マウスを買っても1年以内に調子悪くなって買い替えるハメになるのはガラクタを選んでいるせい。今度こそ!!そう思って慎重に選んでもまたガラクタ。なぜこうなってしまうのか。
ガラクタだらけのマウス市場
マウス売り場に行くと、S社とE社の陳列スペースが広く目立つ。マウス選びで失敗する最大の原因に、この2社の陳列から商品を選んでしまうことがある。S社とE社の商品マウスはなぜガラクタなのか。それは、次の問題が共通してあるため。
ボタンのレイアウトが悪い
普通に握ったとき、あるべき場所にボタンがない。指を折り曲げないとホイールを操作できない商品も。
操作感が悪い
ホイールからビビリ音が出る。回転が硬い。クリックが硬くて肩がこる。カチカチうるさい。
滑りが悪い
滑りが悪い。摩擦が大きく動かし始めに力が要り、動き始めると勢い余ってオーバーランする。このせいで狙ったポイントにカーソルを合わせられない。
どんどん使用感が悪くなる
せっかく買ったのだから・・そう思って使いにくいものを使い続けると、次第にホイールの回転が悪くなりどんどん使いづらくなる。また、腱鞘炎や肩凝りなどの健康被害が出ることも。
元々マシなマウスを作る能力が無いのか、出来の悪いマウスを売って早く買い替えさせるビジネスモデルなのか、わからないが、使い勝手や耐久性について十分考慮・検証されていない。このような商売の都合だけで作られたマウスに手を出してはいけない。手を出せば、マウス買い替え地獄の輪廻に取り込まれてしまう。
この話はマウスに限ったことではない。ACタップなども壊れたものを分解してみると、S社とE社の商品は、使われている材料の品質のほか、シャッターやスイッチの作りが悪い特徴がみられる。
マウスを選ぶときのポイント
これまでの経験から導き出した、マウスを選びのポイントを次にご紹介する。どれも、ごく普通の要求だと思う。
表1 マウスを選ぶときの注目点
項目 | 内容 | 備考 |
フィット | 大きすぎず、手のひらに収まること | — |
操作力 | 軽め(テスト方法あり、後述) | — |
操作音 | 無音~小 | — |
機能 | シンプルなもの | — |
性能 | 表面の反射率や模様によって誤動作しにくいもの | — |
メンテナンス | 分解容易なこと | — |
色 | パソコン本体と同一色 | — |
フィット
小さい分には問題ないが、大きすぎると使いずらい。マイクロソフトの大型マウスは、アメリカ人の手のひらに合わせて設計されたものとみられる。
操作力
クリックの操作力は軽めがよい。強いと肩こりの原因になる。これは乾電池を使って店頭で簡単にチェックできる。
具体的には単二電池1個と、単三電池2個をセロテープでまとめたものを用意する。単二電池をスイッチの上にそっと乗せてもスイッチが入らないものはNG(重すぎ)、単三電池×2でもスイッチが入るものは軽めの判定になる。
すべり
裏側にはがれにくい形で樹脂パッドが貼ってあり、適度な摩擦があるものがよい。すべりが悪いものはダメだが、良すぎてもポジションが決まりにくくなり使いずらい。ある程度の「摩擦」は必要なもの。
機能
ボタン数は少なく、シンプルなものがよい。ボタンの多さが使い勝手の良さに結びつくとは限らない。
性能
分解能や読取精度などをうたう商品が多いが、実用上問題になる商品はない。それよりも、表面の反射率や模様によって誤動作しにくいといった、トラッキング能力のほうが重要。
メンテナンス
マウスは使ううち埃やゴミが溜まって操作感が落ちるもの。そのため定期的な分解清掃&注油などのメンテナンスが欠かせない(キーボードでも同じ)。分解できないものは調子が悪くなったらそれで終わり、使い捨てになってしまう。
高額な商品を買ってもメンテできなければ使い捨て消耗品と変わらない。メンテできればスイッチが壊れない限り使い続けることができる。
お勧めのマウス
上記表の条件を満たすマウスは意外に少ない。いくつか候補をご紹介したい。メーカーはlogicoolが無難だが、ハズレ商品もあるので注意したい。
一般(文書作成・Web閲覧)用
現在、一般用として広くお勧めできる商品に logicool M325、M590シリーズがある。
logicool M325とM590 Multi-Device Silent。どちらもシンプルなインターフェースで使いやすい。M590は音が静かで操作感に優れている。これらはマウスを意識せずに使えるごく普通の商品。
logicool のビジネスモデルはトラッキングの能力が良くない。机の面の影響を受けやすく、思うとおりに動かない。後述するマウスパッドが要る。
ノート用の小型マウス
レノボの有線マウスがお勧め。昔から高く評価されているロングラン商品で、私はこれをIBMの時代から2台使っている。
ゲーミング用
ここにはMX518という名機がある。もう売っていないので後継を探してみた。MX518の系譜はG400,G400s,G402,G403・・と変遷している。G403の使用感はMX518に近く、一般用にも使えるマウスとしてお勧めできる。
写真は logicool G PRO G-PPD-001。サイドボタンとホイールが少し硬い。全長は小さいがボディにボリウムがあり、かぶせ持ちでは指の腹がホイールの頂点に届かない。
逆にいえば意図しないスイッチが入りにくい。メインスイッチ以外を操作するときは「つかみ持ち」になる。これは誤爆を防ぐための仕様かもしれないが、Web閲覧は微妙に使いにくい。
右利き、左利き両用(2020/8/19)
左手マウスは左利き専用ではない。腱鞘炎対策にも有用。左利き用マウスには垂直型の商品があるが、はっきり言って使いずらい。原因は手首が浮いてしまうため。ここは右側にもサイドボタンが付いた左右対称マウスが良い。
腱鞘炎対策では右手と左手の両方にマウスがあると便利。OSでボタンチェンジすると両方同時に変わってしまうため、本体側にボタンチェンジの記憶ができるものが必要。以下はそれができるマウスの例。
Senders M100
左右対称にサイドボタンが付いていて、かつ裏面の物理スイッチで左手切り替え可能な数少ない商品。左右切り替えはマウス本体に記憶されるため、ドライバやPC側の設定が不要。
本体が少し長くてホイールが人差し指から5mm遠い。ボタンはカチカチ少し音がする以外、問題は見当たらない使いやすいマウス。トラッキング性能もよい。
本品2020年現在絶版。同等の代替機があり、以下に紹介した。
SteelSeries Sensei 310 Black 62432
ボタン設定を本体に記憶する形で使える数少ない両手マウス。M100に対し本体がやや大きく、ボタン類が遠い。大きめの手に合わせた設計。
ホイールが指の先で回す感じになり、上のサイドボタンに親指が届かない。サイドボタンを押すと反対側のサイドボタンが薬指にあたって押されてしてしまう。決して使いやすいとはいえない。
EZONTEQ SNIPER100
Senders M100の代替機。写真は旧型と並べた様子。外観は全く同じであり、違いは光るところのデザインのみ。エイリアンのような顔が稲妻になっている。設定用の専用ソフトも共通。
後ろのボタン一つでLR反転ができる唯一の商品。おそらく数量の限られたOEM生産(光る部分のロゴだけカスタマイズ可能らしい)、無くなると入手困難になってしまうので、あるときに確保しておくことをお勧めする。
専用ソフトを入れるとDPIを細かくカスタマイズできるが、PCに本機を2台繋いでいる場合、片方の設定しかできない。
意外に重要なマウスパッド
マウスの操作性を左右する重要な敷物。満足いく商品がなく、買い替えを繰り返す人もいる。中途半端なものを買うより、性能を考えて作られたゲーミング用から選んだ方が失敗のリスクが少ない。
上の写真のマウスパッドは本革製(海老名鞄)。すべり、手触り、応答、擦れ音、見た目などすべてにおいて平均を超える。少し高いが、本物なので使い捨てにならない。見た目と質感を重視するに人にお勧めしたい。
メンテナンスの実例
写真はマイクロソフト オプチカルマウス 。昔は定評のあったマイクロソフトのマウスだが、今はエレコムやサンワサプライらが作るガラクタと似たような品質。
メンテナンスはホイールの軸に巻付いた髪の毛やほこりを取り除き、イソプロピルアルコールなどで手垢を除去、最後に潤滑油を塗るだけ。分解できれば簡単。
潤滑油は樹脂に使えるRational003を使用。半練りなので流失しない。ホイールが滑らかに回り、新品より操作感が向上することもある。
写真は銘機 logicool MX518。分解するためのネジはマウスソールの裏側。無事に剥がすのは難しいので、ネジの位置を確認し(押すと凹むのでわかる)カッターで十字に切込を入れてドライバーを差し込んだ方が良い。
ソールがダメになった場合は補修部品で補修する。
メンテ中のMX518。全部の部品をバラバラにできるので完全清掃ができる。
バラしたついでにラバーコートのべたつきを直す。関連記事1を参考。
写真はlogicool G Pro とG403の裏側。G Proはシールと上のソール裏にねじがある。G403はすべてのねじがソール裏に隠れている。
できるだけソールを剥がさないで分解できるものがメンテしやすい。マウスを選ぶときはねじがどこにあるか、よく観察することが大切。
注意:マウスを分解すると保証がなくなります。保証が切れた後、自己責任で実施してください。
<参考購入先>
logicool G403 仕事で使いやすいお勧めのマウスです
<関連記事>
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