肌がかゆい!~湿疹 アトピー 皮膚炎 が治らないのはなぜか

 アトピー性皮膚炎は現代病の一つだ。皮膚科に行くと、副腎皮質モルモンの塗り薬(ステロイド)と、かゆみ止め、ビタミンなどをくれるだけ。それで確かに一時回復するが、薬が切れるとまた元に戻る。この繰り返し。今回はこの問題を取り上げ、根本的に改善する方法を提案する。

 

根本原因は何か

 お風呂で体を洗う時、毎日洗剤を使っていないか。洗剤には、界面活性剤が含まれている。これは汚れを取るために有効だが、それは皮膚が正常なとき話。洗剤を使いすぎると皮膚のバリアを破壊し、雑菌や刺激物が侵入する。これに反応して皮膚が赤くなったり、痒くなる。アトピーに限らず多くの皮膚疾患はこれが原因。
 薬で一時的に回復しても、同じことの繰り返しになるのは、洗剤の運用が間違っている。これを見直さないと、いつまで経っても改善しないし、改善しても再発することが多い。

 

濃すぎる洗剤の「濃度」

 肌は「皮脂」と汗によって守られている。体に使う洗剤の理想は、大切な「皮脂」を落とさずに、汚れだけ落とすもの。市販の洗剤は、洗浄力が強く皮脂を落としすぎてしまう。

 皮脂の分泌が盛んな夏と、少ない冬とでは、必要な洗浄力が違う。1年中、洗剤をそのまま使うのではなく、季節に応じて薄めて使うのが適当だ。例えば、皮脂の少ない冬は3〜5倍に薄めても問題ない。

 冬に洗剤を「原液」のまま使うと、皮脂を取りすぎてバリアが壊れ、皮膚の調子が悪くなる。そのまま洗剤を使い続けると、皮膚のバリアが回復せず、どんどん悪化していく。

 

皮膚炎ができてしまったら

 とにかく皮膚のバリアを回復させる。

 基本、洗剤は使わず全身お湯だけで洗う。気になるところは薄めた洗剤を使う。例えば、市販のボディソープを5倍に薄めたものを100均のポンプに入れておく。洗いには、スポンジやタオルを使わず手のひらを使う。洗い終わったら、皮膚が乾燥しないうちに完全保湿する。

化粧水→乳液(ローション)→ワセリン

の順番で積層する。このとき、先に塗ったものが半乾きのところで次を塗る。乾く前に重ねたり、順番を逆にすると後が乗らないので注意。化粧水は数回塗り重ねてもよい。

 最後のワセリンは、水分の乾燥を防ぐラッピングとして機能する。保湿は朝と夕方にやればよい、ではなく、頻繁に塗ってベトベトの状態を維持する。

 炎症がひどい場合は、ワセリンを時々ステロイド(ワセリン入り塗り薬)に換える。

 

ベトベトに保湿せよ!洗剤を使うな!

 休日などを利用してとにかくベトベトの状態をできるだけ長時間維持する。この効果は直ちに現れる。「皮脂を取らない」「完全保湿する」の2点を続けることで、肌のバリアは回復していく。頭皮にも有効。ワセリンは整髪料の代わりになるし、花粉のバリヤーにもなる[2]

 痒みがあって掻いてしまう場合は、かゆみ止め(飲み薬)で対処する。体臭が気になる場合は、5%クエン酸のスプレーで消せる[1]

 体の汚れはお湯だけで落ちる。「アカがたまる」「ベタツキがイヤ」「テカる」なんてことを言っていると、いつまで経っても改善しない。そういうことを気にするのは、治してから。

 

化粧水、乳液(ローション)、ワセリンは何が良いのか

 市販の商品はいろいろあり、高価なものがあるが、基本的には大差ないから安価なものでよい。私は安価で匂いが少ないものを愛用している。

 化粧水 乳液(ローション) ワセリン

何を塗るか、よりも、塗る頻度と量が重要。お金をかければ、早く治る、というわけではないので注意してほしい。

 

予防

 皮膚炎の予防はスキンケアが第一。洗いすぎない(皮脂を大切にする)、保湿を十分に行う、この2点に尽きる。その他の「紫外線に当るな」「食べ物に気をつけろ」といったものは、「やらないよりは、やったほうが良い」オプションであり、それだけで予防や改善はできない。

 本質的な課題はなにか、重要な対策はどれか、押さえることで、アトピーに悩まない生活が実現できるはずだ。

 

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以降は過去の記事。参考程度にしてほしい。

参考1:ボディソープ、リンスの作り方

 

すべての洗剤を自作品で代替する

 自分の肌と年齢に合った洗浄力をもち、かつ使用感に優れた洗剤は、自作することで手に入る。

 界面活性剤はG-510を使う。G-510は非イオン系界面活性剤。製造元は米GAYLOAD[5]。国内のいろんな業者が輸入販売している。濃い原液で入手でき、余計な添加剤を含まないことから、うたい文句通り、いろんな用途に使える。当館では、これまで家中の洗剤のほとんどをG-510に置き換えてきた[2][3]

 

G-510の用途と希釈倍率の一覧表

出典:G-510付属説明書

 資料はG-510の希釈率。10倍~20倍が多い。

 価格は1.7円/ml(1ガロン購入時)。多くの用途でコストメリットがあるが、洗濯への応用は1回20ml(30円)かかり市販の洗濯洗剤の方が安い。

 

 

G-510を使った全身ソープのレシピ

 

全身用500mlボディソープのレシピ(’18/12/16更新)

 

夏用:水460ml、G-510(30ml)、グリセリン20g、アルギン酸ナトリウム3g
冬用:水460ml、G-510(10ml)、グリセリン30g、アルギン酸ナトリウム3g
皮膚炎用:水460ml、G-510(5ml)、グリセリン30g、アルギン酸ナトリウム3g

 

 頭も体も顔も手も、すべてこれ一つで賄える。コストは、グリセリン 1.8円/ml、アルギン酸ナトリウム 7円/g より、材料費約100円(0.20円/ml)。

 G-510の希釈液は水のようにサラサラで、手やタオルに乗せると流れ落ちてしまう。そこで増粘剤としてアルギン酸ナトリウム使う。この増粘剤は食品添加物として広く使われているもの。これを、手に取ると「こぼれ落ちて使えない」問題が起こらないギリギリの濃度で使う。

 それと、肌に使うものには保湿成分が欠かせない。そこで、グリセリンを加えた。

 

創造の館レシピで作った全身用ボディソープ

 創造の館レシピで作った全身用ボディソープ。使用感は普通のボディソープとかなり違う。

 ほとんど泡立たないうえ、ヌメリもない。水で洗っている感覚に近い。そのため、今までのようにナイロンタオルや、目の粗いタワシのようなもので擦ると皮膚を傷める。

 タオルでゴシゴシ、ではなく、手のひらで体を優しく擦ることをお勧めしたい。肌の調子が悪い場合は、洗剤の使用を控えるか、1日置きにするなど、使用頻度を減らすといい。

 

 

アルギン酸ナトリウムをうまく溶かすコツ

 アルギン酸ナトリウムをいきなり水に入れてもダマになって溶けない。まずグリセリンに分散させ、水を加えます。グリセリン無しではうまく溶けない。万一失敗しても時間がたてば溶ける。捨てずにしばらく様子をみて欲しい。

 

使用感

 この洗剤を使うタオルは薄手の木綿か、柔らかいスポンジが適している。洗っている実感が薄いが、洗浄力は十分。手に乗せて体を適当にこするだけでも皮脂や汚れは十分落ちる。泡もヌメリもないので、すすぎが早い。

 洗いあがりは「しっとり」「無臭」。今までは風呂上がりに足首のあたりがカサカサになったが、それが減った。

 これを使い始めてから、お風呂場がだんだん綺麗になってきた。洗った後に残留物が残らない為とみられる。

 ニキビなどの吹き出物が大幅に減った。意外だったのは、育毛が良くなり眉毛が伸びてきたこと(もしかしたら頭髪の伸びも良くなっているかも)。

 これはいずれも、毛穴の汚れがしっかり落ちるようになった為とみている。

 

ボディリンスのレシピ

 上記レシピで保湿効果を追加したい場合はボディリンスを併用する。レシピは次の通り。

 

水460ml、グリセリン40ml、カチセロパウダー6g

 

 増粘剤にカチセロパウダー[4]を使うのがポイント。カチセロは肌に吸着して残るため、保湿効果が高くなるほか、髪のコンディショニングにも効果がある。

汎用のセットボトルに入れた全身ソープとボディリンス

 全身ソープとボディリンスの製作例。ボトルは汎用のセットボトルを使用。

 カチセロパウダーは水かグリセリンに分散せたのち、ポットからお湯を注ぐことで比較的簡単に溶ける。

 

 

 

<参考購入先>
G-510
カチセロパウダー(ポリクオタニウム-10) 私は大阪ファッションということろで購入しました
経皮毒の参考書 結果的に「お湯で洗え」となるらしいですが、まずは増粘剤を減らしたいですね

<参考文献>
1.長野県木曽青峰高等学校,桶野美羽ほか,手作り石けんの洗浄力(リンク切れ)
5:GAYLOAD G-510の製造元

 


 

参考2:G-510の濃度を決める実験

 G-510を使うためには、シャンプーやボディソープと同じ洗浄力を得る希釈率を知る必要がある。そこで、これを実験で調べてみた。上記のレシピは、この実験結果をもとに決めたものである。

実験材料

洗浄力を調べるために用意したいろいろな洗剤

 用意した実験材料は写真の通り。

 ボディソープ AROMAは馬油で有名な熊野油脂製。保湿成分が透明で浴室を汚さないのが気に入っている。

 比較のためメニコンO2ケアと台所用のMagicaを加えた。

 

 

実験方法

 洗剤の洗浄力は表面張力と乳化作用の2つの相互作用で決まる[1]。今回、乳化作用を定量化しようと思って実験方法を検討したが、いい方法を見つけられなかった。

 結局、以前やった方法、つまり洗剤を薄めながら手に塗ったサラダ油が完全に落ちる濃度を求める方法[2]が一番わかりやすかったので、今回もこの方法で評価した。

 

実験結果

 表は×の希釈率が同じ洗浄力に相当する。×印から左へ1倍濃度になるまで同じ数ずらせば他の洗剤で同じ洗浄力が得られる希釈率がわかる。例えば、AROMA1倍(原液)は×印から×から左に5つ目なので、G-510では10倍、Luxでは4倍がそれに該当する。

各種洗剤の洗浄力テスト(水温20℃)

希釈率 10 20 40 100 200 400倍
G-510
(1.7円/ml)
×
Magica
(0.40円/ml)
×
Lux
(0.78円/ml)
×  
AROMA
(1.0円/ml)
×      
O2ケア
(3.0円/ml)
×          

〇:完全洗浄、×:油が残留、△は中間

 

 今回のターゲット、シャンプー(Lux)はG-510の2倍希釈、ボディソープ(AROMA)はG-510の10倍希釈に相当することがわかった。

 コストメリットが高いのがコンタクトレンズ用のO2ケア。G-510の40倍希釈液とほぼ同等なので代替すればコストはなんと1/70になる(これは以前より20倍希釈液で活用中[3])。

 

洗浄力=汚れを落とせる「力」ではない

 実験していて気づいたことがある。表で「×」の結果も2倍の量を使えば「△」、さらに増やせば「〇」になる。要するに、汚れ落ちは含まれる界面活性剤の量で決まること。

 通常、洗剤を濃くすれば、汚れを落とす力が増し、落ちない汚れが落ちるようになる・・そう考えがちだが、そうではない。洗剤を濃くするほど、落ちる汚れの「量」が増える。

 なので、たいして汚れてないものに濃い濃度で使うと洗剤が無駄になる。汚れと反応しなかった界面活性剤は捨てるだけなので、汚れに応じた適切な濃度で使うことが重要になる。

 肌のコンディションは人によって違う。肌に使う洗剤は、1つの銘柄に濃度の違うラインナップがあるべきだ。その中から自分の肌のコンディションや季節を考慮して選ぶ。それが体に使う洗剤の、本来あるべき商品の姿だと考えている。

 

<参考購入先>
G-510
カチセロパウダー
経皮毒の参考書

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