要はない模様。ちなみにタンク内湯温は、沸き上げ温度75℃、夕方お湯張直前70℃だった。
ヒーターが漏電(2018/12/3)
9月に温水器本体のブレーカーが飛んで電源が入らなくなった。サービスに来てもらって調べたらヒーターの漏電。温水器が壊れるとオフロに入れない。応急処置として残ったヒーターで湧き上がるよう設定してもらい、その間に部品取り寄せて。今回はヒーターが2つあったおかげでお風呂のない生活を送らずに済んだのだが、ヒーターが壊れてしまうのは予想外だった。
矢印が漏電箇所。原因は腐食だが、どうしてこんな所がダメになるのか、理由が判然としない。
見るとヒーターは銅合金でできている。元々キズがあったか、材料に不純物が含まれていたのか。
もう一つのヒーターも漏電(2019/8/30)
もう一方のヒーターも漏電で壊れてしまった。下がその写真だが、今度の漏電箇所は判然としない。テスターで測るとゼロオームなので、どこかがショートしている。今度選ぶときは、腐食しにくいヒーターが付いたものにしよう。
しかし、最初のパッキン交換とヒーターの交換2回で、修理代が約8万円かかっている。普通、2回壊れて修理代を2回請求されたら二度とそのメーカーの商品は買わないもの。今度温水器を買うときは、三菱以外で検討していきたい。
<参考購入先>
エシャ クラフトオイル 防錆に幅広く使える塗料です
ローバル 金属に限らずプラスチックの劣化防止に役立つ塗料です
不乾性パテ(ネオシールB-3) 屋外で固化せず最も長持ちするパテです
Rational003 電気接点やブレーカーの端子の防錆保護に有効です
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